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日進工具とは

日進工具は切削工具分野の中堅メーカーであり、精密金型や部品加工用途に使われる超硬小径エンドミルに特化した企業である。本社は東京都品川区大井にあり、英語表記はNS TOOL CO., LTD.。微細加工向け超硬エンドミルの分野では国内トップクラスのシェアを持ち、精密加工市場で高い認知度を持つ工具メーカーとして位置付けられている。
同社は1954年に日進工具製作所として創業し、1961年に有限会社日進工具製作所を設立。その後1979年に株式会社へ組織変更し、1991年に現在の商号である日進工具株式会社へ変更した。創業以来、超硬小径エンドミルを中心とした精密加工用工具の開発・製造を続けており、ニッチ領域に特化した事業戦略を採っている点が特徴である。
1998年には生産部門と開発部門を仙台工場へ集約し、効率的な開発・製造体制を構築した。2000年代に入ると事業基盤の強化を進め、2002年にジーテックおよびサトウツールを完全子会社化。2004年にはジャスダック市場に上場し、資本市場からの資金調達を可能にした。さらに2011年には牧野工業を完全子会社化し、生産体制や技術領域の拡張を進めている。
2017年には東京証券取引所2部から1部へ市場変更し、企業としての認知度を高めた。2018年には本社および東京営業所を住友不動産大井町駅前ビルへ移転し営業拠点の機能を強化。2020年には仙台工場に新開発センターを完成させるなど研究開発体制の拡充を進めている。近年では在庫センターの新設など物流体制の整備も進めており、2025年には東証スタンダード市場へ移行している。
事業内容は切削工具の製造販売が中心であり、主力製品は金型加工や精密部品加工向けの超硬エンドミルである。直径1mm以下の小径工具や高硬度材対応工具など高付加価値製品に強みを持ち、スマートフォン部品、半導体関連部品、自動車部品、電子機器部品など幅広い精密加工分野で使用されている。工具性能を左右するコーティング技術や切削形状の最適化など独自の技術開発にも注力しており、自社開発機による一貫生産体制を構築している点も特徴である。
財務面では無借金経営を続けている点も同社の強みであり、景気変動の影響を受けやすい切削工具業界の中でも安定した財務基盤を持つ企業といえる。販売面では国内メーカーを中心に、香港や米国など海外拠点を通じたグローバル展開も進めている。
グループ企業としては日進エンジニアリング、牧野工業のほか、日進工具香港有限公司や同深圳代表処、蘇州事務所、NS TOOL USAなどがあり、生産・販売・技術支援のネットワークを構築している。こうした体制を背景に、日進工具は微細加工分野に特化した切削工具メーカーとして高精度加工ニーズの拡大とともに成長を目指す企業である。
日進工具 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 9,656 | 2,108 | 2,131 | 1,475 | 59.2 | 22.5 |
| 連24.3 | 9,040 | 1,867 | 1,908 | 1,320 | 53.0 | 27.5 |
| 連25.3 | 9,431 | 1,767 | 1,779 | 1,264 | 50.8 | 30 |
| 連26.3予 | 9,300 | 1,580 | 1,600 | 1,150 | 47.4 | 30 |
| 連27.3予 | 9,500 | 1,450 | 1,500 | 1,050 | 43.2 | 30 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,614 | -1,137 | -560 |
| 2024 | 1,834 | -575 | -883 |
| 2025 | 2,011 | -392 | -684 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 21.8% | 7.8% | 8.6% | – | – |
| 2024 | 20.6% | 6.8% | 7.5% | – | – |
| 2025 | 18.7% | 6.3% | 6.9% | 16.2~22.8 | 1.19 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
日進工具は売上が96億円→90億円→94億円と横ばい圏で推移しており、大きな成長は見られないものの安定した事業規模を維持している企業といえる。営業利益は21億円→18億円→17億円と緩やかな減益傾向にあり、経常利益も同様に21億円→19億円→17億円と縮小している。
純利益も14億円→13億円→12億円と減少しており、利益水準は徐々に低下している状態にある。今後予想でも営業利益15億円→14億円と減益が続く見通しとなっており、短期的には成長力よりも収益力維持がテーマになる企業である。
ただし営業利益率は21.8%→20.6%→18.7%と非常に高い水準を維持しており、切削工具メーカーとしてはトップクラスの収益性を持つ企業といえる。ROAも7.8%→6.8%→6.3%と比較的高水準で推移しており、資産効率の良さが特徴である。一方でROEは8.6%→7.5%→6.9%と低下傾向にあり、利益縮小に伴って資本効率も弱まっている。高収益企業ではあるが成長性が鈍化している局面と判断できる。
バリュエーション面ではPERは16.2倍〜22.8倍と機械株の中では高めの評価を受けており、PBRも1.1倍台と資産価値を上回る水準になっている。これは同社がニッチ分野で高収益体質を持つ企業として一定のプレミアム評価を受けているためと考えられるが、業績が減益傾向にある中では上値余地はやや限定的ともいえる。
総合的に見ると、日進工具は売上規模は横ばいながら高収益体質を維持する堅実企業であるが、直近は利益縮小局面に入っており成長株としての魅力は弱い。一方で財務体質が強く収益率も高いため大きく崩れにくい特徴があり、中長期では安定型の機械株として位置付けられる。株価は業績の大幅な回復がなければ急騰しにくいが、大幅下落もしにくいタイプの銘柄と判断できる。
配当目的とかどうなの?
日進工具は配当目的で見ると「安定中配当株としては比較的魅力があるが、成長性とのバランスを見て判断したい銘柄」といえる。まず予想配当利回りは26,27年度ともに3.42%と東証平均を上回る水準であり、機械株の中でもインカム投資として成立するラインにある。
配当は22.5円→27.5円→30円と増配基調で推移しており、今後も30円維持予想となっていることから、株主還元姿勢は比較的安定している企業と評価できる。急激な増配を狙うタイプではないが、堅実に配当を積み上げていくスタンスが見える点は長期投資では安心材料になる。
業績面では営業利益が21億円→18億円→17億円と緩やかな減益傾向にあり、今後も15億円→14億円と利益縮小が続く見通しになっている。このため配当性向は徐々に上昇している可能性があり、景気悪化や需要減退が長期化した場合には減配リスクも一定程度ある。
ただし営業利益率は18.7%と非常に高く、切削工具メーカーとしてはトップクラスの収益体質を維持している点は大きな強みである。ROAも6.3%と比較的高く、資産効率の良さからキャッシュ創出力は安定している企業といえる。
財務面では無借金経営を継続していることも配当投資では重要なポイントである。借入負担がないため金利上昇局面でも業績への影響を受けにくく、景気が悪化した場合でも一定期間は配当維持が可能な体力を持っている。また営業キャッシュフローも1.6億円→1.8億円→2.0億円と増加しており、設備投資を行いながらも株主還元を継続できる基盤は整っている。
一方でPERは16.2倍~22.8倍と機械株の中ではやや高めで、PBRも1.1倍台と割安感は限定的である。高収益企業としてプレミアム評価を受けている状態のため、配当利回り狙いで高値圏から買うと株価下落リスクが先行する可能性もある。この銘柄は「高利回りを取りに行く株」というより、「収益性の高いニッチ企業を配当をもらいながら保有する株」という位置付けになる。
総合的に見ると、日進工具は爆発的な株価上昇や大幅増配を期待するタイプではないが、高収益・無借金・中配当というバランスの良さを持つ安定型銘柄である。配当を受け取りながら長期でじっくり保有する投資には向いている一方、景気循環の影響で利益が縮小する局面では株価が横ばいまたはやや下落する可能性もあるため、購入タイミングを見極めることが重要な銘柄と判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在の株価877円で見ると、日進工具は売上が大きく成長するタイプの企業ではないものの、超硬小径エンドミルというニッチ分野で高い収益性を維持している安定型の機械株である。営業利益率は18%台と非常に高く、ROAも6%台を維持していることから、景気循環の影響は受けるものの大きく業績が崩れにくい特徴を持つ。一方で利益は21億円→17億円→14億円予想と緩やかな減益傾向にあり、短期的には成長株というより成熟株として評価されやすい局面にある。
良い場合は、半導体関連や電子部品向け精密加工需要が再び拡大し、売上が100億円を超える水準まで成長し営業利益も18億円〜20億円程度まで回復するケースである。高収益体質を維持したままROEが9%台まで改善すれば市場評価も見直され、PERが20倍前後まで評価される可能性がある。その場合、株価は1,100円〜1,400円程度まで上昇するシナリオが考えられる。配当を受け取りながら緩やかな株価上昇が期待できる展開である。
中間の場合は、売上が90億円台で横ばい推移し営業利益も14億円〜16億円程度で安定するケースである。営業利益率は17%前後、ROEも7%前後の水準で落ち着き、市場評価も現在と大きく変わらない可能性が高い。この場合PERは16倍〜18倍程度のレンジで推移しやすく、株価は800円〜1,000円程度の範囲で比較的穏やかな値動きになる可能性がある。配当利回りを中心としたインカム投資型の動きになりやすいパターンである。
悪い場合は、製造業の設備投資停滞や金型需要の低迷が長期化し、営業利益が12億円前後まで低下するケースである。利益率は高水準を維持するもののROEが6%台まで低下し、市場評価も弱くなる可能性がある。その場合PERは14倍前後まで低下し、株価は600円〜750円程度まで下落するシナリオも考えられる。配当維持が難しくなればさらに下押し要因となる可能性がある。
まとめると、日進工具は高収益ニッチ企業であるため大崩れしにくい一方、大きな成長も期待しにくい成熟型銘柄である。5年間の株価イメージとしては、良い場合1,100円〜1,400円、中間の場合800円〜1,000円、悪い場合600円〜750円程度のレンジで推移する可能性が考えられる。配当を受け取りながら安定的に保有する投資に向いた銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年3月21日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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