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旭化成(3407)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

旭化成とは

旭化成株式会社は、1922年に宮崎県延岡市で創業した日本を代表する総合化学メーカーです。1931年に設立され、現在は東京都千代田区有楽町の日比谷三井タワーに本社を構えています。資本金は1033億89百万円、従業員は連結で約五万人、単体で約八千五百人を超える大企業です。東京証券取引所プライム市場に上場しており、証券コードは3407です。旭化成グループは化学、住宅、医療という三つの領域で幅広い事業を展開し、世界二十か国以上に拠点を持つグローバル企業として活動しています。

マテリアル分野では化学品や樹脂、繊維、電子部品などを中心に展開し、自動車部品や建設資材、食品包装用フィルム、リチウムイオン電池用セパレーター「Hipore」などの高機能素材を世界中に供給しています。また、近年は環境に配慮した素材開発にも力を入れており、水素製造触媒や再生可能エネルギー分野に対応する化学製品の開発が進められています。

住宅分野では「ヘーベルハウス」や「ヘーベルメゾン」といったブランドで知られ、旭化成ホームズ株式会社を中心に事業を展開しています。耐震性と耐火性に優れたALCコンクリート「ヘーベル」を活用し、戸建住宅や集合住宅の建設、リフォーム、賃貸管理、土地活用など、住まいに関するあらゆるソリューションを提供しています。高品質な住宅ブランドとしての信頼が厚く、長年にわたって国内トップクラスの販売実績を維持しています。

ヘルスケア分野では、医薬品や医療機器、バイオ関連製品など、人々の命と健康を支える領域で事業を行っています。人工腎臓や血液浄化装置、救急医療や集中治療で使用される機器、さらには医薬原料や再生医療技術など、医療の現場に欠かせない製品を数多く提供しています。2012年には米国の医療機器メーカーZOLLメディカルをグループ化し、世界の医療分野での存在感をさらに高めています。

旭化成の企業スローガンは「昨日まで世界になかったものを。」という言葉であり、技術革新を通じて社会課題を解決し、持続可能な未来を築くことを使命としています。創業以来、化学の力で生活を豊かにしてきた旭化成は、いまや素材、住まい、医療という人々の暮らしの根幹に関わる分野で世界を支える存在となっています。

近年はカーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーションにも積極的に取り組み、AIを活用したスマート工場の導入や環境負荷の低減に向けた研究を進めています。旭化成はこれからも、社会の変化に柔軟に対応しながら、革新的な製品とサービスを通じて新しい価値を生み出していく企業として成長を続けています。

旭化成 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2023年3月期 2,726,485 128,352 121,535 -91,312 -65.8 36
2024年3月期 2,784,878 140,746 90,118 43,806 31.6 36
2025年3月期 3,037,312 211,921 193,459 134,996 97.9 38
2026年3月期予想 3,115,000 220,000 221,000 128,000 94.3 40

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023年3月期 90,804 -213,584 111,780
2024年3月期 295,300 -142,598 -94,331
2025年3月期 301,489 -381,150 144,567

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年3月期 4.7% -5.5% -2.7%
2024年3月期 5.0% 2.4% 1.1%
2025年3月期 6.9% 7.2% 3.3% 24.1倍 18.8倍 0.90倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

旭化成の業績は、2023年に一時的な赤字を計上したものの、2024年以降は大幅に回復しており、全体として再成長基調にあります。営業利益は2023年の1283億円から2025年には2119億円へと増加し、経常利益も1215億円から1934億円へと堅調に拡大しています。純利益は2023年のマイナス913億円という大きな赤字から、2024年には438億円、2025年には1350億円と黒字転換し、利益水準の正常化が明確に見られます。

営業利益率は2023年の4.7%から2025年には6.9%まで上昇しており、収益性の改善が進んでいます。ROE(自己資本利益率)もマイナス5.5%から7.2%へ、ROA(総資産利益率)もマイナス2.7%から3.3%へと大幅に改善しており、経営効率の回復が確認できます。

株価指標を見ると、2025年のPERは高値平均で24.1倍、安値平均で18.8倍、実績PBRは0.90倍となっています。PERの数値はやや割高水準ですが、PBRが1倍を下回っていることから、資産価値に対しては依然として割安感があります。純利益が大きく回復している点を踏まえると、PERは一時的に高く見えても、実質的には業績回復を先取りしている水準と見ることもできます。

総合的に見ると、旭化成は2023年の赤字を底に、収益性・効率性ともに改善傾向が明確です。中長期的にはマテリアルやヘルスケア分野の回復、住宅事業の安定収益が支えとなり、業績の持続的な拡大が期待されます。PBRが0.9倍と依然低水準であるため、資産価値を重視する投資家にとっては割安感のある水準といえます。

ただし、PERが20倍前後とやや高めであるため、短期的な上値追いは限定的となる可能性があります。したがって、長期保有を前提とし、業績回復と配当の安定を重視する投資スタンスが適している銘柄と判断できます。

まとめると、旭化成は「短期では慎重、中長期では堅実に上昇を狙える銘柄」といえます。
特に2025年以降のROE7%超・営業利益率7%前後を維持できれば、株価の上昇余地は十分に残されています

配当目的とかどうなの?

旭化成の予想配当利回り(2026年)は3.15%と、国内の化学大手としては安定感のある水準にあります。2023年から2025年にかけて業績が大きく回復し、純利益が赤字から黒字に転じたことで、配当の安定性も高まっています。2023年度の一株当たり配当は36円、2025年度には38円、そして2026年度の予想では40円と着実に増配傾向を維持しています。

旭化成は過去にも業績悪化期において大幅な減配を避ける傾向が強く、連続配当を重視する企業文化があります。化学・住宅・ヘルスケアの3本柱で事業が分散しているため、特定分野の景気変動に左右されにくく、安定したキャッシュフローを確保できる点が強みです。実際に、営業キャッシュフローは毎期安定してプラスを維持しており、2025年3月期には3,014億円と堅調な水準を保っています。

このため、旭化成は長期の配当目的投資に適した銘柄といえます。特にPBRが0.9倍と1倍を下回っており、資産価値に対して株価が割安な点を踏まえると、配当を受け取りながら中長期の株価上昇も狙えるバランスの良い投資先です。

ただし、配当性向が一時的に高まる可能性や、原材料価格の変動による利益圧迫リスクは残ります。そのため、短期的な値上がり益を狙うよりも、3~5年程度のスパンで安定配当を受け取りつつ、業績回復の恩恵を享受する戦略が向いています。

総じて、旭化成は「高すぎず・低すぎず・安定した利回り」を維持する優良配当株の一つであり、配当収入を重視する長期保有型の投資家には魅力的な選択肢といえます。

今後の値動き予想!!(5年間)

旭化成の現在値は1,268.5円となっています。今後5年間の株価動向を考えると、業績の回復ペースや世界景気の動向、円安傾向の継続などによって大きく変化する可能性があります。ここでは、良い場合、悪い場合、中間の3つのシナリオで考えてみます。

まず、良い場合です。マテリアル事業での高機能素材の需要が増加し、ヘルスケアや住宅部門も安定的に成長した場合、ROEが8%以上に上昇し、営業利益率も7%台後半を維持できる可能性があります。その場合、PERが20倍前後まで評価され、株価はおおよそ1,900円から2,100円程度まで上昇するシナリオが想定されます。新エネルギー関連素材や医療機器の海外展開が進めば、株価が2,200円台に達する可能性も十分あります。

次に、悪い場合です。世界的な景気減速や原材料価格の高騰などでマテリアル事業の採算が悪化し、住宅部門の新規需要も鈍化した場合、営業利益率が5%を下回り、ROEも3%台へ低下する可能性があります。その場合、投資家の評価は厳しくなり、PERが15倍前後まで低下、株価は900円から1,000円程度まで下落するリスクがあります。

そして中間の場合です。マテリアル事業の安定とヘルスケア分野の着実な拡大が続き、営業利益率が6~7%程度で推移した場合、PERは17~18倍程度を維持すると考えられます。この場合、株価はおおよそ1,400円から1,600円前後で安定推移する可能性が高く、3~5%前後の配当利回りを維持しながら中長期的に堅実なリターンを狙える展開になるでしょう。

総合的に見て、旭化成は「大きく跳ねるタイプの成長株」というよりも、「安定配当を受け取りながら緩やかな株価上昇を期待できる安定銘柄」といえます。業績次第では2,000円前後まで上昇する余地もあり、長期投資向きの銘柄として注目に値します。

この記事の最終更新日:2025年11月7日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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