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大盛工業とは

株式会社大盛工業は、東京都千代田区神田多町に本社を置く建設会社です。1967年6月に設立され、1993年に東京証券取引所スタンダード市場に上場しました。資本金は約31億円、連結従業員数はおよそ140名です。主に下水道や地中インフラなどの公共工事を中心に事業を展開しており、東京都水道局や地方自治体向けの施工実績が多いのが特徴です。
同社の主力事業は土木工事で、特に下水道・管渠・道路開削工事を得意としています。都市部の老朽化したインフラの更新や耐震化工事に強みを持ち、安全・品質管理の徹底を重視した施工体制を構築しています。また、独自の「OLY工法」などを用いた地中工事技術を保有し、狭隘な都市環境での工事にも対応できる技術力を持っています。
そのほか、不動産事業も展開しており、建設で培ったノウハウを活かした土地活用・賃貸事業・不動産売買などを行っています。通信インフラの整備や保守関連事業にも携わり、通信設備や回線施工などの分野でも一定の実績を持っています。
大盛工業は「都市の基盤を支える技術集団」を掲げ、下水道や道路などの社会インフラを支える工事を通じて地域社会に貢献しています。今後も公共工事を中心に、安定した受注と堅実な経営を続けながら、環境負荷の低減や安全対策の強化など、持続可能な社会づくりに取り組んでいる企業です。
大盛工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.7 | 5,244 | 314 | 317 | 254 | 17.1 | 5 |
| 連23.7 | 6,054 | 451 | 433 | 293 | 19.0 | 8 |
| 連24.7 | 5,981 | 621 | 595 | 414 | 22.7 | 10 |
| 連25.7予 | 6,400 | 880 | 860 | 600 | 32.2 | 10〜13 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | -1,950 | 174 | 1,482 |
| 2024 | 1,475 | -135 | -296 |
| 2025 | -871 | -193 | 122 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 7.4% | 5.7% | 2.5% | ― | ― | ― |
| 2024 | 10.3% | 7.4% | 3.4% | ― | ― | ― |
| 2025 | 12.1% | 8.8% | 4.3% | 12.4倍 | 8.9倍 | 2.05倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
大盛工業は、下水道や地中インフラ工事を中心とする中堅建設会社です。近年の業績を見ると、営業利益・経常利益・純利益のいずれも堅調に推移しており、収益体質が確実に改善しています。
まず、営業利益は2023年7月期の3.1億円から、2024年に6.2億円、そして2025年7月期予想では8.8億円と、およそ3年間で約2.8倍に伸びています。営業利益率も7.4%から10.3%、そして12.1%へと上昇しており、建設業界全体の中でも高い水準に入っています。このことから、採算性の改善が明確に進んでおり、工事原価の管理や高付加価値案件の増加が寄与していると考えられます。
また、ROE(自己資本利益率)は5.7%→7.4%→8.8%と着実に改善しており、資本効率の向上が見られます。ROA(総資産利益率)も2.5%→3.4%→4.3%と上昇しており、資産の有効活用が進んでいます。これらの指標から、利益の質・効率性がともに改善しているといえます。
一方、株価指標を見ると2025年の実績PERは高値平均で12.4倍、安値平均で8.9倍、PBRは2.05倍です。建設業としてはやや高めのPBRですが、利益成長率を考慮すれば妥当な水準です。PERも10倍前後と割安感があり、現状の成長スピードが維持されれば中期的な株価上昇余地が十分にあります。
総合的に判断すると、大盛工業は収益性が安定的に改善しており、財務体質も健全です。PBRが高めでもROEの上昇がそれを裏付けており、株価水準はまだ割安圏にあります。公共工事を中心とした安定受注に加え、技術力を活かした独自工法(OLY工法など)も成長要因となっています。
結論として、大盛工業は中長期での成長と株価上昇を狙える堅実な成長株といえます。短期的な急騰は見込みにくいものの、利益率の改善とROEの上昇が継続すれば、安定したリターンを期待できる投資対象です。
配当目的とかどうなの?
大盛工業の予想配当利回りは1.78%で、配当目的としてはやや控えめな水準です。
同社は近年、業績の拡大に合わせて着実に増配を行っており、2022年の5円から2023年に8円、2024年に10円、そして2025年(連26.7期)には10〜13円の配当を予定しています。配当を増やしながらも自己資本の充実を優先しており、無理のない還元姿勢を維持しています。
ただし、1.78%という利回りは、高配当株としての魅力はやや弱いものの、安定的に配当を受け取れる堅実な銘柄といえます。利益率やROEの上昇が続いている点から見ても、今後はさらなる増配の余地があります。
また、大盛工業は下水道・地中インフラ工事などの公共案件が中心で、景気変動の影響を受けにくい安定事業基盤を持っています。そのため、業績悪化による急な減配リスクは比較的低いと考えられます。
総合的に見ると、配当収入よりも業績成長と株価上昇を狙いつつ、安定配当を得るタイプの投資先です。堅実に成長している中小建設株として、長期保有でじっくりリターンを狙う投資家には向いています。
今後の値動き予想!!(5年間)
大盛工業の現在値は646円です。ここから今後5年間の値動きを想定すると、次のような3つのシナリオが考えられます。
良い場合
建設事業、とくに下水道や地中インフラ関連工事が堅調に推移し、独自技術の「OLY工法」などが公共事業や民間案件でも採用拡大する展開です。営業利益率がさらに上昇し、ROEも10%台に乗せるような収益拡大が続けば、投資家評価が高まりPERも上昇する可能性があります。この場合、株価は1,000円〜1,200円程度まで上昇する余地があり、業績成長とともに増配も期待できます。
中間の場合
業績が安定しつつも成長が鈍化し、建設需要や公共投資が横ばいとなるパターンです。営業利益率は10%前後で推移し、現状のROE・ROA水準を維持する形になります。株価は600円〜750円程度のレンジで安定的に推移し、配当も現状の10円前後を維持する可能性が高いです。大きな上昇は見込みにくいものの、安定配当を得ながら堅実に保有できる状態です。
悪い場合
公共事業の発注減少や資材価格の上昇、施工コストの増加などで利益率が低下するシナリオです。営業利益率が7%以下に落ち込み、ROEも5%台に下がるような場合、投資家の評価が下がりPERも縮小します。この場合、株価は400円〜500円程度まで下落するリスクがあります。減配の可能性も小さくはありません。
総合的な見通し
大盛工業は安定した公共インフラ関連の受注基盤を持ち、近年は収益性も改善傾向にあります。急激な株価上昇は見込みにくいものの、堅実に業績を積み上げていくタイプの企業であり、中長期で見れば株価の上昇余地がある安定成長株といえます。5年スパンでは、安定した配当を受け取りながら、業績次第で株価上昇を狙える位置にある銘柄です。
この記事の最終更新日:2025年11月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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