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西松建設(1820)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

西松建設とは

西松建設株式会社は、東京都港区虎ノ門一丁目17番1号の「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」に本社を置く大手総合建設会社です。創業は1874年(明治7年)と非常に歴史が古く、日本の近代土木技術の発展を支えてきた老舗ゼネコンの一つです。1941年に株式会社化され、1961年に東京証券取引所に上場。現在はプライム市場に上場しています。資本金は約235億円、従業員数は単体で約2,000名、連結で約3,000名規模の企業です。

同社は「土木」「建築」「不動産開発」の3事業を中心に展開しており、特にトンネル・ダム・道路・鉄道など、インフラ土木工事に強みを持ちます。創業以来、山岳トンネルや都市インフラなど難易度の高い工事に数多く携わってきた実績があり、国内でもトップクラスの土木技術力を誇ります。

土木事業では、トンネル、ダム、道路、鉄道、高架橋、港湾、空港、上下水道など、社会基盤整備に関わる幅広い工事を行っています。西松建設は特にトンネル技術に定評があり、「山岳トンネルの西松」と呼ばれるほど。近年ではシールドトンネル工事や耐震補強工事、災害復旧事業などにも力を入れています。また、リニア中央新幹線や高速道路の延伸といった国家規模のプロジェクトにも多数参画しています。

建築事業では、オフィスビル、商業施設、物流センター、工場、学校、病院、集合住宅などの設計・施工を行っています。環境に配慮したZEB(ゼロエネルギービル)や省エネ型建築の推進にも積極的で、脱炭素社会に向けた取り組みを進めています。老朽化建物のリニューアルや耐震補強工事など、再開発分野にも注力しており、民間・公共の両分野で安定した受注を維持しています。

不動産・開発事業では、所有不動産を活用した賃貸事業や、都市再開発・分譲事業なども手掛けています。建設で培ったノウハウを生かし、用地取得から開発・運営まで一貫した事業を展開しています。また、グループ会社を通じて、エンジニアリング・環境関連事業やメンテナンス事業なども行い、収益の多角化を進めています。

さらに、海外事業にも積極的で、アジア・中東・アフリカ地域を中心に道路や発電所、港湾施設の建設などを手掛けています。特に東南アジアでは、長年にわたりODA(政府開発援助)関連プロジェクトを受注しており、海外売上比率の拡大にも取り組んでいます。

西松建設は、公共事業や再開発プロジェクトを通じて社会基盤の整備に貢献しており、近年はESG経営や脱炭素化にも積極的に取り組んでいます。財務体質も安定しており、業績も堅調に推移しています。技術力・信頼性・安定性を兼ね備えた老舗の総合建設会社として、今後もインフラ整備や防災分野での活躍が期待される企業です。

西松建設 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
2023年3月期 339,757 12,615 13,176 9,648 244.4 221
2024年3月期 401,633 18,827 19,578 12,388 313.9 220
2025年3月期 366,811 21,098 20,225 17,543 444.5 220
2026年3月期(予) 420,000 25,000 24,000 17,600 445.9 220

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期(単位:百万円) 営業CF 投資CF 財務CF
2023年3月期 34,747 -27,450 -2,365
2024年3月期 32,037 -41,819 11,083
2025年3月期 5,889 -36,250 16,134

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年3月期 3.7% 6.4% 1.8%
2024年3月期 4.6% 7.3% 2.1%
2025年3月期 5.7% 10.1% 2.9% 15.0倍 11.0倍 1.24倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

西松建設は、国内の大手総合建設会社の中でも堅実な経営と高い技術力を持つ企業です。近年の業績推移を見ると、着実な成長と収益性の改善が進んでおり、投資対象として安定性と中期的な上昇余地の両方を兼ね備えています。

まず業績面では、売上高が2023年3月期の3,397億円から2025年3月期には3,668億円へと増加し、営業利益は126億円 → 210億円と約1.7倍に伸びています。営業利益率も3.7% → 5.7%へ上昇しており、建設コストの抑制と高付加価値案件の増加によって、収益力が確実に強化されています。

純利益も96億円 → 175億円へと大幅に拡大しており、ROE(自己資本利益率)は6.4% → 10.1%、ROA(総資産利益率)は1.8% → 2.9%と資本効率の改善が鮮明です。10%前後のROE水準は建設業界では高く、経営の効率化が進んでいることを示しています。

株価指標面では、2025年3月期の実績PERが高値平均15.0倍・安値平均11.0倍、PBRが1.24倍と、同業他社と比較しても割高感はなく、利益成長を織り込みつつも適正〜やや割安な水準といえます。PER15倍前後は今後の業績拡大を前提とした評価水準であり、現状の利益成長ペースが維持される限り、株価上昇の余地は十分にあります。

キャッシュフローも安定しており、営業キャッシュフローはプラスを維持(2024年度:320億円)しており、財務CFの増加からも財務基盤の強化が進んでいることが確認できます。

総合的に見ると、西松建設は「堅実かつ成長性のある建設株」といえます。業績は安定的に拡大し、ROE・ROA・利益率の改善が進む中、配当も安定的に220円を継続。インフラ再開発、防災需要、脱炭素関連建設など中長期テーマにも対応できる体制を持っており、株価の下支え要因も豊富です。

したがって、投資判断としては中長期で「買い」寄りの安定成長銘柄と評価できます。特に高配当と安定収益を両立している点から、リスクを抑えながら堅実なリターンを狙いたい投資家に適しています。

配当目的とかどうなの?

西松建設は、配当目的での長期保有にとても向いている銘柄です。

まず、ここ数年の配当実績をみると、2023年3月期が1株あたり221円、2024年以降も220円を維持しており、安定した高配当を続けています。業績が拡大している中で無理な増配をせず、堅実に利益を株主へ還元している点は好印象です。景気の波があっても減配リスクが小さく、長期的な安定配当が見込めます。

現在の株価をおよそ4,000円とすると、配当利回りは約5.5%ほどになります。これは建設業界の中でもかなり高い水準で、日経平均採用企業の平均利回り(2%台)を大きく上回っています。定期的に配当収入を得たい投資家にとっては非常に魅力的な銘柄です。

配当性向はおおよそ40〜50%と健全な範囲で、企業の内部留保を確保しつつ、株主還元もしっかり行っているバランス型の方針です。財務体質も良好で、有利子負債が少なく、自己資本比率は50%を超えています。安定したキャッシュフローがあるため、今後も安定配当を継続できる可能性が高いです。

また、西松建設は鉄道・トンネル・ダムなどの公共工事や都市再開発、防災関連の工事に強みを持ち、景気に左右されにくい安定した事業構造を持っています。これらの分野は国のインフラ政策とも深く関わるため、長期的な受注が見込めるのも安心材料です。

総合的に見ると、西松建設は「高い配当利回り」「安定した業績」「強固な財務基盤」を兼ね備えた優良な高配当銘柄です。株価の値上がり益を狙うよりも、毎年の配当収入を重視する投資家に向いており、長期保有で安定したインカムゲインを得たい人にとって最適な銘柄のひとつです。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の 西松建設株式会社の株価を 5,299 円 と仮定して、今後5年間の株価シナリオを想定してみます。以下は良いケース・中間ケース・悪いケースのシナリオです。

良い場合

公共インフラ需要(トンネル、ダム、道路など)や都市再開発・耐震補強工事が活発。営業利益率が5.7%以上維持またはさらに改善し、ROE が 10%前後以上の高水準を維持、ROA も資産効率改善で 3%前後超へ。市場からの評価も上振れ、PER が現在の実績水準から 約16~17 倍 に上昇。この場合、5年後には株価は 約 7,900 ~ 8,500 円 前後まで上昇する可能性があります。配当220円を維持または増配あれば、配当利回りも魅力的な水準を維持。

中間の場合

業績は緩やかに成長。営業利益率は現在の 5.7% 程度をキープ、ROE は約 10%前後、ROA は約 2.9%前後で安定。市場評価は PER 12~14 倍、PBR は約1.2~1.3 倍の範囲。
5年後には株価は 約 6,300 ~ 6,900 円 程度で安定推移。配当 220 円なら利回りは約 3.3~3.5%前後となり、中長期保有には十分な収入源。

悪い場合

公共投資の抑制、資材・人件費上昇、受注減少などの逆風。営業利益率が下降し、例えば 3~4%程度に低下。ROE, ROA も低下傾向。市場評価が下がり、PER が 10~11 倍 程度まで低下。この場合、5年後の株価は 約 4,000 ~ 4,400 円 程度まで下落する可能性があります。配当220 円でも株価下落で総リターンは減少リスクあり。

まとめ

西松建設は利益率・資本効率ともに改善傾向が見え、配当も安定しているため、中長期保有には魅力があります。
株価 5,299 円という水準なら、良いシナリオではかなり上値余地があり、中間シナリオでも堅実に成長・配当収入を得られる見込みです。ただし、悪いシナリオも考慮すべきで、景気変動による影響やコスト上昇リスクは存在します。

投資スタンスとしては、中長期的には保有してもよい銘柄と判断できます。特に配当を目的とした保有や堅実な資産運用には比較的安心できる選択肢です。

この記事の最終更新日:2025年11月1日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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