株価
東鉄工業とは

東鉄工業株式会社は、東京都新宿区信濃町に本社を置く総合建設会社で、JR東日本グループの中核的な建設関連企業です。1943年(昭和18年)に設立され、長年にわたり「鉄道インフラの維持・発展」を中心に事業を展開してきました。東京証券取引所プライム市場に上場しており、資本金は28億1,000万円、従業員数は連結で約1,800名規模です。JR東日本が筆頭株主(持株比率約19%)であり、鉄道事業を中心に公共・民間の建設工事を幅広く手掛けています。
主な事業内容は、「線路事業」「土木事業」「建築事業」「環境事業」の4つです。
線路事業では、鉄道会社向けの線路の敷設・保守・改良工事を中心に行っており、特にJR東日本の鉄道設備の保守・更新業務を長年にわたって担っています。軌道工事の分野では全国でもトップクラスの技術力を誇り、線路の安全・安定運行を支える重要な役割を果たしています。また、夜間工事や限られた運行時間内での作業にも対応できる高い施工管理力が評価されています。
土木事業では、鉄道関連の土木構造物の補修・耐震補強工事に加え、道路・橋梁・トンネル・河川・港湾・地下構造物など、公共インフラ工事を幅広く展開しています。特に近年は、災害対策・防災・減災分野に注力しており、国土強靭化関連工事や老朽化したインフラの再生プロジェクトにも積極的に参入しています。
建築事業では、駅舎・車両基地・倉庫・オフィス・教育施設・商業施設など、多岐にわたる建築物の設計・施工を手掛けています。JR東日本関連の施設改修やバリアフリー化、駅ビル再開発などの案件も多く、鉄道関連で培ったノウハウを活かした高品質な施工が強みです。また、耐震補強やZEB(省エネルギービル)など、環境性能の高い建築にも積極的に取り組んでいます。
環境事業では、緑化工事やリサイクル事業、産業廃棄物処理、土壌汚染対策など、環境保全に関わる工事を行っています。鉄道沿線の緑地整備や景観向上、再生資源の有効活用など、サステナブルな社会づくりに貢献しています。
さらに、機械設備のメンテナンスやリース、不動産賃貸などの関連事業も展開しており、建設業に留まらない総合的な事業基盤を持っています。最近では、鉄道インフラのデジタル管理・モニタリングなどICT技術を導入し、効率的な施工や安全性向上を図っています。
東鉄工業の特徴は、安定した受注基盤と高い技術力にあります。JR東日本からの安定した発注に加え、公共事業・民間開発の両面で確実な受注を確保しています。また、鉄道関連の特殊技術を持つことから、他社には代替しづらい強みを有しています。財務面でも自己資本比率が高く、無借金経営に近い健全な財務体質を維持しており、長期的な経営の安定性が際立っています。
経営理念は「信頼・誠実・挑戦」。社会インフラを支える使命を重視し、「安全・品質・環境」の3要素を最優先に掲げています。今後は、鉄道・インフラ・環境の三本柱を軸に、持続可能な社会づくりとインフラの強靭化に貢献していく方針です。
東鉄工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 124,661 | 9,070 | 9,487 | 7,905 | 229.7 | 92 |
| 連24.3 | 141,845 | 11,751 | 12,106 | 8,296 | 241.0 | 97 |
| 連25.3 | 160,047 | 15,526 | 16,035 | 11,564 | 335.9 | 135 |
| 連26.3予 | 165,000 | 16,000 | 16,500 | 12,000 | 348.5 | 140 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | -8,956 | -4,964 | 1,749 |
| 2024 | 4,839 | -3,680 | 1,607 |
| 2025 | 4,160 | -1,247 | -3,579 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 7.2% | 7.7% | 5.2% | ― | ― | ― |
| 2024 | 8.2% | 7.5% | 4.9% | ― | ― | ― |
| 2025 | 9.7% | 9.6% | 6.3% | 12.1倍 | 9.1倍 | 1.22倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
東鉄工業は、JR東日本グループの鉄道インフラ関連工事を中心に安定した業績を続けている企業です。売上高は2023年から2025年にかけて順調に拡大しており、営業利益も90億円台から150億円超へと大幅に増えています。営業利益率も7%台から9%台へ上昇しており、収益体質の改善が進んでいます。
経常利益と純利益も堅調で、2025年の純利益は115億円に達しています。ROEは9.6%、ROAは6.3%と、建設業界の中では高い水準にあり、企業の収益性や資本効率が良好であることが分かります。EPS(1株益)も順調に伸びており、会社として安定的に利益を増やす基盤が整っています。
株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均で12.1倍、安値平均で9.1倍、PBRは1.22倍と、株価は割高ではなく、むしろ適正~やや割安水準といえます。業績の伸びと比較すれば投資妙味は高く、長期的な成長が期待できます。
鉄道関連のインフラ事業は景気に左右されにくいディフェンシブな分野であり、JR東日本からの安定的な受注も続いています。今後も駅舎改修、線路更新、防災関連工事、環境設備などの需要が見込まれるため、長期的に安定した利益が期待できます。
総合的に見ると、東鉄工業は収益性の改善、財務の健全性、そして株価の割安感を併せ持つバランスの取れた企業です。短期的な値動きを狙うよりも、安定成長と高配当を目的とした中長期投資に適している銘柄といえます。
配当目的とかどうなの?
東鉄工業は、配当目的でも十分に魅力のある銘柄といえます。予想配当利回り(2026)は3.30%と、建設業界の中では平均以上の水準です。これに加えて、同社は業績の拡大に合わせて着実に増配を続けており、株主還元の姿勢も非常に安定しています。
2023年から2025年にかけての配当推移を見ると、1株あたりの配当は92円→97円→135円と年々増加しており、2026年3月期の予想でも140円まで引き上げられています。これは営業利益や純利益の増加を背景に、安定したキャッシュフローを活用したもので、無理のない水準での増配です。
また、財務面も健全で、自己資本比率が高く、有利子負債も抑えられています。そのため、将来的に景気がやや悪化しても減配リスクは低いと考えられます。安定した鉄道インフラ需要があることから、業績の大きな変動も少なく、長期的に安定した配当を受け取れる点が魅力です。
総合的に見ると、東鉄工業は「安定成長+高配当」を兼ね備えた銘柄であり、配当目的の長期保有には非常に向いています。特に、3%超の利回りを維持しながら業績が伸びている点は、インカムゲインとキャピタルゲインの両方を狙える理想的なバランスといえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
東鉄工業は現在値4,235円ですが、今後5年間の株価は業績の伸びや公共工事需要の動向によって変動する可能性があります。
良い場合は、鉄道や公共インフラ関連の需要が安定して続き、利益率やROEが上昇を続けた場合です。営業利益率が9%台、ROEが10%前後を維持できれば、業績と株主還元が評価されて株価は6,500円から7,500円程度まで上昇する可能性があります。業績に連動して配当も増える見込みで、安定成長株として評価が高まります。
中間の場合は、業績が緩やかに推移し、営業利益率が8〜9%程度、ROEが8〜9%前後で安定した場合です。このケースでは株価は4,800円から5,800円の範囲で推移し、現状と同程度の水準を維持する可能性が高いです。配当も安定的に続き、利回り3%台を維持すれば長期保有で安心できる銘柄になります。
悪い場合は、公共投資の縮小や建設コストの上昇、人手不足による採算悪化などが起きたときです。営業利益率やROEが低下し、PERやPBRの評価も下がると、株価は3,000円から3,600円程度まで下落するリスクがあります。この場合でも大きな赤字に転落する可能性は低いものの、配当が減額される可能性はあります。
総合的に見ると、東鉄工業は鉄道やインフラ関連に強みを持つ堅実な企業であり、業績の安定性と配当の継続性を考慮すると、長期での保有に適した銘柄です。短期的な値動きよりも、5年程度のスパンで安定した成長と配当を狙う投資先として評価できます。
この記事の最終更新日:2025年11月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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