株価
佐田建設とは

佐田建設株式会社は、群馬県前橋市に本社を置く地域密着型の中堅建設会社で、建築工事、土木工事、さらに建設資材(アスファルト合材など)販売や機材賃貸なども行っています。
公共施設、道路・橋梁・トンネル・上下水道などのインフラ整備を手がける土木事業と、商業施設や公共建築、住宅などの建築工事を両輪として、北関東を中心に関東・東北・関西などでも実績を積んでおり、地域社会のインフラ整備・再開発・防災インフラも担っています。
また、自社で合材プラントを運用してアスファルト合材の製造・販売を手がけ、施工現場への安定供給、コスト削減力も持ち合わせています。機材貸出や建設機器の賃貸事業も展開し、「施工+資材供給+機材賃貸」の複合モデルで地域工事を総合的に支えています。
さらに、ICT施工(情報化施工)、BIM / CIM や、耐震・免震・制震技術、耐震補強などの施工技術開発にも力を入れており、品質や効率、安全面の強化を進めています。
地域に根ざした受注基盤と安定的な公共案件・民間案件をバランスよく取りながら、施工・資材供給・機材賃貸・開発など複数の事業を組み合わせて、堅実なビジネスモデルを構築しています。
佐田建設 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 30,121 | 1,823 | 1,833 | 1,325 | 85.7 | 26 |
| 2024年3月期 | 26,083 | 200 | 210 | 75 | 4.9 | 26 |
| 2025年3月期 | 32,264 | 960 | 968 | 611 | 39.9 | 60 |
| 2026年3月期(予) | 38,700 | 1,090 | 1,080 | 800 | 52.7 | 60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 2,907 | -21 | -601 |
| 2024年3月期 | 2,007 | -97 | -367 |
| 2025年3月期 | 900 | -362 | -371 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均) | PER(安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 6.0% | 8.5% | 4.9% | ― | ― | ― |
| 2024年3月期 | 0.7% | 0.4% | 0.2% | ― | ― | ― |
| 2025年3月期 | 2.9% | 3.9% | 2.2% | 66.5倍 | 37.0倍 | 1.14倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
佐田建設は、北関東を地盤とする中堅ゼネコンであり、建築・土木・合材販売をバランスよく展開する地域密着型の企業です。近年の業績指標(営業利益・経常利益・純利益・ROE・ROA・PER・PBRなど)を総合的に見ると、業績は波がありながらも、安定的に黒字を確保しており、堅実な経営を続けています。
まず、2023年3月期は売上高301億円、営業利益18億円、純利益13億円を計上。営業利益率6.0%、ROE8.5%、ROA4.9%と、同規模の地方ゼネコンの中では収益性が高い水準でした。コスト管理がうまく機能しており、財務面でも比較的健全な状態でした。
一方で、2024年3月期は建設資材の価格上昇や採算の悪い案件が影響し、営業利益が2億円、純利益はわずか7,500万円と大きく減少。営業利益率0.7%、ROE0.4%、ROA0.2%と、利益率がほぼ消失しました。原材料費や労務費の上昇を転嫁しきれなかったことが響き、採算面では苦しい一年でした。
しかし、2025年3月期には営業利益9.6億円、純利益6.1億円と回復基調にあります。営業利益率は2.9%、ROE3.9%、ROA2.2%とまだ十分ではないものの、明確に改善傾向を示しています。受注環境が回復し、コストコントロールが進んできている点は評価できます。
株価指標をみると、2025年3月期の実績PERは高値平均66.5倍/安値平均37.0倍とやや割高感があります。これは純利益の水準がまだ低いためで、利益が安定化すればPERは自然に低下してくる見込みです。実績PBRは1.14倍と、資産価値に対しては適正水準であり、過去と比べても妥当な評価といえます。
全体として見ると、佐田建設は「堅実で安定感のある中堅建設株」であり、地域密着型としての強みを活かした長期安定経営が特徴です。業績には一時的な波があるものの、赤字転落リスクは限定的で、公共工事需要や防災・インフラ更新案件の増加を背景に中期的な改善が見込めます。
ただし、PERが高めで短期的な株価上昇余地は小さいため、短期売買向きではなく中長期保有向きの銘柄といえます。収益改善が続き、営業利益率が3〜4%台を安定的に維持できれば、今後は配当の安定化と株価の上昇が見込まれます。
総合判断としては、「中立〜やや強気」。
リスクは低めで、長期的に地元インフラ需要を背景に堅調な推移が期待できる銘柄です。
配当目的とかどうなの?
佐田建設は、配当を目的とする投資としてある程度魅力のある銘柄です。
ここ数年の配当実績を見ると、2023年3月期が26円、2024年3月期も26円と横ばいでしたが、2025年3月期には業績回復に伴って60円に大幅増配しています。2026年3月期の会社予想でも60円の配当を継続予定です。地方の中堅ゼネコンの中でもトップクラスの利回りを誇っています。
同社は利益が安定しているときには積極的に株主還元を行う姿勢を示しており、業績回復期にはしっかり増配してくる傾向があります。2025年度以降は営業利益や純利益が回復基調にあり、営業キャッシュフローもプラスを維持しているため、現時点での配当継続性は比較的高いと考えられます。
ただし注意点として、2024年度のように利益が落ち込んだ場合は減配する可能性があります。過去にも業績悪化期にはすぐに配当を引き下げているため、「安定配当」ではなく業績連動型の配当だと理解しておく必要があります。つまり、毎年同じ金額が出るタイプの企業ではなく、利益が出ればしっかり配る実力型の配当方針です。
財務面では、借入金が多くなく、自己資本比率も比較的高い水準にあるため、突発的な資金ショックによって配当が止まるリスクは低いと見られます。
総合的に見ると、佐田建設は「業績が安定している限り高配当を期待できる銘柄」です。短期的に配当の上下はあるものの、長期で見れば利回りの高さと地方公共工事の安定需要を背景に、配当狙いの中長期投資には向いています。
つまり、安定配当というよりは、業績回復とともに高配当を享受できる中期保有型の銘柄と言えるでしょう。
今後の値動き予想!!(5年間)
佐田建設の現在の株価は1,083円です。この水準を基準に、今後5年間の株価予想を「良い場合」「悪い場合」「中間の場合」で示します。
良い場合
建設需要が堅調に推移し、公共工事や民間建築の受注が増加。資材価格も落ち着き、利益率が改善して営業利益率が3〜4%台に上昇。ROEも5〜6%台まで伸び、業績は安定して黒字を維持します。
高配当(年間60円)の継続や、株主還元姿勢の強化により投資家の評価が高まれば、PERは20倍前後まで上昇する可能性があります。
この場合、株価は1,300円〜1,500円程度まで上昇する見込みです。配当を含めると、長期保有で年6〜8%程度の総合リターンが期待できます。
中間の場合
業績は現状維持レベルで推移し、営業利益率は2〜3%前後、ROEは3〜4%程度。売上は堅調ながら大幅な成長は見られず、安定配当を続ける形になります。
市場の評価はPER15〜18倍、PBR1倍前後で落ち着き、株価は1,000円〜1,150円程度で推移する見通し。
価格変動は小さくなるものの、配当利回り5〜6%を維持できるため、安定志向の投資家にとっては魅力的な水準です。
悪い場合
資材価格の上昇や公共工事の減少、採算の悪化により利益率が低下。営業利益率は1%未満、ROEも1%前後まで下がり、最悪の場合は赤字転落の可能性もあります。
配当の維持が難しくなり、減配(または一時的な無配)となるリスクが出てきます。市場評価も下がり、PERは10〜12倍、PBRは0.8倍前後まで低下。
この場合、株価は800円〜900円程度まで下落する可能性があります。
まとめ
佐田建設は財務が健全で、地元インフラ需要に支えられた安定企業ですが、業績の波が大きく、建設市況や資材価格の影響を受けやすい点がリスクです。
今後5年間での現実的なレンジは900円〜1,400円程度で、業績次第で上下する見込みです。
堅実に配当を受け取りながら、景気回復局面での株価上昇を狙う「中長期の配当+安定成長狙い」に適した銘柄といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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