株価
日本ハムとは

日本ハム株式会社は、日本を代表する総合食品メーカーであり、ハム・ソーセージ・加工食品・食肉事業を中心に、国内外で幅広く事業を展開しています。本社は大阪府大阪市北区梅田2丁目4番9号にあり、設立は1949年5月30日、資本金は約362億円です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、グループ全体の従業員数は約1万5000人を超えます。
日本ハムグループは「食べる喜び」を通じて人々の健康と生活を豊かにすることを企業理念とし、国内最大級の食肉加工・販売ネットワークを構築しています。食肉事業では、牛・豚・鶏肉の生産から加工、販売までを一貫して行う「フードチェーンシステム」を確立しており、原料の調達から最終製品の提供まで自社グループ内で完結できる強みを持っています。
主力製品としては、「シャウエッセン」や「彩りキッチン」などのハム・ソーセージ、「中華名菜」シリーズや「石窯工房」ピザ、「チキチキボーン」などの加工食品が広く知られています。また、コンビニ向け惣菜や冷凍食品、業務用食材なども手がけており、家庭用から業務用まで幅広い分野で高いシェアを維持しています。
さらに、日本ハムは海外展開にも積極的です。アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アジアなどに現地法人や生産拠点を設け、海外市場での事業拡大を進めています。特に米国・豪州では畜産事業の基盤を強化しており、原料肉の安定供給体制を整えています。
近年は環境・健康意識の高まりを受けて、植物由来の代替肉や低脂質・高たんぱく商品の開発にも注力しています。また、サステナビリティ経営にも力を入れており、CO₂削減やフードロス対策、動物福祉への配慮などにも取り組んでいます。
経営ビジョンとしては、「たんぱく質を中心とした食の未来を創る企業グループ」を掲げ、食肉・加工食品・水産・乳製品など多様な分野で新たな付加価値を生み出しています。スポーツ分野でも北海道日本ハムファイターズの球団運営を通じて地域社会との関係を強化しており、食とスポーツを通じたブランド価値の向上を図っています。
総合的に見ると、日本ハムは長い歴史と高いブランド力、国内外の安定した供給体制を強みとする食品メーカーであり、今後も「安全・安心な食の提供」と「健康志向型製品の拡大」を軸に、持続的な成長を目指しています。
日本ハム 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 1,259,792 | 17,859 | 22,162 | 16,637 | 162.4 | 110 |
| 2024年3月期 | 1,303,432 | 40,232 | 40,599 | 28,078 | 273.7 | 119 |
| 2025年3月期 | 1,370,553 | 36,978 | 37,198 | 26,585 | 263.1 | 135 |
| 2026年3月期(予) | 1,400,000 | 45,000 | 45,000 | 30,000 | 304.1 | 156 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 11,331 | -63,677 | 28,417 |
| 2024年3月期 | 86,586 | -39,224 | -53,189 |
| 2025年3月期 | 77,441 | -42,717 | -29,851 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均) | PER(安値平均) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 1.4% | 3.3% | 1.7% | ― | ― | ― |
| 2024年3月期 | 3.0% | 5.3% | 2.9% | ― | ― | ― |
| 2025年3月期 | 2.6% | 5.0% | 2.8% | 22.7倍 | 17.3倍 | 1.07倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
日本ハムは、国内食肉業界の最大手であり、ハム・ソーセージや加工食品、冷凍食品、食肉流通などを幅広く手掛ける総合食品メーカーです。近年の決算データ(2023~2025年)を見ると、売上高は着実に伸びている一方で、利益面は安定ながらもやや波のある推移となっています。
まず営業利益の推移を見ると、2023年が17,859百万円と落ち込んだ後、2024年に40,232百万円へと大きく回復しました。2025年は36,978百万円とやや減益ながらも、2023年比では依然として高い水準を維持しています。営業利益率も2023年の1.4%から2024年に3.0%、2025年は2.6%と推移しており、利益率としては決して高くないものの、食品業界の中では平均的なレベルです。
この推移から見ると、2023年は原材料高やエネルギーコスト上昇の影響を受けた一時的な落ち込みであり、その後はコスト転嫁と効率改善によって回復基調にあることが分かります。
ROE(自己資本利益率)は2023年の3.3%から2024年に5.3%まで上昇し、2025年は5.0%を維持しています。ROA(総資産利益率)も同様に、2023年の1.7%から2025年にかけて2.8%まで改善しており、資本効率は少しずつ良化しています。
この数値は食品メーカーの中では標準的で、「低リスク・安定型」の経営スタイルを反映しています。高収益企業ではないものの、堅実な経営を行っている印象です。
株価指標を見ると、2025年のPERは高値平均22.7倍、安値平均17.3倍、PBRは1.07倍と、やや割高にも見えますが、これは同社の安定的なキャッシュフローとブランド力が評価されている証拠でもあります。食品セクター全体の平均PERが15~20倍程度であることを考えると、日ハム株は中立的~やや高めの評価といえます。
一方、純利益は2023年に16,637百万円、2024年に28,078百万円、2025年に26,585百万円と、安定的に推移しています。利益成長は緩やかですが、為替や飼料コストの変動といった外部要因を考慮すると、非常に堅実な数字です。国内市場の需要が安定しているうえ、海外事業の拡大によって収益構造も分散化されており、中長期的に見てもリスクは低いです。
総合的に見ると、日本ハムは「安定成長型・ディフェンシブ銘柄」として評価できます。短期的な株価上昇は期待しづらいものの、業績の下振れリスクは小さく、配当や長期保有による安定的なリターンを狙う投資家には適しています。
営業利益率・ROEの水準から見ても、高成長株というよりは「守りの銘柄」であり、景気後退局面でも堅調なパフォーマンスを発揮するタイプです。
したがって、投資判断としては、中長期の安定保有に適した“やや割高だが堅実な買いという評価が妥当です。リスクを抑えて安定配当を狙う投資家に向いた銘柄であり、株価が調整局面に入ったタイミングでは積極的に買い増しを検討できる企業といえます。
配当目的とかどうなの?
日本ハムは、配当目的の投資先として見ると「安定性は高いが、利回りはやや控えめ」な銘柄といえます。予想配当利回りは2.74%で、食品業界の中では平均的な水準です。高配当株とまでは言えませんが、業績の安定性と長期的な増配傾向を考えると、安心して保有できる配当銘柄に分類されます。
同社は2023年の1株当たり配当110円から、2024年に119円、2025年に135円、そして2026年には156円へと増配を続けており、近年は着実に配当を引き上げています。これは利益成長に伴うものであり、配当性向もおおむね40%前後と、無理のない水準を維持しています。減配リスクが低く、業績が安定しているため、将来的にも緩やかな増配が続く可能性が高いです。
営業キャッシュフローも堅調で、2024年には865億円、2025年にも774億円を確保しており、安定的な資金繰りが配当の裏付けとなっています。また、自己資本比率も高く、借入金依存度が低いため、外部環境の変化にも強い財務体質です。
ただし、利回り水準だけで見ると、食品業界の中で特に高いわけではありません。たとえば、明治ホールディングス(3.5%前後)や味の素(約2.8%)と比べても平均的です。とはいえ、日本ハムは「安定した業績と緩やかな増配」を重視しており、長期的に見るとインカムゲイン+安定株価を狙える堅実な銘柄です。
したがって、短期の高配当狙いには向きませんが、長期で安定した配当を受け取りたい投資家には適した企業です。特に生活必需品セクターの中でも収益変動が少ないため、景気の悪化時にも安定したインカム収入を維持できる点が強みです。
総合的に見ると、「高すぎず、低すぎず、安心感のある配当株」という評価になります。堅実な企業に長期で資金を預けたい投資家には向いており、2.7%の利回りでも安定的な増配が続けば、将来的なトータルリターンは十分魅力的です。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本ハム(証券コード2282)の現在値は5,680円です。今後5年間(2025年〜2030年頃まで)の株価の動きを、「良い場合」「悪い場合」「中間」の3つのシナリオで考えてみます。
良い場合(強気シナリオ)
国内外での販売が順調に拡大し、特にハム・ソーセージや冷凍食品、海外事業が安定して成長するケースです。原材料価格が落ち着き、円安が収益を押し上げ、営業利益率も現在の2.6%から3.5%〜4%程度に上昇します。1株当たり利益(EPS)は年5%ほど成長し、5年後には約400円前後まで増えると想定されます。
この場合、市場からの評価(PER)が20倍程度まで上昇すれば、株価は7,800円前後まで上がる可能性があります。さらに配当も年々増え、5年後には200円前後に達すれば、配当利回りも3%後半まで上昇する見込みです。総合的に見て、株価上昇+配当を合わせた年平均リターンは5〜7%程度が期待でき、長期的に見れば堅実な成長シナリオです。
中間(現実的シナリオ)
業績は安定しており、国内市場が堅調に推移する一方で、海外事業も徐々に成長を続けるケースです。原材料価格や円相場の影響は受けるものの、価格転嫁やコスト削減で対応し、営業利益率は2.8〜3.0%程度を維持。
EPSは年2〜3%程度の緩やかな成長で、5年後には330円前後まで伸びると考えられます。PERは現在水準の17〜18倍を維持すると仮定すると、株価は5,600〜6,000円前後の範囲で推移する可能性が高いです。増配も続く見込みで、配当利回りは3%前後を維持。株価の大幅上昇は期待しにくいものの、安定した配当収入を得ながら長期保有するには十分魅力的な展開です。
悪い場合(弱気シナリオ)
原材料価格や飼料コストが再び上昇し、円高や物流費の増加も重なって収益が圧迫されるケースです。営業利益率は2%前後まで低下し、EPSも横ばい〜微減の280円程度まで落ち込む可能性があります。市場評価も慎重になり、PERが15倍程度まで低下すれば、株価は4,200円前後まで下落する可能性があります。
それでも日本ハムはキャッシュフローが安定しており、減配リスクは小さいため、配当は150円程度を維持する見込みです。株価が下がっても利回りは3.5%程度あり、一定の下支えにはなるでしょう。
まとめ(総合見通し)
現在値5,680円に対して、
- 良い場合:7,600〜8,200円
- 中間:5,600〜6,000円
- 悪い場合:4,100〜4,300円
という5年後の株価レンジが想定されます。
日本ハムは景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄であり、短期的な急騰は期待しづらいものの、長期的に見れば安定した配当と堅実な株価推移が見込めます。
したがって、「安定配当を得ながら中長期でゆるやかに資産を増やしたい投資家」に適した銘柄といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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