株価
大本組とは

株式会社大本組は、岡山県を本拠に全国で事業を展開する総合建設会社です。創業は1907年、設立は1937年12月で、100年以上の歴史を持つ老舗のゼネコンです。資本金は約52億9,600万円です。本社は東京都港区南青山にあり、本店を岡山県岡山市に構えています。従業員数はおよそ800人で、建築部門・土木部門・営業・事務など幅広い人材が在籍しています。平均年齢は45歳前後、平均勤続年数は20年程度で、社員の定着率が高いのも特徴です。
同社はもともと土木工事を中心に成長してきた企業で、道路・橋梁・港湾・空港・河川・浚渫(しゅんせつ)工事などの公共インフラ工事に強みを持ちます。特に、深い海底や地下での作業を可能にする「ニューマチックケーソン工法」などの特殊工法を得意としており、国内でも高い技術力を誇ります。近年では、無人化施工技術やICT施工(情報化施工)など、最新の建設技術を積極的に導入し、安全性・効率性の高い施工体制を築いています。
建築事業にも力を入れており、商業施設、オフィスビル、物流センター、病院、学校、文化施設など幅広い分野で施工実績を持ちます。これにより、同社の売上構成は土木と建築がほぼ半々となり、公共・民間の両面で安定した受注を確保しています。不動産開発事業や建設コンサルタント事業も手掛け、調査・設計から施工、維持管理まで一貫して対応できる総合力を持つのが強みです。
また、大本組は財務体質が非常に健全で、自己資本比率は70%を超え、流動比率も350%前後と安定しています。無借金経営に近い状態で、長年にわたり堅実な経営を続けています。ISO9001(品質マネジメント)やISO14001(環境マネジメント)など国際規格の認証も取得しており、品質と安全、環境への配慮を重視した企業姿勢を貫いています。
岡山を基盤に全国展開を進める中堅ゼネコンとして、港湾や空港といった大規模インフラ工事から、地域密着型の建築工事まで幅広く対応できる総合力を持っています。歴史と技術の両面で信頼が厚く、特に防災・減災や国土強靭化関連の工事需要が高まる中、今後も安定した成長が見込まれる企業です。
直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 94,477 | 580 | 849 | 516 | 17.5 | 28.3 |
| 2024年3月期 | 83,060 | 1,686 | 1,927 | 1,021 | 35.7 | 32.5 |
| 2025年3月期 | 70,092 | 1,814 | 2,110 | 1,788 | 63.5 | 41.0(特) |
| 2026年3月期(予想) | 83,000 | 2,000 | 2,250 | 1,400 | 55.1 | 38.0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | -21,136 | 2,933 | 8,971 |
| 2024年3月期 | 12,279 | -1,600 | -3,710 |
| 2025年3月期 | -355 | 1,936 | -9,972 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均) | PER(安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 0.6% | 0.7% | 0.5% | ― | ― | ― |
| 2024年3月期 | 2.0% | 1.5% | 1.0% | ― | ― | ― |
| 2025年3月期 | 2.5% | 2.7% | 1.9% | 44.7倍 | 32.7倍 | 0.57倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
大本組の決算内容を総合的に見ると、近年は着実に収益体質が改善しています。
2023年は営業利益率が0.6%と低水準でしたが、2024年に2.0%、2025年には2.5%へ上昇し、利益面の安定化が見られます。建設業という業種の特性上、景気や公共投資の動向に左右されやすいものの、利益率が改善しているのは経営の効率化やコスト管理が進んでいる証拠といえます。
ROEは0.7%から2.7%、ROAは0.5%から1.9%と着実に改善傾向にありますが、依然として他の同業大手に比べると水準は低く、資本効率の面ではまだ伸びしろがあります。自己資本が厚い分、財務的な安全性は高い反面、資金を十分に利益に転換できていない印象です。
2025年のPERは高値平均44.7倍、安値平均32.7倍とかなり高めの評価になっています。市場は今後の業績回復をある程度織り込んでおり、短期的には株価が割安とは言いにくい水準です。しかし一方でPBRが0.57倍と低く、純資産に対して株価がかなり抑えられている点は魅力です。つまり、「利益成長はまだこれからだが、資産面では非常に割安」という構図になっています。
このため、1793は短期で大きく値上がりを狙うタイプではなく、中長期的に業績改善とともにじわじわと株価上昇が期待できる堅実銘柄といえます。特に今後、公共事業や再開発関連の受注が増えれば利益率の上昇余地もあり、地味だが底堅い投資対象として注目できます。
配当利回り面でも、ここ数年で一株配当が増加傾向にあり、企業姿勢として株主還元を重視していることも好材料です。業績改善とともに今後の増配余地も見込めるため、中長期の配当目的や資産株として保有する価値は十分ある銘柄です。
配当目的とかどうなの?
大本組は、配当目的としては比較的安定感のある銘柄といえます。
まず配当の実績を見ると、2023年は1株あたり28.3円、2024年は32.5円、2025年は特別配当を含めて41円と、毎年増配傾向が続いています。さらに2026年の会社予想でも38円と、特別配当を除いても高水準を維持しており、株主還元の姿勢が強いことが分かります。
営業利益や純利益がここ数年で増加しており、利益の成長に合わせて配当も上がっているため、業績と連動した堅実な増配方針をとっていると考えられます。ROEや営業利益率はまだ低めではあるものの、財務が安定しており、自己資本比率も高い会社なので、配当を無理に出している形ではなく、余裕をもった範囲での還元が可能です。
PBRが0.57倍と低い点からも、株価が資産価値に対して割安な状態にあり、高配当+割安株の両面で見ても魅力的です。配当利回りも現水準(株価4,530円前後・配当38円)で約0.8%程度と突出して高いわけではありませんが、今後の増配余地を考えれば悪くない水準です。
まとめると、1793は「安定成長+地味ながら増配傾向にある堅実銘柄」であり、
- 毎年の配当をコツコツ積み上げたい人
- 長期保有での資産防衛や安定配当を重視する人
には向いています。
一方で、高配当利回りを狙う短期投資家にはやや物足りない部分があるため、配当を“長期的な安心材料”と捉えるスタンスが適しています。
今後の値動き予想!!(5年間)
大本組の現在値1,459円を基準に、今後5年間の株価シナリオを想定すると以下のようになります。
【良い場合】
建設需要の回復や公共事業の拡大が続き、営業利益率やROEがさらに改善。利益成長に伴って株価が見直され、PER水準も高く維持される可能性があります。今後5年間で業績が堅調に推移すれば、株価は現在の1,459円からおよそ2,600~2,900円前後まで上昇する余地があります。特にROEが5%を超える水準にまで改善すれば、割安放置の解消が進みやすいでしょう。
【中間の場合】
現状の利益水準が安定的に維持されるものの、大きな成長材料には欠けるケースです。建設業界全体の受注環境が落ち着けば株価は横ばい圏で推移し、5年後も1,400~1,800円前後での推移が中心となると見られます。配当を受け取りながら安定保有する形でのリターンが期待できます。
【悪い場合】
公共工事の減少や資材高騰、労務費上昇などで利益率が再び低下するケースです。営業利益率が2%を割り込み、純利益も縮小傾向になると、投資家の期待が後退して株価は1,000~1,200円前後まで下落する可能性もあります。ただしPBRがすでに0.57倍と低いため、極端な下落リスクは限定的です。
総合的に見ると、急成長型ではないが財務の安定感があり、長期保有向きの堅実銘柄です。
配当を受け取りながら値上がり益を狙う“安定運用型”の投資スタンスが適しています。
この記事の最終更新日:2025年10月30日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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