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田辺工業とは

田辺工業株式会社は、新潟県上越市に本社を構える総合プラントエンジニアリング企業です。1944年に創業、1959年に設立され、現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。資本金は約8億8,500万円、従業員数は約1,200名規模です。主に化学、石油、エネルギー、食品などの幅広い業界に対して、プラント建設・設備工事・保守メンテナンスを手掛けています。
同社の事業は大きく「プラント工事事業」と「製造・技術サービス事業」に分かれています。プラント工事事業では、化学プラントや環境関連施設などの配管・製缶・機械設置・電気計装工事を一括して請け負い、設計から施工、試運転、保守までをトータルで対応するエンジニアリング体制が強みです。民間の工場案件を中心に、製造業やエネルギー企業などから継続的な受注があります。
また、製造・技術サービス事業では、設備の保全・改修・点検などの長期契約を通じて安定収益を確保しています。近年は、環境負荷低減や省エネルギー関連の設備更新ニーズに対応した技術提案にも注力しています。さらに海外展開も行っており、タイにおいて表面処理事業(めっき加工など)を展開し、東南アジア市場での事業基盤拡大を進めています。
田辺工業の特徴は、機械・配管・電気・計装といった多様な技術分野を自社内で一貫して対応できる点にあります。これにより、顧客のプラント設備に対して「設計から施工、運転支援、メンテナンス」までをワンストップで提供できる体制を構築しています。また、安全管理体制や品質保証体制の整備にも力を入れており、プラント工事業界の中でも高い信頼を獲得しています。
同社は「技術と誠実で社会に貢献する」という企業理念のもと、長年にわたって地域経済への貢献と技術者育成にも積極的に取り組んでいます。今後は再生可能エネルギー分野や次世代プラント設備の需要を見据え、省エネ・脱炭素対応のエンジニアリングサービスを拡充する方針です。
田辺工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 42,944 | 2,732 | 2,785 | 1,656 | 154.8 | 40 |
| 連24.3 | 51,842 | 2,677 | 2,726 | 1,895 | 179.7 | 50 |
| 連25.3 | 50,832 | 3,837 | 3,906 | 2,593 | 247.5 | 87 |
| 連26.3予 | 53,000 | 4,000 | 4,050 | 2,700 | 257.2 | 92 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,829 | -647 | -196 |
| 2024 | -4,740 | -1,089 | 2,899 |
| 2025 | 12,925 | -1,278 | -4,171 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 6.3% | 7.8% | 4.4% | ― | ― | ― |
| 2024 | 5.1% | 8.3% | 4.0% | ― | ― | ― |
| 2025 | 7.5% | 10.3% | 5.6% | 8.3倍 | 5.4倍 | 1.01倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
田辺工業株式会社は、プラント工事を中心とした総合エンジニアリング企業で、ここ数年の業績は安定かつ堅調に推移しています。
2023年から2025年にかけて、売上高は約430億円から500億円超へと拡大し、営業利益は27億円台から38億円台へと伸びています。営業利益率も6.3%→5.1%→7.5%と改善傾向であり、利益率の上昇が明確に見られます。特に2025年は過去3年間で最も高い営業利益率を記録しており、収益性の向上が顕著です。
ROE(自己資本利益率)は7.8%→8.3%→10.3%、ROA(総資産利益率)は4.4%→4.0%→5.6%といずれも上昇傾向にあり、企業の資本効率が着実に改善しています。経常利益・純利益も右肩上がりで、2025年には純利益が25億円を超える見通しです。
株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均8.3倍、安値平均5.4倍、PBRは1.01倍と、やや割安圏ながら適正水準に近い評価です。PBRが1倍前後というのは、企業価値が帳簿上の純資産とほぼ一致しており、今後の成長期待次第で評価が上振れする可能性を示しています。
全体的に見ると、田辺工業は業績が堅調で、財務体質も良好な安定成長企業です。設備投資需要や環境関連工事の拡大を背景に、今後も安定した受注が見込まれます。特に営業利益率とROEの改善が同時に進んでいる点は評価が高く、中長期的な成長と株主還元の両立が期待できる銘柄です。
一方で、プラント業界特有の景気変動リスクや資材価格の変動、為替の影響も受けやすいため、短期的な値動きには注意が必要です。
総合的に判断すると、証券コード1828は「業績安定・収益改善中の中堅優良株」であり、
・中長期での株価上昇を狙う成長投資
・安定した配当を受け取るインカム投資
のどちらにも適した、バランスの良い銘柄といえます。
配当目的とかどうなの?
田辺工業は、配当目的でもとても魅力的な銘柄です。
ここ数年は業績の好調を背景に、配当が着実に増えており、2023年に40円だった配当は2024年に50円、2025年には87円、さらに2026年の会社予想では92円まで増配が見込まれています。毎年のように配当が増えていることから、経営陣が株主還元を重視している姿勢がはっきりと見て取れます。
業績自体も営業利益や純利益が安定しており、配当を支える利益基盤がしっかりしています。配当性向も30%台と無理のない範囲に抑えられており、業績が多少ぶれても配当を維持できる余力があります。現在の株価水準を考えると、利回りはおおむね4%前後と高めで、安定したインカム収入を期待できる水準です。
また、財務体質も堅実で、自己資本比率が高く、借入に依存しない健全な経営を行っています。このため、景気の波が多少あっても急激な減配や無配になるリスクは低いと考えられます。
総合的に見ると、田辺工業は一時的な高配当株ではなく、長期的に安定した配当を出し続ける「堅実な配当株」といえます。今後も業績が堅調であれば、さらに少しずつ増配していく可能性もあり、長期保有でじっくり配当を受け取るには非常に適した銘柄です。
今後の値動き予想!!(5年間)
田辺工業の現在値は2,368円です。
ここから今後5年間の値動きを、業績や株価指標の推移をもとに「良い場合」「中間」「悪い場合」の3つのシナリオで考えます。
良い場合
プラント関連の設備投資需要が国内外で拡大し、受注が堅調に伸び続けた場合、営業利益率とROEの上昇が続き、PERが10倍程度まで見直される可能性があります。環境・省エネ関連の工事が増え、利益率の高い案件が増加すれば株価は上昇基調となり、5年間で3,500円~4,000円前後まで上昇する可能性があります。安定した増配も評価され、株主還元を重視する投資家の買いが入る展開です。
中間の場合
業績は堅調ながら横ばいで、配当も安定的に推移するケースです。PERは現状の7~8倍程度を維持し、株価は2,200円~2,600円前後でのもみ合いが続くと予想されます。値動きは大きくないものの、年4%前後の配当利回りが支えとなり、インカム重視の長期保有には適した水準を保つ見込みです。
悪い場合
世界経済の減速や資材価格の高止まりで、プラント工事の採算が悪化した場合、利益率が下がりPERも低下します。ROEが鈍化し、投資家の評価が下がると株価は1,600円~1,800円程度まで下落する可能性があります。ただし田辺工業は財務が安定しており、赤字転落のような極端な悪化リスクは低いため、下値は限定的と見られます。
総合的に見ると、田辺工業は業績が底堅く、長期的に見ても減配リスクが小さいため、安定配当を受け取りながら中長期で上値を狙える堅実株といえます。短期の値動きを狙うよりも、5年先を見据えてじっくり保有するスタイルに適した銘柄です。
この記事の最終更新日:2025年11月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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