株価
ディー・エヌ・エーとは

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は、1999年3月に設立された日本を代表するインターネット企業です。本社は東京都渋谷区渋谷2丁目24番12号の渋谷スクランブルスクエアにあり、創業者であり現会長の南場智子氏、代表取締役社長兼CEOの岡村信悟氏が経営のトップに立っています。資本金は約103億円で、従業員数は連結で約2,500名、単体で約1,400名です。
ディー・エヌ・エーは、創業当初にインターネットオークションサイト「ビッダーズ」や携帯向けSNS「モバゲータウン(現Mobage)」を運営し急成長を遂げました。その後、スマートフォンの普及とともに、ゲーム事業を中心に事業を拡大し、現在はエンターテインメントを軸に多角的な事業を展開しています。
主な事業内容として、まずゲーム・エンターテインメント事業があります。スマートフォン向けのゲームアプリの企画・開発・運営を行っており、「逆転オセロニア」「メギド72」「ポケモンマスターズEX(任天堂・株式会社ポケモンとの協業)」などの人気タイトルを提供しています。ゲーム運営においてはAIやデータ分析を活用し、ユーザー体験の向上に力を入れています。
次に、ライブストリーミング・コミュニティ事業では、ライブ配信アプリ「Pococha」を展開しています。配信者と視聴者がリアルタイムで交流できる仕組みを提供し、個人が活躍できる「クリエイターエコノミー」領域で存在感を高めています。
また、ヘルスケア・メディカル事業にも注力しており、健康寿命の延伸をテーマに、医療や介護現場の効率化を支援するITサービスを提供しています。具体的には、健康管理アプリ「KenCoM」や医療情報共有サービス「CARADA」、歩行データを分析するAI技術などがあります。
スポーツ事業では、横浜DeNAベイスターズ(プロ野球)や横浜ビー・コルセアーズ(Bリーグ)など複数のスポーツチームを運営しています。チーム運営だけでなく、横浜スタジアムの改修や地域イベントを通じて「スポーツを通じたまちづくり」にも取り組んでいます。
オートモーティブ・モビリティ事業では、日産自動車と共同で自動運転タクシー「Easy Ride(イージーライド)」の実証実験を行うなど、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)分野にも進出しています。AIやIoTを活用した交通最適化や車両運行管理システムなど、未来の移動インフラづくりに挑戦しています。
その他にも、Eコマース、AI研究、DX支援、スタートアップ投資、Web3やメタバース関連事業など新たな分野にも積極的に進出しています。自社ファンドを通じて国内外のベンチャー企業に投資を行い、新しい事業モデルの育成にも取り組んでいます。
ディー・エヌ・エーの企業理念は「Delight and Impact the World(世界に喜びと驚きを)」です。テクノロジーと創造性の力で人々に感動と利便性を届け、社会に良い影響を与えることを目指しています。エンタメ企業の枠にとどまらず、社会課題の解決に取り組む「社会的テックカンパニー」として進化を続けています。
近年は、ゲームに依存した収益構造からの脱却を進めており、ライブ配信事業とスポーツ事業の売上が拡大しています。特に「Pococha」は国内外で高い成長を見せており、海外展開も強化中です。また、生成AIの導入による業務効率化やサービス改善を進め、AI技術を活用した新たな価値創出にも注力しています。中長期的には「持続可能な事業ポートフォリオの確立」を経営目標とし、安定した収益基盤と社会的インパクトの両立を目指しています。
ディー・エヌ・エー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 134,914 | 4,202 | 13,595 | 8,857 | 76.8 | 20 |
| 2024.3 | 136,733 | -28,270 | -28,130 | -28,682 | -257.6 | 20 |
| 2025.3 | 163,997 | 28,973 | 31,817 | 24,193 | 217.2 | 65(特別配当) |
| 2026.3予 | 154,000 | 25,000 | 28,000 | 21,000 | 188.4 | 30〜35 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 2023.3 | 2024.3 | 2025.3 |
|---|---|---|---|
| 営業CF | 10,808 | -10,839 | 38,999 |
| 投資CF | 12,451 | -12,629 | -12,280 |
| 財務CF | -4,930 | -4,102 | -5,445 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(高値平均) | PER(安値平均) | PBR(実績) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 3.1% | 3.9% | 2.5% | – | – | – |
| 2024.3 | -20.7% | -13.8% | -8.6% | – | – | – |
| 2025.3 | 17.6% | 10.0% | 6.1% | 22.5倍 | 13.9倍 | 1.11倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ディー・エヌ・エーは、2025年3月期において業績が大きく回復し、営業利益・経常利益・純利益ともに黒字化を達成しました。営業利益は28,973百万円、経常利益31,817百万円、純利益24,193百万円と、前期の赤字から大幅なV字回復となっています。営業利益率は17.6%と高水準で、収益体質が改善していることが分かります。
ROEは10.0%、ROAは6.1%であり、自己資本・総資産の効率的な活用が進んでいます。特に前期(2024年)のROE -13.8%、ROA -8.6%からの改善は顕著で、経営の立て直しが進んでいることを示しています。
株価指標では、2025年の実績PERが高値平均22.5倍、安値平均13.9倍、PBRが1.11倍となっています。成長性を考慮すると、過熱感はややあるものの、割高というほどではなく、適正水準に近いと見られます。PERのレンジが比較的広いことから、投資家心理や業績見通しの変化に敏感に反応している銘柄といえます。
営業利益率・ROE・ROAの回復から判断して、短期的には株価の上昇余地が残っていると考えられます。ライブ配信「Pococha」やスポーツ事業の収益拡大が今後の安定成長を支える見通しです。一方で、ゲーム依存からの脱却を図る構造転換期にあり、新規事業の成長スピードによっては再び利益変動が起きるリスクもあります。
総合的に見ると、中長期での成長期待が持てる回復局面の銘柄と評価できます。
2025年の黒字転換とROE10%回復を踏まえれば、再評価の余地は十分にあります。PBRも1倍前後と資産価値の割には割安感があり、安定した利益を維持できれば投資妙味は高いです。
ただし、2024年のように赤字転落するリスクもあるため、中期スタンスでの分散投資・押し目買いが適切です。短期的な値動きよりも、3〜5年単位での業績持続性を重視した投資が望ましいといえます。
配当目的とかどうなの?
ディー・エヌ・エーは、2026年3月期の予想配当が「30〜35円」とされており、予想配当利回りは約1.11%となります。
この水準は、東証プライム上場企業の平均配当利回り(約2%前後)と比べるとやや低めで、高配当目的の投資銘柄とは言いにくいです。ディー・エヌ・エーはもともと「成長・事業拡大」を重視する企業であり、配当よりも事業投資や新規開発への再投資に重点を置く経営方針を取っています。
ただし、2025年3月期には特別配当を含む65円の配当を実施しており、株主還元姿勢は一定程度維持されています。配当性向も安定しており、業績が黒字転換しているため、今後の利益推移によっては増配余地もあると考えられます。
したがって、配当目的で長期保有するよりも、業績回復や新規事業による株価上昇を狙う成長投資向きの銘柄と見るのが妥当です。
安定配当は続くものの、利回り狙いの投資には適しておらず、「中長期の値上がり益+安定的な少額配当」を期待するタイプの投資先といえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
ディー・エヌ・エーの現在値は2,681円です。ここからの5年間の値動きを想定すると、事業の成長性や収益の安定度によって株価の方向性が大きく変わる可能性があります。以下は、良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオをもとにした予想です。
良い場合(強気シナリオ)
ライブ配信アプリ「Pococha」が海外でも拡大し、スポーツ事業(横浜DeNAベイスターズやBリーグチーム運営)も黒字基調を維持、さらに新作ゲームでヒット作が出るなど事業全体が成長軌道に乗るケースです。営業利益率が20%前後まで上昇し、ROEも12%を超えるような高収益体質が定着すれば、市場からの評価は高まり、PER25倍程度まで上昇する可能性があります。
この場合、5年後の株価は4,200円〜5,000円程度まで上昇することが期待されます。
配当も安定して増加し、株主還元姿勢が強まれば、成長と還元の両立銘柄として再評価される展開も考えられます。
中間の場合(標準シナリオ)
ゲーム・ライブ配信・スポーツの各事業が安定して推移しつつも、急成長は難しく、緩やかな業績推移が続くケースです。営業利益率は15%前後、ROEは7〜8%程度で推移し、PERも15倍前後の水準で落ち着くと見られます。
この場合、5年後の株価は2,800円〜3,300円程度となり、ほぼ横ばい〜微増のレンジに収まる見込みです。業績は安定しているため大きな下落リスクは少なく、配当も1%前後で維持される可能性が高いことから、長期保有には安心感があります。
悪い場合(弱気シナリオ)
ライブ配信市場が頭打ちとなり、ゲーム事業でも新作ヒットが出ず、スポーツ・ヘルスケア事業の収益化が遅れるケースです。営業利益率が10%を下回り、ROEも5%以下に低下すると、投資家の評価は下がり、PERも10倍前後に縮小します。
この場合、5年後の株価は1,900円〜2,200円程度まで下落する可能性があります。業績が再び悪化して赤字化するような展開となれば、1,800円前後までの調整も想定されます。
まとめ
総合的に見ると、ディー・エヌ・エーは2025年に業績を大きく回復させたことで再び成長局面に入っています。ライブ配信とスポーツが安定収益源となりつつあり、新しい領域での成長が続けば株価の上昇余地は十分にあります。
一方で、依然として業績変動リスクは高く、短期での値動きも大きい銘柄です。したがって、中長期での成長を期待しつつ、押し目でコツコツ買い増すような投資スタンスが向いています。配当利回りは1%前後と高くはありませんが、安定配当を維持しているため、成長性と安定性の両面から中期保有には適した銘柄といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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