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南海辰村建設とは

南海辰村建設株式会社は、1944年6月30日に設立された老舗の総合建設会社です。本社所在地は大阪府大阪市浪速区難波中3丁目5番19号で、代表取締役社長は浦地紅陽氏です。資本金は20億円、従業員数は約516名で、東京証券取引所スタンダード市場に上場しています。親会社は南海電気鉄道株式会社で、南海電鉄グループの中核建設会社として、鉄道・インフラ・建築の分野で長年の実績を持っています。
事業は主に「建設事業」と「不動産事業」に分かれています。建設事業が全売上の約99%を占める中核事業であり、鉄道関連施設の改良・新設工事、線路切替、プラットフォームや橋梁補強など、南海電鉄を中心とした鉄道工事に強みを持っています。また、土木工事分野では道路・トンネル・上下水道・護岸などの社会インフラ整備を手掛け、公共事業や自治体からの受注も多く、地域に密着した施工体制を確立しています。
建築工事では、マンションやオフィスビル、商業施設、医療・福祉施設、公共建築物など多様な案件を手掛けており、設計から施工、改修、耐震補強まで一貫した体制を有しています。特にリニューアル・リフォーム事業の比重も高まりつつあり、既存建築物の再生や省エネ化への対応にも注力しています。
不動産事業では、自社施工の技術を生かした宅地造成・分譲開発・建物リノベーションなどを展開していますが、全体の売上構成比ではごく一部です。今後は不動産開発と建設技術を融合させた新たな事業モデル構築を目指しています。
同社は「安全・品質・信頼」を経営理念に掲げ、南海電鉄グループの一員として鉄道インフラの安定運行を支えるとともに、地域社会に根ざした街づくりを推進しています。近年は環境配慮型建築、災害対策工事、耐震補強事業などにも注力し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。
南海辰村建設 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
1株益 (円) |
1株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 42,401 | 1,844 | 1,824 | 1,896 | 65.8 | 3 |
| 連24.3 | 43,626 | 1,686 | 1,625 | 1,100 | 38.2 | 4 |
| 連25.3 | 52,945 | 2,381 | 2,388 | 1,714 | 59.5 | 6(記念) |
| 連26.3予 | 48,500 | 2,230 | 2,240 | 1,520 | 52.7 | 6 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 1,824 | 711 | -125 |
| 2024 | 1,522 | -507 | -2,574 |
| 2025 | -6,133 | -137 | 3,933 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.3% | 13.1% | 5.4% | ― | ― | ― |
| 2024 | 3.8% | 6.9% | 3.6% | ― | ― | ― |
| 2025 | 4.4% | 9.9% | 3.9% | 8.0倍 | 6.3倍 | 0.95倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
南海辰村建設は、建設業を中心に安定した業績を続けている中堅ゼネコンであり、直近の数値を見る限りでは「堅実かつ安定成長型の企業」と評価できます。
まず、営業利益は2023年から2025年にかけて1,844百万円 → 1,686百万円 → 2,381百万円と増加傾向にあります。経常利益・純利益も同様に上昇しており、収益基盤の改善が見られます。特に2025年は過去3年間で最も高い営業利益水準を記録しており、利益率の回復が顕著です。
営業利益率は4.3% → 3.8% → 4.4%と業界平均並みを維持しており、建設業としては安定的な採算を確保しています。ROEも6.9%から9.9%へと改善し、資本効率も向上。ROAも3.9%と堅調で、財務体質に無理のない運営が行われています。
一方で、PERは高値平均8.0倍・安値平均6.3倍、PBRは0.95倍と、株価的には割安圏に位置しています。 建設セクター全体が低PBR傾向にある中で、1倍を下回っている点は依然として市場の評価が控えめであることを示しています。
総合的に見ると、同社は大きな成長株ではないものの、安定配当と財務健全性を重視する投資家には魅力的な中長期保有銘柄といえます。景気後退局面にも比較的強く、配当も増加傾向にあるため、長期的な資産防衛目的に適しています。
したがって、現状の数値を踏まえると投資判断は「中長期で安定保有が妥当。割安圏での買い検討は有望」と考えられます。
配当目的とかどうなの?
南海辰村建設は、配当目的で投資するにはやや物足りない銘柄です。
2023年に3円、2024年に4円、2025年には記念配当を含めて6円を実施しており、配当金は少しずつ増えています。2026年3月期の予想配当も6円で、予想配当利回りは約1.01%となっています。利回りとしては決して高くはありませんが、赤字リスクが低く、業績も安定しているため、無理のない範囲で配当を続けている点は評価できます。
建設業の中でも堅実な経営を行っており、ROEやROAも安定しているため、急な減配リスクは小さいと考えられます。ただし、インカムゲイン狙いの投資としては魅力が薄く、どちらかといえば安定した企業に中長期で投資したい人向けです。
つまり、南海辰村建設は「高配当を狙う銘柄」ではなく、「配当を維持しながら安定経営を続ける堅実銘柄」という位置づけになります。
今後の値動き予想!!(5年間)
南海辰村建設の現在値は593円です。今後5年間の株価推移について、業績や市場環境を踏まえて3つのシナリオで考えます。
良い場合
公共工事や鉄道関連の受注が堅調に推移し、利益率がさらに改善するケースです。特に南海電鉄グループ案件や公共インフラ工事の増加により安定的な収益が確保され、営業利益率が5%前後まで上昇する可能性があります。PERが現在の水準(約6〜8倍)から見直されれば、株価は900円〜1,000円台まで上昇する余地があります。中長期的には緩やかな右肩上がりの展開が期待されます。
中間の場合
業績は横ばいで推移し、景気の変動による上下はあるものの、一定の収益を維持するケースです。配当も安定的に6円前後を継続する見込みで、堅実な経営姿勢が続くと予想されます。この場合、株価は550円〜700円前後のレンジで推移し、ボックス相場が続くと考えられます。
悪い場合
建設コストの上昇や資材高、労務費負担などが業績を圧迫し、利益が減少するケースです。さらに公共投資が縮小したり、受注競争が激化すれば、営業利益率が3%を下回る可能性もあります。この場合、株価は400円〜450円程度まで下落するリスクがあります。
総合的に見ると、南海辰村建設は急成長を狙う銘柄ではなく、安定した業績と配当を重視する堅実型の中小建設株です。中長期では堅調な推移が見込まれ、「安定重視で中長期保有に向く銘柄」といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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