株価
イチケンとは

イチケン株式会社は、東京都港区港南に本社を置く総合建設会社です。1930年に設立され、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。従業員数は連結で約720名、単体で約680名と中堅規模のゼネコンであり、筆頭株主は遊技産業大手のマルハンです。マルハングループ向けの店舗施工をはじめ、商業施設の建築を中心に事業を展開しています。
主力事業は建設事業で、スーパーマーケット、ショッピングセンター、パチンコホール、飲食店舗、ドラッグストアなどの商業施設の新築・改装工事を得意としています。また、オフィスビル、物流施設、医療・福祉施設、教育施設、集合住宅など、多様な分野の建築にも対応しており、全国規模で事業を展開しています。
さらに、内装仕上げ工事やリニューアル工事にも注力しており、建物の長寿命化や環境対応、省エネルギー施工など、時代のニーズに合わせた施工技術を強みとしています。不動産関連事業も一部手掛けており、自社施工物件の賃貸や不動産管理などを通じて安定収益を確保しています。
近年は、建設業の枠を超えて「快適空間の創造」をテーマに掲げ、設計から施工、メンテナンスまで一貫したサービスを提供する体制を整備。安全性・品質・環境への配慮を重視し、持続可能な社会づくりへの貢献を目指しています。
総じて、イチケンは商業建築を得意とする中堅ゼネコンとしての地位を確立しており、安定した受注基盤と多様な施工実績を持つ企業です。
イチケン 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単23.3 | 88,059 | 2,667 | 2,585 | 1,708 | 235.4 | 100 |
| 単24.3 | 96,373 | 4,100 | 4,020 | 2,938 | 404.8 | 110 |
| 連25.3 | 98,999 | 6,866 | 6,800 | 4,697 | 647.2 | 140 |
| 連26.3予 | 99,000 | 5,750 | 5,600 | 3,770 | 519.4 | 140〜150 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,276 | -116 | -1,164 |
| 2024 | 1,882 | 417 | -929 |
| 2025 | 8,144 | -1,353 | 75 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 3.0% | 6.2% | 3.0% | ― | ― | ― |
| 2024 | 4.2% | 9.7% | 4.5% | ― | ― | ― |
| 2025 | 6.9% | 13.7% | 6.9% | 6.4倍 | 4.9倍 | 0.81倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
イチケンは、商業施設やオフィスビルなどの建設に強みを持つ中堅ゼネコンで、近年の業績推移と指標を見ると成長性と収益性の両立が進んでいる安定成長企業と評価できます。
まず、営業利益は2023年3月期の26億円から2024年に41億円、2025年には68億円へと着実に増加しており、営業利益率も3.0%から6.9%まで改善しています。建設業界では3~5%が一般的水準のため、6%台という数字は非常に優れています。これは、採算性の高い案件の受注やコスト管理の徹底、設計・施工一貫体制の強化によるものと考えられます。
経常利益と純利益も同様に増加しており、純利益は2023年の17億円から2025年には47億円規模に拡大。ROEも6.2%から13.7%へと急上昇しており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していることが分かります。ROAも6.9%と、総資産の活用効率も高水準です。
株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均で6.4倍、安値平均で4.9倍、PBRは0.81倍と、いずれも非常に割安な水準にあります。一般的にPERが10倍以下、PBRが1倍を下回る企業は、業績に対して市場が十分な評価をしていない可能性が高く、今後の見直し余地が大きいといえます。
財務基盤も健全で、キャッシュフローも安定しています。営業CFは毎年プラスで推移しており、自己資本比率も高い水準を維持。無理のない経営で利益を積み上げている点も投資上の安心材料です。
総合的に見ると、イチケンは安定した業績成長・高収益体質・割安な株価がそろった魅力的な銘柄です。短期的な値動きよりも中長期的な視点で、業績拡大と株価の再評価を狙う投資に向いています。特に、低PER・低PBRの状態が続いているうちは、中長期での買い場と考えられる優良株といえます。
配当目的とかどうなの?
イチケンは、配当目的でも十分に魅力のある銘柄です。
まず、予想配当利回り(2026年)は3.62%と、建設業界の中でも比較的高い水準にあります。ここ数年、同社は業績拡大に合わせて着実に増配を続けており、2023年3月期の100円配当から、2024年に110円、2025年には140〜150円へと引き上げを予定しています。配当方針としては、業績に応じた安定的な還元を重視しており、無理のない範囲で株主還元を継続している点が特徴です。
財務面でも、営業キャッシュフローが安定しており、借入依存度も低いため、配当の原資には余裕があります。ROEが13%を超えている点から見ても、稼ぐ力が高く、配当を支える利益体質がしっかりしています。
利回り3.6%台という数字は、銀行預金や国債などの利回りを大きく上回り、東証スタンダード市場全体の平均配当利回り(約2.3%前後)よりも高めです。配当性向にもまだ余地があるため、今後のさらなる増配も期待できます。
総合的に見て、イチケンは安定成長と高めの利回りを両立した“実質的な高配当株”といえます。業績の波が比較的小さいうえに、マルハングループという安定した取引基盤も持つため、減配リスクも低めです。
結論として、イチケンは「高配当を狙いつつ、業績拡大による株価上昇も期待したい投資家」に向いた銘柄です。中長期で保有することで、配当+値上がり益の両方を狙える堅実な投資先といえるでしょう。
今後の値動き予想!!(5年間)
イチケンの現在値は3,860円です。ここから今後5年間の株価推移を想定すると、以下のような3つのシナリオが考えられます。
良い場合
建設需要の底堅さに加え、商業施設や物流施設の再開発案件が増加し、受注が順調に拡大する展開です。営業利益率がさらに7〜8%台へ上昇し、ROEも15%を超えるような高収益体質に進化すれば、投資家評価が一段と高まります。PERも現在の6倍台から10倍程度に見直される可能性があり、その場合、株価は5,500円〜6,000円前後まで上昇することが考えられます。配当も150円超へと増配され、配当利回りと値上がり益の両方を狙える展開です。
中間の場合
業績は堅調ながら成長ペースは落ち着き、建設需要が横ばいで推移するシナリオです。営業利益率は6%前後を維持し、ROEも10%前後で安定。配当も140〜150円を継続する見込みで、株価は3,600円〜4,200円前後で推移する可能性が高いです。大きな上昇はないものの、安定配当を受け取りながら中長期保有で安心できる展開です。
悪い場合
資材価格の高騰や人件費上昇、受注競争の激化などにより、利益率が低下するケースです。営業利益率が5%を下回り、ROEも8%前後に落ちると、市場評価が下がりPERも縮小する可能性があります。この場合、株価は2,500円〜3,000円程度まで下落するリスクがあります。業績悪化が長引けば減配の可能性も出てきます。
総合的な見通し
イチケンは堅実な経営基盤と強い受注力を持つ企業であり、財務も健全です。短期的には大きな値動きは少ないものの、業績が安定しており、配当も増加傾向にあることから、中長期で保有すれば安定配当と値上がり益を両立できる成長銘柄です。建設関連株の中でも、景気変動に比較的強い安定型の銘柄といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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