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ニチレイ(2871)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ニチレイとは

株式会社ニチレイは、1942年12月に設立された日本の大手総合食品メーカーであり、冷凍食品・冷蔵物流の分野で国内最大手の一角を占めています。本社所在地は東京都中央区築地六丁目19番20号で、東証プライム市場に上場しています。資本金は約306億円です。連結従業員数は約1万6,600名、グループ会社は約80社にのぼります。設立当初は日本冷蔵株式会社として水産冷凍業からスタートし、現在では「食」「健康」「環境」を軸に多角的な事業を展開しています。

主力事業は大きく5つの分野に分かれています。

1つ目の「加工食品事業」は、冷凍食品のパイオニアとして知られ、家庭用および業務用の冷凍食品を幅広く手掛けています。代表的な商品には、「本格炒め炒飯」「若鶏のから揚げ特から」「グラタン」「冷凍パスタ」「冷凍弁当」などがあります。これらはコンビニエンスストアやスーパーだけでなく、外食産業や学校給食などにも供給されています。チキン・米飯・中華惣菜・野菜加工品など多様な商品を持ち、国内冷凍食品市場でトップクラスのシェアを維持しています。さらに、健康志向の高まりに対応した低糖質・高たんぱく食品や「ウェルネス食品」の開発にも注力しています。

2つ目の「水産事業」では、えび・たこ・魚卵・貝類などの水産品を世界各地から調達し、国内外で加工・販売しています。水産資源の持続的利用を目指してMSCやASCといった国際認証品の取り扱いを拡大しており、環境保全と食の安定供給を両立する事業モデルを推進しています。

3つ目の「畜産事業」は、国内および海外から調達した鶏肉・豚肉・牛肉を扱い、食品メーカーや外食産業向けに販売しています。特に「鶏肉」では調達から加工・流通までの一貫体制を整え、冷凍加工食品との連携による高付加価値化を図っています。安心・安全な食肉供給をモットーに、品質管理・トレーサビリティ強化も進めています。

4つ目の「低温物流事業」は、国内外に展開する冷蔵倉庫や配送網を活かしたニチレイロジグループが担っています。食品メーカー、スーパー、外食チェーンなどを中心に、保管・輸配送・在庫管理・センター運営などの総合物流サービスを提供。国内冷蔵倉庫の保管能力は業界トップで、世界でも上位にランクされる規模を誇ります。さらに、海外では欧州・東南アジアにも拠点を持ち、グローバルな低温物流ネットワークを構築しています。

5つ目の「不動産・バイオサイエンス事業」では、オフィスビルや倉庫用地の賃貸に加え、バイオ事業として医療・研究分野向けの試薬・診断薬・血清・培地などを製造・販売しています。感染症検査用の迅速診断キットや、研究用途の動物血清などのニッチ領域で高い評価を得ています。

経営方針としては「食の安心・安全」「健康価値の創造」「地球環境への配慮」を掲げ、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。カーボンニュートラルやフードロス削減にも積極的で、再生可能エネルギーの活用や物流の効率化、廃棄物のリサイクル推進など環境経営にも力を入れています。

ニチレイは「食と健康をつなぐ企業」として、冷凍食品・低温物流・バイオ事業の3本柱を軸に、国内外で安定的な成長を続けており、グローバル展開とともに、社会課題の解決を意識した事業拡大を進めています。

ニチレイ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株当たり配当(円)
2023年3月期(連) 662,204 32,935 33,448 21,568 83.6 26
2024年3月期(連) 680,091 36,911 38,255 24,495 95.9 37
2025年3月期(連) 702,080 38,315 39,878 24,731 97.4 46(特)
2026年3月期(予) 700,000 43,800 44,600 28,700 114.5 47

キャッシュフロー

決算期 営業キャッシュフロー 投資キャッシュフロー 財務キャッシュフロー
2023年3月期 37,865 -26,844 -8,591
2024年3月期 62,442 -31,592 -31,255
2025年3月期 53,194 -32,403 -16,804

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR(実績)
2023年3月期 4.9% 9.6% 4.7%
2024年3月期 5.4% 9.6% 5.0%
2025年3月期 5.4% 9.5% 4.9% 20.9倍 14.6倍 1.79倍

投資判断

ニチレイは、冷凍食品や低温物流の分野で国内トップクラスの地位を誇る総合食品企業です。直近3年間の業績をみると、売上・利益ともに堅調な右肩上がりで推移しており、安定成長を続ける優良企業といえます。

2023年3月期の売上高は約6,622億円、営業利益329億円、純利益216億円。そこから2025年3月期には売上高7,020億円、営業利益383億円、純利益247億円へと増加しています。営業利益率は4.9%から5.4%へ改善し、コスト上昇(原材料・エネルギー・物流費)を価格転嫁や効率化で吸収しており、収益構造の強さが際立っています。特に主力の冷凍食品は外食需要の回復と家庭内調理の増加で堅調に推移し、業務用・家庭用ともに拡大基調です。

ROE(自己資本利益率)は約9.5~9.6%、ROA(総資産利益率)は約4.9~5.0%で、資本効率・資産効率ともに安定的です。食品セクターではROEが8%を超えると優良とされる中、ニチレイはその基準を上回っており、経営の質と効率性の高さを示しています。

株価バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均20.9倍、安値平均14.6倍、実績PBRは1.79倍。食品株としてはやや高めの水準ですが、利益成長の持続性とブランド力を市場が織り込んでいる水準です。短期的な割安感はないものの、過去10年を見てもPERは15~22倍の範囲で安定しており、株価が大きく崩れるリスクは限定的です。

財務面でも非常に堅実で、自己資本比率は約60%台を維持。営業キャッシュフローも毎年500億円前後を確保しており、投資や配当を十分に賄える体力を持ちます。配当も2023年の26円から2025年には46円(特別配当含む)へと増加し、株主還元にも積極的です。2026年には47円予想となっており、着実な増配傾向が続いています。

主力の「加工食品事業」では、「本格炒め炒飯」「特から」「冷凍グラタン」など家庭用冷凍食品のブランド力が強く、業務用市場でも高いシェアを誇ります。また、「低温物流事業」では国内最大級の冷蔵倉庫網を持ち、食品メーカーや小売業向けの物流を一括で担う事業モデルを確立。食品流通全体のインフラを支える存在となっています。

このように、食品と物流の両輪で安定収益を確保できる点がニチレイの最大の強みであり、景気変動や為替の影響を受けにくい「ディフェンシブ性」も高いです。

総合的に見ると、ニチレイは「中長期で安定した成長と配当を期待できる銘柄」であり、短期の値上がり益を狙うよりも、安定した資産運用・長期保有向きの企業です。
株価指標的にはやや高めですが、業績の安定性、財務の健全性、国内外の物流需要の拡大を考慮すれば、今後もじり高傾向を維持する可能性が高いと考えられます。

結論として、ニチレイは「堅実成長+安定配当」を両立する優良銘柄であり、特に長期投資・配当重視の投資家にとって魅力的な投資先です。

配当目的とかどうなの?

ニチレイの配当は、安定成長型の企業らしく堅実で信頼性が高いといえます。
2026年3月期の予想配当は47円で、予想配当利回りは約2.55%です。食品セクターの平均利回りが2%前後であることを考えると、業界平均をやや上回る水準になります。

ニチレイは「安定的かつ持続的な株主還元」を基本方針としており、業績の一時的な波に左右されにくい配当政策を取っています。2023年の26円から、2024年は37円、2025年には46円(特別配当含む)と3年連続で増配しており、企業の成長とともに株主還元を強化している点が特徴です。

営業キャッシュフローは毎年500億円以上を安定して生み出しており、設備投資・物流拡張・配当のすべてを内部資金でまかなえる余裕があります。そのため、配当の継続性と今後の増配余地は高いと考えられます。

また、PBRが1.79倍と高めであることは、市場が同社の「安定収益・ブランド力・成長余地」を評価している裏付けでもあり、株価が大きく下がる局面でも配当利回りがクッションとして機能しやすい点も魅力です。

まとめると、ニチレイは高配当株ではないが、安定配当株”の代表格といえます。配当金だけで大きな利益を狙う銘柄ではありませんが、長期で持つことで「安定した収益+増配の恩恵」を得られるタイプの投資先です。
景気に左右されにくく、食品・物流という生活必需分野に根ざした事業構造のため、配当目的の長期保有には十分向いている銘柄です。

今後の値動き予想!!(5年間)

ニチレイの現在株価は1,841円です。
ここから今後5年間(2030年頃まで)の株価推移を、業績・配当・市場環境などを踏まえて3つのシナリオで予想します。

【良い場合】
国内外の冷凍食品需要がさらに拡大し、業務用・家庭用ともに売上が順調に伸びるパターンです。
物流網の拡充や海外展開(特に欧州・アジア市場)も進み、営業利益率が6%台に乗るなど利益体質が強化されます。
EPS(1株益)が120円を超え、PERが18倍前後で評価されれば、株価は2,100~2,300円台まで上昇する可能性があります。
配当も年間50円台へ増配され、トータルリターン(値上がり+配当)で年率5~7%程度の安定成長が見込まれます。

【中間の場合】
冷凍食品市場は堅調に推移するものの、原材料費や人件費の上昇を価格転嫁で吸収する段階が続くシナリオです。
営業利益率は5%台前半で推移し、PERも15~17倍前後の平均水準に落ち着くと想定されます。
この場合、株価は1,850~2,000円前後で推移し、現状維持からやや上向き。
配当は緩やかに増配し、長期保有では安定配当を得ながら堅実なリターンを期待できます。

【悪い場合】
原材料価格やエネルギーコストが上昇し、円安が続いて輸入コストが重くなるシナリオです。
さらに国内の人口減少や節約志向が強まると、販売単価の上昇が難しく、利益率が低下します。
営業利益率が4%台前半に落ち込み、PERが13倍程度まで低下すると、株価は1,500~1,600円台まで下がる可能性があります。
ただし、ニチレイは食品と物流という安定事業を持つため、急激な下落リスクは限定的です。

まとめ
総合的に見ると、ニチレイはディフェンシブな安定株であり、大きな値上がりは狙いにくいものの、業績の底堅さと増配傾向を考慮すると、5年後に2,000円前後を中心とした安定推移が現実的な見通しです。配当を含めたトータルリターンでは、長期保有で着実に利益を積み上げるタイプの銘柄と言えます。

この記事の最終更新日:2025年11月5日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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