株価
東京精密とは

半導体製造装置と精密計測機器の製造販売を行う精密機器メーカーであり、計測機器分野で培った精密位置決め技術や超精密加工技術を半導体製造装置分野へ展開することで成長してきた企業である。
本社は東京都八王子市石川町にあり、国内外に多数の営業・サービス拠点を持つグローバル企業として展開している。特に半導体製造工程におけるウエハテスト用プローバーでは世界首位級のシェアを持ち、真円度・円筒形状測定機でも国内トップシェアを確立している点が大きな特徴となっている。
事業は大きく半導体製造装置事業と精密計測機器事業の2つの柱で構成されている。半導体製造装置事業では、ウェーハプロービングマシン、ウェーハダイシングマシン、ポリッシュ・グラインダ、CMP装置、スライシングマシン、面取り機などを展開している。
これらは半導体の前工程・後工程双方で重要な役割を担う装置であり、微細化や高性能化が進む半導体産業において需要が拡大している。特にプローバーは半導体チップの電気特性を検査する工程で不可欠な装置であり、同社の高精度な位置決め技術と高速処理能力が競争力の源泉となっている。
精密計測機器事業では、三次元座標測定機、表面粗さ・輪郭形状測定機、真円度測定機、光学測定機器、マシンコントロールゲージ、各種センサ、自動計測機器などを製造販売している。
これらは自動車、航空機、電子部品、精密機械、金型など幅広い製造分野で使用されており、製品品質向上や生産効率改善に貢献している。EV化や自動化、デジタル製造の進展に伴い、高精度測定ニーズは長期的に拡大する傾向にある。
同社は2001年にコーポレートブランド「ACCRETECH(アクレーテク)」を導入している。この名称はAccrete(共生)とTechnology(技術)を組み合わせた造語であり、世界中の優れた技術・知恵・情報を融合し、世界No.1の商品を創り出すという理念を表している。シンボルマークは人材・資金・情報などのリソースを凝縮し、明確な目標に向かって最先端製品を市場投入していく姿を象徴したデザインとなっている。
沿革としては1949年に東京精密工具株式会社として設立され、1962年に株式会社東京精密へ社名変更し東京証券取引所市場第二部へ上場した。その後1986年に市場第一部へ指定替えとなり、2002年には半導体社・計測社・業務会社の3カンパニー制を導入するなど組織改革を進めてきた。現在は八王子と土浦に主要工場を持ち、国内営業所に加えてアメリカ、欧州、中国、韓国、台湾、東南アジアなど世界各地に海外拠点を展開している。
関連会社には東精エンジニアリング、トーセーシステムズ、アクレーテク・クリエイト、アクレーテク・ファイナンス、東精ボックスなどがあり、装置販売から保守、システム開発、金融支援までグループとして総合力を発揮している。
半導体市況の影響を受けやすい面はあるものの、計測機器という安定需要分野を併せ持つことで事業のバランスを取りつつ、AI・データセンター・EVなどの成長テーマに関わる装置メーカーとして中長期的な成長を目指している企業である。
直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 97,105 | 15,562 | 15,867 | 12,175 | 293.8 | 104 |
| 連22.3 | 133,277 | 28,550 | 29,390 | 21,441 | 525.3 | 185 |
| 連23.3 | 146,801 | 34,494 | 35,297 | 23,630 | 581.3 | 235 |
| 連24.3 | 134,680 | 25,307 | 26,453 | 19,378 | 480.5 | 192 |
| 連25.3 | 150,534 | 29,703 | 29,939 | 25,637 | 633.8 | 253 |
| 連26.3予 | 164,000 | 31,500 | 31,500 | 20,500 | 505.2 | 222 |
| 連27.3予 | 172,000 | 33,000 | 33,000 | 22,600 | 557.0 | 222〜250 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,000 | -8,421 | -2,174 |
| 2024 | 4,892 | -10,563 | 1,616 |
| 2025 | 28,824 | 2,541 | -13,991 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 23.4 | 11.3 | 16.3 | – | – |
| 2024 | 18.7 | 8.5 | 12.3 | – | – |
| 2025 | 19.7 | 10.7 | 14.7 | 高値平均19.0 / 安値平均9.0 | 3.26 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
東京精密は売上が1346億円→1505億円→1640億円予想と拡大基調にあり、半導体装置メーカーとしては順調なトップライン成長が続いている。営業利益も253億円→297億円→315億円予想と増益傾向であり、需要の波はあるものの基本的な収益力は高い企業といえる。経常利益も264億円→299億円→315億円予想と安定しており、本業中心に利益を積み上げている構造になっている。
一方で純利益は193億円→256億円と大きく伸びた後、205億円予想と減益見込みになっており、ここは半導体市況の影響を受けやすい装置企業特有の変動が見られる部分である。ただし利益水準自体は依然として高く、利益創出力が大きく毀損しているわけではない。
収益性の面では営業利益率が23.4%→18.7%→19.7%と高水準を維持しており、装置メーカーとしてはかなり優秀な採算性である。ROEも16.3%→12.3%→14.7%と資本効率は高めで推移しており、ROAも11.3%→8.5%→10.7%と総資産効率も良好な水準にある。景気循環の影響で一時的に低下する局面はあるが、構造的に稼げる企業であることは数値から読み取れる。
バリュエーション面では2025年の実績PERが安値平均9.0倍から高値平均19.0倍と振れ幅が大きく、市況によって評価が大きく変動する典型的な半導体株の特徴が出ている。PBRは3.2倍と資産価値に対しては高評価水準であり、成長期待が織り込まれている株価水準といえる。
総合的に見ると、高収益・高効率の優良成長企業だが、業績と株価の両方が半導体市況に大きく左右される循環株の性格が強い銘柄と判断できる。中長期では成長余地は大きいものの、投資タイミング次第でリターンが大きく変わるタイプであり、好況局面では大きく上昇しやすく、不況局面ではPERが急低下して株価が調整しやすい点には注意が必要な銘柄である。
配当目的とかどうなの?
東京精密は営業利益300億円規模を安定して稼ぐ高収益企業であり、財務体質も比較的健全なため配当の継続性自体は一定程度期待できる企業といえる。ただし予想配当利回りは連26.3、連27.3ともに1.54%と低水準であり、純粋なインカム目的の投資対象としては魅力は限定的になる。
配当額は192円→253円と増配してきた実績があり、222円予想と依然として高い水準を維持している点は評価できる。利益水準から見ても減配リスクが極端に高い企業ではないが、半導体装置企業は業績が市況に左右されやすく、純利益も256億円から205億円予想へ減益見込みとなっているように、景気循環に伴って配当が上下しやすい特徴がある。いわゆるディフェンシブ高配当株のように景気に関係なく安定配当が続くタイプではない。
また営業利益率が20%前後と非常に高く、ROEも15%前後と資本効率が優れている企業は、基本的に内部投資のリターンが大きいため配当性向を極端に高めにくい。半導体装置分野では研究開発投資や設備投資が競争力維持のために不可欠であり、将来成長のための資金需要が大きい。このため余剰資金は増配よりも成長投資へ回る傾向が強く、利回りが上がりにくい構造になっている。
さらに株価面でも、実績PERが安値平均9.0倍から高値平均19.0倍まで大きく変動するように、市況好転時には株価が急上昇しやすい。その結果、配当が増えても利回りは低位にとどまりやすい。一方で市況悪化時には株価が下落し利回りが上昇するものの、そのタイミングでは利益も減少しやすいため、安心して高利回りを享受できるとは限らない点には注意が必要である。
総合的に見ると、東京精密は配当を受け取りながら持つ銘柄ではあるが、主目的はキャピタルゲイン狙いと考える方が合理的である。半導体需要の拡大局面では業績と株価の両方が大きく伸びる可能性があり、その成長性に期待して保有する価値は高い。一方でインカム重視の投資家にとっては、利回り1%台はポートフォリオの主軸にはなりにくく、あくまで成長株枠として組み入れる位置付けが適している銘柄と判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
東京精密の株価は14,415円であり、この水準から5年間の値動きを考えると、半導体装置企業らしく市況次第で大きく上下する可能性がある銘柄といえる。営業利益は300億円前後と高水準で営業利益率も約20%と収益力は非常に高く、ROEも15%前後と資本効率も良好なため、企業としての成長余地は十分にある。一方でPERは過去に9倍から19倍まで変動しているように、市場評価が大きく変わりやすく、それに伴って株価レンジも広くなりやすい特徴がある。
良い場合は、AI向け半導体やデータセンター需要の拡大により設備投資が活発化し、売上が1800億円〜2000億円規模まで成長、営業利益も350億円〜400億円水準まで拡大するケースである。この場合は成長期待が強まりPERが17倍〜20倍程度まで評価されやすくなり、株価は22,000円〜28,000円前後まで上昇する可能性がある。半導体スーパーサイクルが発生した場合には一時的に30,000円近辺まで上振れる展開も想定される。
中間の場合は、半導体市況が好不況を繰り返しながらも緩やかな成長を続けるケースである。売上は1700億円前後、営業利益は300億円台前半で安定推移し、PERも12倍〜15倍程度の平均的な評価に落ち着くと考えられる。この場合の株価は13,000円〜18,000円程度のレンジで推移し、大きなトレンドは出にくいものの、長期的には緩やかな上昇余地がある展開が想定される。
悪い場合は、半導体設備投資の調整局面が長引き、売上が1500億円前後で停滞し、営業利益も250億円〜270億円程度まで低下するケースである。この場合は市場の成長期待が弱まりPERが9倍〜10倍程度まで低下し、株価は9,000円〜11,000円前後まで下落する可能性がある。半導体関連株は景気後退時に評価が急低下しやすいため、このような調整局面も十分に起こり得る。
総合的には、東京精密は高収益で競争力のある半導体装置企業であり長期的な成長ポテンシャルは高いが、株価は市況の影響を強く受けるハイボラティリティ銘柄である。5年間では大きな上昇も下落もあり得るため、長期視点で市況サイクルを前提に投資判断を行うことが重要な銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年3月15日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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