株価
朝日インテックとは

朝日インテック株式会社は、愛知県瀬戸市に本社を置く医療機器メーカーであり、血管内治療に使用されるガイドワイヤーやカテーテルなどの低侵襲治療デバイスの開発・製造・販売を主力事業としている企業である。1972年に大阪府堺市で朝日ミニロープ工業所として創業し、当初は産業用の極細ワイヤーロープの製造から事業をスタートした。
その後、独自の金属加工技術やトルク制御技術を医療分野に応用し、循環器領域のPCI(経皮的冠動脈形成術)向けガイドワイヤーの開発に成功したことで医療機器メーカーとしての地位を確立した。現在では血管内治療用ガイドワイヤー分野で国内トップシェアを持ち、世界各国の医療現場で製品が使用されている。
同社は素材開発から最終製品までの一貫生産体制を強みとしており、精密な線材加工技術を基盤に高付加価値製品を生み出している。製品は主に循環器、末梢血管、脳血管などのカテーテル治療に使用される医療デバイスが中心であり、低侵襲治療の普及とともに需要が拡大している。また産業機器分野でも極細ワイヤーロープや精密部材の製造を行い、自動車、OA機器、建築など幅広い用途に供給している。
生産体制はグローバルに展開されており、タイ、ベトナム、フィリピンなどに製造拠点を配置することでコスト競争力と供給力を高めている。1989年にはタイに現地法人ASAHI INTECC THAILAND CO., LTD.を設立し、その後ベトナムのASAHI INTECC HANOI CO., LTD.など海外拠点を拡充してきた。米国や欧州、中国などにも販売・開発拠点を設置し、世界規模で事業を展開している。
沿革としては1988年に朝日インテック株式会社へ商号変更し、2004年にジャスダック市場へ上場、その後東証・名証1部へ市場変更を果たした。研究開発拠点として瀬戸工場や大阪R&Dセンターを整備し、医療現場のニーズを取り入れた製品開発を進めている。
子会社にはフィルメック株式会社、朝日インテックJセールス株式会社、日本ケミカルコート株式会社、フィカス株式会社などがあり、グループとして医療機器事業の拡大を推進している。高齢化の進展やカテーテル治療の普及を背景に医療機器市場は拡大が続いており、同社は独自技術によるニッチトップ戦略とグローバル展開を軸に持続的な成長を目指している研究開発型の医療機器メーカーである。
直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.6 | 90,101 | 18,030 | 17,635 | 13,106 | 48.3 | 14.48 |
| 連24.6 | 107,547 | 22,135 | 21,968 | 15,808 | 58.2 | 20.37 |
| 連25.6 | 120,025 | 30,079 | 29,563 | 12,737 | 46.9 | 24.23 |
| 連26.6予 | 134,000 | 34,500 | 34,700 | 25,000 | 94.2 | 30.91〜32.97 |
| 連27.6予 | 148,000 | 37,000 | 37,000 | 26,500 | 99.9 | 32.97〜34.97 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 19,138 | -15,135 | -2,342 |
| 2024 | 34,708 | -21,222 | -13,878 |
| 2025 | 40,543 | -13,434 | -8,107 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 20.0% | 9.9% | 7.5% | ― | ― |
| 2024 | 20.5% | 10.4% | 8.2% | ― | ― |
| 2025 | 25.0% | 8.4% | 6.5% | 39.5〜58.2倍 | 5.19倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上は1075億円から1200億円、さらに1340億円予想と高い成長が続いており、医療機器メーカーとして事業規模は拡大局面にある。営業利益も221億円から300億円、345億円予想と大きく増益しており、利益成長力は非常に強い。経常利益も219億円から295億円、347億円予想と拡大しており、本業の収益力が着実に高まっていることが分かる。
一方で純利益は158億円から127億円へ一度減少した後、250億円予想と大幅回復見込みになっており、短期的には利益のブレも見られる。ただ中期的には増益基調は維持されている。営業利益率は20.0%から20.5%、25.0%と非常に高水準で推移しており、医療機器メーカーとしてもトップクラスの収益性といえる。
収益性指標を見るとROEは9.9%から10.4%、8.4%とやや低下傾向であり、資本効率は突出して高い水準ではない。ROAも7.5%から8.2%、6.5%とやや低下しており、利益規模の拡大ほど効率性は伸びていない印象である。ただし営業利益率の高さからビジネスモデル自体の競争力は強いと考えられる。
バリュエーション面ではPERは39.5倍から58.2倍のレンジと非常に高く、PBRも5.1倍と高評価水準にある。市場は今後の成長をかなり織り込んでいる状態であり、業績が期待通り伸びなければ株価調整リスクもある。一方で高成長が継続すればこの評価が維持またはさらに拡大する可能性もある。
総合すると、高成長かつ高収益の成長株タイプの銘柄であり、業績面の魅力は非常に強い。ただし株価評価はすでに高く、割安株投資よりも成長投資向きの銘柄といえる。短期的には値動きの振れも大きくなりやすいが、中長期では医療機器需要の拡大を背景に成長余地は大きいと考えられる。
配当目的とかどうなの?
配当利回りは予想で1.49%から1.42%(26年度から27年度)と低水準であり、配当収入を主目的とした投資対象としては魅力は小さい。日本株では3%前後が配当株として意識されやすい水準であるため、それと比較するとインカム投資の優位性は乏しい銘柄といえる。
一方で配当額そのものは中期的に増加傾向にあり、利益成長に連動した増配姿勢は確認できる。売上や営業利益の拡大ペースを見ると企業の成長余地は大きく、今後も利益規模が拡大すれば配当総額も引き上げられる可能性が高い。このタイプは高配当株ではなく、成長に伴って配当が徐々に増えていく増配成長株の位置付けになる。
また営業利益率が20%台と非常に高く、事業の収益力自体は極めて強い。こうした企業は配当利回りを高めるよりも研究開発投資や海外市場開拓に資金を回すことで企業価値を高める戦略を取りやすい。結果として短期的な配当利回りは低くなりやすいが、長期的には株価上昇と増配の両方によるリターンが期待できる。
さらにPERが40倍から50倍台という高評価水準で推移している点を考えると、市場はすでに成長性を大きく織り込んでいる。こうした銘柄は配当利回りが高くなりにくく、株価が上昇すると利回りはさらに低下する傾向がある。そのため配当狙いでの押し目投資よりも、成長ストーリーを前提にした保有戦略の方が適している。
総合すると、現時点では配当収入目的には向かないが、医療機器市場の拡大とともに利益成長が続けば将来的な増配余地は十分にある。株価上昇と配当成長を合わせたトータルリターンを重視する中長期投資向きの銘柄であり、安定配当株というより高成長グロース株として捉える方が合理的といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価3,089円を基準に5年間の値動きを考えると、この会社は医療機器分野で高成長が続いている企業であり、業績拡大がそのまま株価に反映されやすいタイプの銘柄である。売上は1200億円から1340億円予想と拡大が続き、営業利益も300億円から345億円予想と大きく増益していることから、中長期では基本的に上方向のトレンドを描きやすい企業といえる。ただしPERは40倍から50倍台と高水準で推移しているため、期待成長率が鈍化すると株価の調整も起こりやすい特徴がある。
良い場合は、医療機器需要の拡大や海外展開の進展によって売上が1600億円規模まで成長し、営業利益も400億円前後まで拡大するケースである。営業利益率も25%前後の高水準を維持し、ROEが12%近くまで改善すれば成長株としての評価がさらに高まり、PERが45倍から55倍程度で維持される可能性がある。その場合、株価は4,800円から6,200円程度まで上昇するシナリオが考えられる。医療機器の世界展開が順調に進む場合には中長期で大きな株価上昇も期待できる。
中間の場合は、売上が1500億円前後、営業利益が360億円前後の水準で安定成長するケースである。利益率は高水準を維持するものの成長スピードはやや落ち着き、市場評価もPER30倍から40倍程度に落ち着く可能性がある。この場合、株価は3,200円から4,200円程度のレンジで推移し、緩やかな上昇トレンドを描きながらも大きな急騰は起こりにくい。成長株としては標準的な値動きになるパターンである。
悪い場合は、競争激化や医療機器の価格圧力、研究開発投資の増加などによって利益成長が鈍化し、営業利益が300億円前後で頭打ちになるケースである。営業利益率も20%前後まで低下し、ROEも8%前後にとどまると市場の評価は低下し、PERが25倍前後まで調整される可能性がある。このような状況では株価は2,200円から2,800円程度まで下落するシナリオが考えられる。高成長株特有の評価修正による下落リスクが顕在化するパターンである。
まとめると、この会社は高収益かつ高成長の医療機器メーカーであり、5年間の株価イメージとしては良い場合4,800円から6,200円、中間の場合3,200円から4,200円、悪い場合2,200円から2,800円程度のレンジで推移する可能性が考えられる。配当利回りは低いが成長期待が株価の主なドライバーになりやすい銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年3月15日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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