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熊谷組とは

株式会社熊谷組は、準大手の総合建設会社であり、土木・建築の両分野で幅広い実績を持つ企業です。本社は東京都新宿区津久戸町2番1号にあり、1938年1月6日に設立されました。資本金は約302億円、上場市場は東京証券取引所プライム市場、決算期は3月末です。
同社はトンネル、道路、ダム、鉄道、橋梁などのインフラ整備を行う「土木事業」と、オフィスビル、商業施設、学校、病院、マンションなどを建設する「建築事業」を主力としています。特にトンネルやダムといった大型の公共工事に強みを持ち、全国の主要インフラ建設に多数関与しています。
また、都市再開発事業やPFI(官民連携事業)、再生可能エネルギー関連工事などにも積極的に取り組み、社会インフラの整備と環境技術の融合を目指しています。近年では、災害復旧や防災関連事業にも力を入れており、災害対応力の高い建設技術を磨いています。
筆頭株主は住友林業株式会社で、資本業務提携関係により、木造建築分野や環境建設分野でも協業を進めています。これにより、従来の大型土木工事中心の事業から、環境調和型の新しい建設事業への拡大を図っています。
経営理念として「技術と誠意で社会に貢献する」を掲げ、安全性・品質・環境保全に配慮した施工を重視。働き方改革やDX(デジタルトランスフォーメーション)にも積極的に取り組み、生産性向上と人材育成に注力しています。
熊谷組は、長い歴史と確かな施工技術を強みに、公共・民間両方の分野で堅実な経営を続けている安定企業です。
熊谷組 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
1株益 (円) |
1株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 403,502 | 11,483 | 12,236 | 7,973 | 179.6 | 130 |
| 連24.3 | 443,193 | 12,649 | 13,040 | 8,316 | 192.4 | 130 |
| 連25.3 | 498,581 | 14,299 | 14,411 | 9,354 | 217.7 | 130 |
| 連26.3予 | 493,000 | 22,800 | 23,000 | 15,400 | 358.7 | 160 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | -18,826 | -8,458 | 456 |
| 2024 | 16,971 | -10,778 | 22,319 |
| 2025 | 8,233 | -11,990 | -16,466 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER(高値平均) | 実績PER(安値平均) | 実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 2.8% | 4.6% | 2.1% | ― | ― | ― |
| 2024 | 2.8% | 4.6% | 1.7% | ― | ― | ― |
| 2025 | 2.8% | 5.1% | 2.0% | 19.6倍 | 13.7倍 | 1.36倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
株式会社熊谷組は、業績・収益性ともに安定した推移を見せており、堅実な経営と中長期的な安定成長が期待できる建設株といえます。提示された数値から判断すると、今後も堅調に利益を積み上げていく可能性が高く、投資対象としてバランスの取れた銘柄です。
まず、営業利益は2023年の11,483百万円から2025年には14,299百万円へと増加しています。経常利益・純利益も同様に右肩上がりで、2023年の純利益7,973百万円に対し、2025年は9,354百万円と増益傾向を維持しています。売上高も年々拡大しており、収益基盤は非常に安定しています。
営業利益率は3年連続で2.8%とほぼ一定ですが、これは建設業界全体の平均的な水準であり、安定した利益体質を示しています。ROEは4.6%から5.1%へ、ROAも2.0%前後で推移しており、資本効率・資産効率の改善も見られます。急成長型ではないものの、安定的に利益を出す堅実な経営体制が評価できます。
一方で、2025年の株価指標を見ると、PER(株価収益率)は高値平均19.6倍、安値平均13.7倍、PBR(株価純資産倍率)は1.36倍となっています。PBRが1倍をやや上回っていることから、市場では一定の成長性と財務健全性を評価している状態です。PER水準も過熱感はなく、やや割安から適正価格帯に位置しています。
総合的に見ると、熊谷組は派手な成長を狙う銘柄ではないものの、堅実な業績と健全な財務を背景にした中長期安定型の投資銘柄といえます。
したがって投資判断としては、「堅実経営で安定成長を続ける、安定配当型の中長期保有に適した銘柄」です。
株価の急騰は見込みにくいものの、業績の安定性と財務の健全さを重視する投資家には向いています。
配当目的とかどうなの?
熊谷組は、配当目的としては「安定重視型の中配当銘柄」といえます。
2026年3月期の予想配当は1株あたり160円で、予想配当利回りは約2.85%です。高配当株とは言えませんが、建設業界の中では安定的な還元を続けている企業の一つです。特に熊谷組は、利益の波が比較的少なく、業績に応じて一定水準の配当を維持してきた実績があります。
配当の継続性という点で見ると、直近3年間の配当は130円を維持し、2026年3月期に160円へと増配予定です。業績拡大に合わせて増配を実施していることから、配当方針に一貫性と余裕が感じられます。ROEも5%台に改善しており、財務体質も良好で減配リスクは低いと見られます。
一方、利回り2%台後半という数値は「高利回り投資」を狙うにはやや物足りない水準ですが、安定的に長期で配当を受け取りたい投資家には向いているといえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社熊谷組(証券コード1861)の現在値1,401円を前提に、今後5年間での株価見通しをシナリオ別に整理しました。
良い場合
公共インフラ(トンネル、道路、ダムなど)や大型建築案件が堅調に推移し、受注拡大・コスト改善が進むケース。営業利益率やROE/ROAも改善を継続し、収益性・効率性ともに高まれば、市場評価も上向く見込み。株価は現在の約1,400円から、業績成長とともに1,800円〜2,000円程度まで上昇する可能性があります(建設業界の回復 + 増配期待 + 割安感の解消を想定)。
中間の場合
景況や公共投資の影響を受けつつも、安定的に利益を確保し続けるケース。営業利益率は現在の水準前後、ROE/ROAも中程度を維持し、配当利回り(約2.8〜3%前後)も安定。株価は1,300円〜1,600円あたりでレンジ相場となり、緩やかな右上がり展開を想定できます。
悪い場合
建設資材コストの高騰、人手不足、公共事業見通しの縮小などで業績が圧迫されるケース。利益率低下や受注減少が生じ、ROE/ROAも低下。株価は業績減速や投資家の評価悪化で下落し、1,000円〜1,150円あたりまで下がる可能性があります。
総合的には、熊谷組は過去実績でも安定的な利益と財務体質を維持しており、現在価格1,401円は過去の指標・業績を見ても現状では割高感はややあるが過熱ではない適正水準と考えられます。中長期保有なら堅実な見通しが持てます。
この記事の最終更新日:2025年11月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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