株価
ナカボーテックとは

株式会社ナカボーテックは、東京都中央区新川に本社を置く建設関連企業で、主に鉄鋼構造物や港湾施設、地中構造物などの防食工事・補修工事を専門とする会社です。1951年に設立され、1995年に東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。資本金は約8億6,600万円、従業員数は約280名規模の企業です。平均年齢は約42歳、平均年収は約860万円となっています。
同社の主力事業は、構造物の腐食を防ぐための「防食エンジニアリング」です。鉄鋼やコンクリートなどの構造物は、海水・地中・大気中で長年使用されると腐食が進み、強度が低下するため、ナカボーテックはそれらを長寿命化させるための塗装・防食処理・補修を行っています。
事業の内訳としては、港湾構造物の防食工事が約6割を占めており(全体の約63%)、次いで地中構造物関連が約19%、陸上構造物が約7%を占めています。橋梁、トンネル、上下水道設備、港湾の鋼管杭や防波堤など幅広いインフラに対応しており、国内の防食専業企業としてはトップクラスのシェアを誇ります。
また、近年は従来の防食工事に加え、老朽化した鉄筋コンクリート構造物の補修・改修工事にも注力しており、技術分野の拡大を進めています。公共インフラの維持管理ニーズが高まる中、国土強靱化やインフラ更新政策の追い風を受けて、安定した需要が続いています。
総じてナカボーテックは、腐食防止・補修工事という専門技術を強みに、港湾や地中など見えない部分の社会インフラを支えるエンジニアリング企業として国内で高い評価を受けている堅実な企業です。
直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期(単) | 14,158 | 1,246 | 1,273 | 899 | 365.0 | 255 |
| 2024年3月期(単) | 13,780 | 1,176 | 1,204 | 834 | 339.1 | 240 |
| 2025年3月期(単) | 14,725 | 1,457 | 1,502 | 1,047 | 425.5 | 300 |
| 2026年3月期(予) | 14,500 | 1,270 | 1,310 | 920 | 373.7 | 260 |
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 822 | -185 | -544 |
| 2024年3月期 | 1,227 | -89 | -628 |
| 2025年3月期 | 692 | -114 | -590 |
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 8.8% | 11.2% | 7.8% | ― | ― |
| 2024年3月期 | 8.5% | 10.0% | 7.3% | ― | ― |
| 2025年3月期 | 9.8% | 11.9% | 8.6% | 高値平均:17.1倍 安値平均:11.5倍 |
1.63倍 |
投資判断
ナカボーテックは、防食工事・補修工事というニッチでありながら需要の安定した分野で事業を展開しており、安定成長型の堅実な企業といえます。
まず、業績面をみると、営業利益は2023年1,246百万円 → 2024年1,176百万円 → 2025年1,457百万円と推移しており、2024年に一時的な減少があるものの、その後再び回復しています。経常利益・純利益もほぼ同様の推移で、収益力の底堅さが見られます。純利益は3期連続で800〜1,000百万円規模を維持しており、安定的な利益体質です。
営業利益率は8.8% → 8.5% → 9.8%と改善傾向にあり、一般的な建設業の平均(5〜7%)を上回る高水準を維持しています。ROEは11.2% → 10.0% → 11.9%、ROAは7.8% → 7.3% → 8.6%といずれも優秀な水準です。これは、自己資本と資産の両方を効率的に使って利益を上げていることを示しており、経営効率が非常に高いことを意味します。
株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均17.1倍、安値平均11.5倍、PBRは1.63倍です。PERで見るとやや高めではありますが、同社の高収益体質と安定配当を考慮すれば妥当〜やや割安圏と評価できます。PBR1.63倍という水準も、資産をしっかり活用している企業として納得できる評価です。
キャッシュフロー面でも、営業キャッシュフローは2023〜2025年にわたって安定して黒字を維持しており、投資CF・財務CFのバランスも良好です。借入依存が少なく、自己資金でしっかり運営できている健全経営といえます。
また、配当面も非常に安定しており、2023年255円 → 2024年240円 → 2025年300円と推移し、今後も260円程度を見込んでいます。利益の増加に応じて還元を行う姿勢が明確で、安定配当株としての魅力も高いです。
配当目的とかどうなの?
株式会社ナカボーテックは、配当目的の投資先として非常に優秀な銘柄です。
この会社は防食工事という専門性の高い分野に特化しており、安定的な受注と高い利益率を維持しています。業績の波が小さいため、毎年安定して配当を出せる企業体質です。
実際に配当の実績をみると、2023年に255円、2024年に240円、2025年には300円へ増配しており、2026年の予想でも260円と高い水準を維持しています。配当の変動はあるものの、いずれも利益水準に見合った堅実な還元を行っており、長期的には増配傾向です。
営業利益率は9%前後と建設関連企業としては高く、ROEも10〜12%台と資本効率が非常に良いです。さらに営業キャッシュフローは3年連続で黒字を維持しており、本業でしっかり現金を生み出せているため、配当の原資が安定的に確保できている点も安心材料です。
ナカボーテックの事業は国や自治体が発注する公共インフラの補修・防食工事が中心で、景気に左右されにくいのも強みです。景気後退局面でも一定の需要が維持されるため、減配リスクが低く、安定配当型企業として信頼度が高いといえます。
現在の株価水準ではPERが17倍前後、PBRが1.6倍とやや高めですが、業績と配当の安定性を考えれば妥当な評価です。配当利回りはおおよそ3〜4%台で、長期保有での安定収入が期待できます。
総合的にみて、ナカボーテックは「急成長」よりも「堅実経営・安定還元」を重視する企業であり、配当を目的とした長期投資に非常に向いている銘柄です。
安定したキャッシュフロー、高利益率、減配リスクの低さという三拍子がそろっており、長期保有による安定的なリターンを得たい投資家に最適です。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在値5,160円を基準に、ナカボーテック(証券コード1787)の今後5年間の値動きを、良い場合 、中間 、 悪い場合のシナリオで予想してみます。
良い場合(業績拡大・安定成長シナリオ)
同社は防食・補修というインフラ関連ニッチ分野に強く、営業利益率・ROE・ROAともに高水準(直近は営業利益率9.8%、ROE11.9%、ROA8.6%)を維持しており、収益力も堅調です。配当も近年は300円 → 予想260円と高配当/安定配当傾向で、配当利回りも現在約5%前後。
このままインフラ需要・公共工事需要が続き、コスト管理も良好ならば、業績がさらに改善し、株価も評価が上がる可能性があります。
5年後には8,000円〜9,500円程度(約1.5〜1.8倍)に上昇するシナリオも考えられます。
中間の場合(業績安定/緩やかな成長シナリオ)
コスト上昇や競争激化、公共予算の変動などの影響で成長は限定的。
営業利益率は8〜9%前後、配当は260円前後で維持され、利益・キャッシュフローも黒字継続。ただし成長余地は緩やか。
この場合、株価は堅調だが急上昇はしにくく、5年後には6,200円〜7,000円あたりで横ばいまたはやや上昇する可能性が高いです。
悪い場合(受注減・コスト増・景気後退シナリオ)
公共投資削減、インフラ更新ペース低下、コスト高(労務・資材・人手不足など)が続くと、利益率・ROE・ROAが低下する可能性があります。
配当が維持できなくなる、あるいは減配・キャッシュフローの圧迫も懸念されます。
株価は下落傾向を示し、5年後には4,000円〜4,800円程度まで下がる可能性もあります。
まとめ(5年後予想レンジ)
- 良い場合:8,000〜9,500円
- 中間の場合:6,200〜7,000円
- 悪い場合:4,000〜4,800円
ナカボーテックは堅実で高収益・安定配当が見込める銘柄なので、中長期保有なら「配当+安定株価上昇」の可能性が高いです。ただし、公共事業や景気動向に左右されるリスクもありますので、余裕資金での保有がおすすめです。
この記事の最終更新日:2025年10月30日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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