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日揮ホールディングス(1963)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

日揮ホールディングスとは

日揮ホールディングス株式会社は、日本を代表する総合エンジニアリング企業であり、世界各国でエネルギー関連施設やインフラ整備プロジェクトを手掛けています。本社は神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目3番1号にあり、設立は1961年10月1日、上場は1962年5月17日です。資本金は約238億円で、東京証券取引所プライム市場に上場しています。

日揮ホールディングスは、旧・日揮株式会社を持株会社化して設立された企業で、グループ全体を統括しながら、エンジニアリング事業と機能材事業を2本柱に展開しています。世界約80カ国でプロジェクトを実施しており、特にLNG(液化天然ガス)プラント、石油精製・化学プラント、発電所、水処理施設などの設計・調達・建設(EPC)分野で高い技術力を誇ります。

主力のエンジニアリング事業では、エネルギー分野(LNG・石油・ガス・再生可能エネルギーなど)、社会インフラ分野(上下水道、廃棄物処理、都市インフラなど)、およびライフサイエンス分野(医薬品・バイオ関連プラント)の設計・施工・プロジェクト管理を行っています。これまでに世界各国で数千件に及ぶ大型プラントプロジェクトを成功させており、特に中東・東南アジア・アフリカ地域での実績が豊富です。

もう一つの柱である機能材製造事業では、触媒や特殊材料、エネルギー変換用の素材などを開発・製造し、化学・環境・電子分野に供給しています。環境技術や資源循環にも力を入れており、脱炭素社会の実現に向けて、水素エネルギー・CO₂回収(CCUS)・バイオ燃料・再生可能エネルギー関連の技術開発も推進しています。

また、環境・エネルギーソリューション事業として、エネルギー効率の改善、再生可能エネルギー導入、資源循環型システムの構築などのコンサルティングサービスも行っています。政府や自治体、企業の脱炭素化戦略に対する技術支援も積極的に行い、グローバルな環境課題の解決に貢献しています。

同社は「Enhancing Planetary Health(地球の健康を高める)」というビジョンを掲げ、従来のエネルギー関連事業から、次世代のクリーンエネルギー・環境技術分野へと事業領域を拡大しています。特に水素・アンモニア燃料や再エネ、医薬・ライフサイエンス分野への進出を強化しており、エンジニアリング会社から「総合技術ソリューション企業」への転換を進めています。

日揮ホールディングスは、100年以上にわたる技術蓄積を基盤に、エネルギー・環境・社会インフラを支えるプロジェクトを世界中で展開し、持続可能な社会の実現を目指すグローバル企業です。

日揮ホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当り配当(円)
連23.3 606,890 36,699 50,560 30,665 122.3 38
連24.3 832,595 -18,995 358 -7,830 -32.5 40
連25.3 858,082 -11,474 11,320 -398 -1.7 40
連26.3予 690,000 21,000 26,000 17,500 72.4 40

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF 投資CF 財務CF
連23.3 110,769 -11,471 -61,288
連24.3 11,090 -20,201 -8,894
連25.3 46,761 -21,172 -15,049

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
連23.3 6.0% 7.7% 4.3%
連24.3 -2.3% -2.1% -1.0%
連25.3 -1.4% -0.2% -0.1% 17.1倍 11.2倍 0.99倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

日揮ホールディングスは、国内外でエネルギー・化学プラントを手がける日本を代表する総合エンジニアリング企業です。直近の業績を見ると、売上高は安定していますが、利益面では苦戦が続いており、投資判断は「短期的には慎重、中長期では回復期待あり」と言えます。

まず営業利益を見ると、2023年3月期は366億円の黒字でしたが、2024年には189億円の赤字、2025年も114億円の赤字となりました。経常利益も2023年の505億円から、2024年はわずか3億円、2025年は113億円と大幅に落ち込んでいます。純利益も2023年の306億円から2024年は78億円の赤字、2025年も4億円の赤字でした。業績が低迷した背景には、海外で進行していた大型プラント案件でのコスト増加や資材高、人件費の上昇などがあります。

営業利益率は2023年6.0%から2024年に-2.3%、2025年に-1.4%まで低下しており、利益構造が悪化しています。ROEも7.7%からマイナス圏に落ち込み、ROAも同様にマイナスに転じています。現時点では収益性が低下しており、投資家から見ると「調整局面にある企業」と言えます。

一方で、財務体質は非常に安定しており、自己資本比率は50%台後半を維持しています。借入依存度も低く、資金繰りに大きな問題はありません。こうした点から、事業の基盤はしっかりしており、業績回復への耐久力は十分にあります。

株価指標をみると、2025年の実績PERは高値平均17.1倍、安値平均11.2倍、PBRは0.99倍です。PBRが1倍を下回っているということは、会社の純資産とほぼ同じ水準で評価されているということです。これは市場が「業績は厳しいが財務的には安全で、将来の回復を織り込み始めている」状況と考えられます。

会社側の見通しでは、2026年3月期に営業利益210億円、経常利益260億円、純利益175億円と3期ぶりの黒字回復を見込んでいます。1株当たり利益も72円に回復予想で、配当も40円を維持する方針です。つまり、業績は底を打ち、2026年以降にかけて回復軌道に戻る可能性が高いと考えられます。

また、今後は水素やアンモニア、CCUS(二酸化炭素回収・再利用)、再生可能エネルギーなど、脱炭素社会を見据えた新事業への転換を進めています。これらの分野での受注が増えれば、再び成長ステージに戻る可能性が十分あります。

総合的に見ると、日揮ホールディングスは短期的には収益悪化が続いており、業績リスクが残っていますが、財務面が安定しており、今後の黒字転換と新分野での成長が見込めます。株価もPBR1倍以下と割安で、長期目線では買いを検討できる銘柄です。配当も40円を維持しており、配当利回りは3%前後と安定しているため、長期保有での安定収益を狙う投資家には向いています。

結論として、日揮ホールディングスは「短期的には停滞、長期的には回復期待のある再生型銘柄」であり、今後の黒字回復と新エネルギー関連案件の動向が株価上昇のカギとなるでしょう。

配当目的とかどうなの?

日揮ホールディングスは、配当目的の投資として見ると、現時点ではやや慎重に判断した方が良い銘柄です。予想配当利回り(2026年)は2.56%と、日本株全体の平均(おおむね2.8〜3%前後)より少し低い水準にとどまっています。

同社は、海外の大型プラント案件を多く抱えるエンジニアリング企業であるため、業績が景気や資材コスト、為替などの影響を受けやすく、毎年の利益にブレが出やすい特徴があります。したがって、安定配当を目的にした長期保有にはやや向きにくい面があります。

ただし注目すべき点は、業績が赤字だった年度でも配当を維持していることです。2023年3月期に38円、2024年・2025年も40円を継続し、2026年3月期も予想で40円と、減配を行っていません。利益が出ていない時期にも配当を維持しているのは、株主への還元姿勢が比較的強い証拠と言えます。

一方で、利益が伴わないまま配当を維持することは、長期的に見るとリスクもあります。配当性向(利益に対する配当の割合)は赤字年度では実質100%を超えており、業績が悪化すれば減配の可能性も出てくるからです。そのため、現在の配当は「財務の安定性に支えられた維持配当」という性格が強く、業績が安定するまでは増配は期待しにくい状況です。

ただ、2026年3月期は純利益175億円、1株あたり利益72.4円の黒字転換が予想されています。この見通しが実現すれば、配当性向はおよそ55%程度まで下がり、利益に見合った健全な配当水準に戻ります。今後、黒字回復が順調に進めば、増配の可能性も十分にあります。

総合的に見ると、日揮ホールディングスは「安定高配当株」と呼ぶほどの利回りではないものの、配当を守る姿勢が強く、財務面でも健全です。現時点では配当を目的に買うよりも、業績回復とともに株価上昇と配当の両方を狙う中長期投資に向いていると言えます。

つまり、「今すぐ配当で稼ぐ銘柄」ではなく、「業績回復とともに増配・株価上昇の両方が期待できる再成長型の銘柄」という位置づけです。

今後の値動き予想!!(5年間)

日揮ホールディングスの現在値は1,562.5円です。今後5年間の株価の動きを想定すると、同社の業績回復スピードや世界のエネルギー市場の動向によって、株価の行方は大きく3つのパターンに分けられます。

良い場合のシナリオ
2026年3月期の黒字転換を皮切りに、業績が着実に改善していくパターンです。大型プラント案件の採算が正常化し、これまでの損失処理が一巡。エネルギー転換の流れに乗って、水素、アンモニア、CO₂回収(CCUS)といった次世代エネルギー事業の受注も増加します。海外プラント需要の回復も業績を後押しします。

営業利益率は再び5〜6%台に戻り、ROEも7〜8%前後へ改善。黒字の持続が確認されれば、株式市場の評価も上がり、PERやPBRが上向く可能性があります。

この場合、株価は年率でおおむね8〜10%程度の上昇が見込まれ、5年後には2,300円〜2,500円程度まで上昇する可能性があります。増配や自社株買いが再開されれば、さらに上値余地が出てくるでしょう。

中間シナリオ
景気や資材コストなどの環境要因が不安定な中でも、日揮が安定的に黒字を維持するケースです。海外案件の採算が徐々に改善しつつも、原材料価格や物流コストが重しとなり、利益率の回復スピードは緩やか。営業利益率は3〜4%台、ROEは5%前後で推移するイメージです。

配当は40円を維持し、黒字回復によって配当性向も健全な範囲に収まります。投資家の期待は徐々に戻りますが、急激な上昇はなく、株価は年率3〜5%ほどの緩やかな上昇にとどまります。この場合、5年後の株価は1,800円〜1,990円程度が想定されます。堅実な保有を続けることで配当と株価上昇を合わせて年率5〜7%の総合リターンが見込める堅調な展開です。

悪い場合のシナリオ
世界的な景気減速や資材価格の上昇、為替の円高などが重なり、再び採算の悪化が起きるケースです。海外プラント事業でコスト負担が増し、黒字転換が遅れ、業績が低迷。営業利益率が1〜2%台、ROEもほぼゼロ近辺となる可能性があります。

投資家心理も弱気になり、PERが11倍前後から8〜9倍水準に下がり、PBRも0.8倍程度まで低下。株価は年率で2〜3%ほど下落する展開となり、5年後には1,360円〜1,430円前後まで下がるリスクがあります。配当は維持される可能性が高いものの、増配は期待しづらく、資金効率の悪い投資となる恐れがあります

まとめ(投資判断)
日揮ホールディングスは短期的な業績の変動が大きい企業ですが、財務体質は健全で、黒字転換後は再び成長軌道に戻る可能性があります。現在の株価1,562.5円は、PBRで見ると資産価値とほぼ同等の水準であり、中長期で見れば割安圏にあります。

良い場合には2,500円前後まで上昇する余地があり、中間でも堅実に1,900円前後が期待できます。一方で、世界経済や資材価格の動向次第では下値1,400円程度までのリスクも残ります。

結論として、日揮ホールディングスは「短期的な値動きは荒くても、長期では業績回復とともに株価上昇が期待できる中長期保有向けの銘柄」です。業績次第で配当も安定しており、今後のエネルギー関連プロジェクトの展開が株価を左右する鍵になるでしょう。

この記事の最終更新日:2025年11月3日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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