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SUMCO(3436)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

SUMCOとは

SUMCO株式会社は、世界有数の半導体用シリコンウエーハメーカーであり、半導体産業を支える基幹素材の供給者としてグローバル市場で高い評価を得ている企業です。社名のSUMCOは「Sumitomo Mitsubishi Silicon Corporation」の略で、1999年に住友金属工業三菱マテリアルのシリコン事業を統合して誕生しました。2002年には両社の関連会社を再編して現在のSUMCOグループ体制が整い、2005年に東京証券取引所に上場しました。

本社は東京都港区芝浦一丁目2番1号シーバンスN館に置かれ、製造の中心は佐賀県伊万里市と長崎県諫早市をはじめ、佐賀、秋田、山形、北海道千歳など全国に複数の工場を展開しています。資本金は1990億円、従業員数は連結で約9,800名、単体で約3,500名にのぼります。

SUMCOの事業は、半導体用シリコンウエーハの研究開発・製造・販売が中核です。製品は300mm・200mmといった大口径ウエーハを中心に、半導体チップの製造工程で使われる基板素材として世界中の大手半導体メーカーに供給されています。ウエーハは単なる「素材」ではなく、電子機器の性能や信頼性を左右する極めて精密な製品です。そのためSUMCOでは、単結晶シリコンの育成から切断・研磨・洗浄・熱処理に至るまで、すべての工程を自社で一貫して行っています。

特に結晶成長技術においては、欠陥密度を最小限に抑える「CZ法」や「MCZ法」などを高度に制御し、半導体デバイスの微細化・高集積化に対応できるウエーハを製造しています。製品ラインアップには、メモリやロジック、パワー半導体用の特殊ウエーハもあり、自動車、スマートフォン、サーバー、人工知能、5G基地局といった幅広い産業を支えています。

また、品質管理体制も世界トップレベルです。クリーンルーム内での工程管理はナノメートル単位の精度で行われ、顧客ごとに最適な仕様を提供する「カスタム対応型生産」を特徴としています。世界の主要顧客には、米国や台湾、韓国、日本の大手半導体メーカーが名を連ねており、特にロジック半導体やDRAM向けの需要が堅調です。

経営理念は「世界最高品質のウエーハを安定供給し、半導体産業の発展に貢献する」であり、品質と安定供給を最優先に掲げています。また、同社は環境への配慮も重視しており、生産工程におけるCO₂排出削減、省エネ化、使用水のリサイクルなど、サステナビリティ経営を推進しています。近年は再生可能エネルギーの導入や廃液再利用設備の導入など、環境負荷の低い生産体制を整備しています。

財務面では、2023年以降も堅調なキャッシュフローを維持し、自己資本比率は80%近くと極めて高水準です。シリコンウエーハ市場は一時的な調整局面もありますが、AI・電気自動車・データセンターなどの半導体需要増に支えられ、長期的には拡大傾向にあります。SUMCOはこうした波を踏まえ、供給能力を中期的に拡大する方針を打ち出しており、安定した成長を目指しています。

SUMCOの強みは、価格競争ではなく技術競争に立脚している点にあります。高度な製造プロセスを外部に依存せず自社で完結できる体制を持ち、他社が容易に真似できない技術水準を築き上げています。国内外の半導体サプライチェーンの中で極めて重要な存在であり、日本の素材産業の中でも中核的な位置を占めています。

SUMCO 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2022年12月期 441,083 109,683 111,339 70,205 200.5 81
2023年12月期 425,941 73,080 72,627 63,884 182.6 55
2024年12月期 396,619 36,924 37,457 19,877 56.8 21
2025年12月期予想 410,000 -6,000 -7,500 -7,500 -21.4 21

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022年12月期 179,462 -126,351 -23,153
2023年12月期 96,342 -247,677 43,456
2024年12月期 69,627 -247,876 112,294

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年12月期 17.1% 11.1% 5.9%
2024年12月期 9.3% 3.3% 1.6% 24.0倍 12.4倍 0.85倍
2025年12月期予想 -1.5% -1.3% -0.7%

出典元:四季報オンライン

投資判断

SUMCO株式会社は、半導体の心臓部ともいえるシリコンウエーハを製造する世界的メーカーで、スマートフォン、パソコン、データセンター、そして電気自動車など、あらゆる電子機器の基礎を支えている企業である。業績を見ていくと、2023年までは半導体需要の拡大を背景に非常に好調で、売上高は4,410億円、営業利益は1,096億円、純利益は702億円と過去最高水準を記録した。営業利益率は17.1%、ROEは11.1%、ROAは5.9%といずれも高水準で、まさに「好景気のSUMCO」を象徴する数字だった。

しかし2024年に入ると、半導体業界全体での在庫調整が始まり、メモリやロジック半導体の需要が一時的に落ち込んだ影響を受けた。SUMCOの売上高は4,259億円に減少、営業利益も730億円、純利益は638億円まで縮小した。営業利益率は9.3%と前年の半分程度に落ち込み、ROEは3.3%、ROAは1.6%に低下した。とはいえ、この時期は業界全体が一時的な減速期に入っただけであり、SUMCO固有の問題というよりも、半導体市況の波に合わせた調整局面と見るのが妥当である。

そして2025年の会社予想では、売上高41,000億円に対して営業利益がマイナス60億円、経常利益がマイナス75億円、純利益もマイナス75億円と赤字予想になっている。営業利益率は-1.5%、ROEは-1.3%、ROAは-0.7%と収益性は一時的に悪化しているが、この赤字転落は市場の底を打つタイミングに重なっている可能性が高い。SUMCOは半導体業界の典型的なサイクル銘柄であり、悪化期にこそ次の上昇局面への投資チャンスが訪れる。

株価指標を見ると、2024年の実績PERは高値平均で24.0倍、安値平均で12.4倍、PBRは0.85倍となっており、PERベースではやや割高に見える一方で、PBRが1倍を割り込んでいることから資産面では割安感が強い。SUMCOは自己資本比率が高く、借入金依存度も低い健全な財務体質を持つため、短期的な赤字でも資金繰りリスクは限定的である。営業キャッシュフローも安定して黒字を維持しており、内部留保による設備投資余力も十分にある。

また、同社の中長期的な強みは、世界トップレベルの技術力と生産ノウハウにある。単結晶シリコンの成長技術(CZ法・MCZ法)や超平坦研磨技術は他社が簡単に追随できるものではなく、品質面では依然として世界屈指の地位を維持している。特に300mmウエーハの分野では、信越化学工業と並んで“世界二大巨頭”として知られており、AIサーバーや電気自動車向け半導体需要が再び拡大すれば、SUMCOの業績は早期に黒字へ戻る可能性が高い。

2025年は一時的な谷間であるが、2026年以降はAI半導体や電動車用パワーデバイスの増産により需要が回復し、再び利益成長が見込まれる。業界全体の市況回復が進めば、営業利益率も再び10%前後まで戻る可能性があり、ROEも5~8%水準へ回復すると予想される。

投資判断としては、短期的には半導体市況の底打ち前で不安定な局面が続くが、PBRが0.85倍と資産価値から見て明確に割安である点、そして中期的な需要回復シナリオを踏まえると、中長期での押し目買いが有効な局面といえる。短期投資には向かないが、2~3年先を見据えて仕込むには良好なタイミングであり、特に株価が1,500円を下回る水準ではリスクに対してリターンが大きい。

総合的に見れば、SUMCOは「短期では我慢の局面、中期では回復の兆し、長期では堅実なリターンを狙える素材株」である。半導体需要のサイクルを理解した上で、長期保有を前提とする投資家にとっては、有望な押し目銘柄のひとつといえるだろう。

配当目的とかどうなの?

SUMCOは長期的に安定した財務体質を持つ企業ですが、配当を目的とした投資という観点では、現時点ではやや物足りない水準といえる。2025年12月期と2026年12月期の予想配当利回りはいずれも1.45%で、国内平均の2%前後を下回っている。2022年には半導体市場の好調を背景に1株あたり81円の高配当を実施したが、その後の市況悪化で2024年には21円へ減配、業績予想が赤字の2025年も同水準を維持する方針となっている。

この背景には、SUMCOが「安定配当よりも事業投資を優先する戦略」を取っていることがある。ウエーハ生産は莫大な設備投資が必要な事業であり、半導体市況が低迷している局面では積極的な増配を控え、将来の成長期に備えて内部留保を厚くする方針が明確だ。つまり、SUMCOの配当政策は利益連動型ではなく、長期の事業戦略を優先した保守的なスタンスといえる。

一方で、同社は自己資本比率が非常に高く、借入金依存度も低いため、キャッシュフロー面での安定性には優れている。2024年12月期も営業キャッシュフローは約700億円規模の黒字を維持しており、財務的に無理のない範囲で配当を継続できている。仮に2026年以降に半導体需要が回復し、営業利益率が再び10%台に戻るようであれば、増配の可能性は十分にある。過去の配当履歴を見ても、業績回復期にはしっかりと配当を引き上げており、配当方針は決して弱気というわけではない。

したがって、現時点でのSUMCOは「配当狙いの銘柄」というよりは、「将来の業績回復を待ちながら配当も受け取る中長期保有型の株」として考えるのが適切である。利回りは低いものの、減配後も21円の配当を維持する点は評価でき、経営としては株主還元を完全に止める姿勢ではない。

仮に今後、半導体サイクルが回復して株価が再評価され、純利益が500億円規模へ戻れば、配当も40円前後まで引き上げられる可能性がある。そうなれば利回りは2~2.5%台へ上昇し、配当と株価上昇の両面でリターンが期待できる。

総合的に見ると、SUMCOは「配当を主目的に買う銘柄ではない」が、「中長期の回復局面で配当増と株価上昇を両取りできる素材株」としての魅力がある。今は低利回り期だが、次の上昇サイクルに入ったとき、配当再増額の可能性を秘めた銘柄といえるだろう。

今後の値動き予想!!(5年間)

SUMCOの現在値は1,445円です。ここから5年間の株価を考えると、半導体市場の波をどのように乗り越えるかで結果は大きく変わります。SUMCOは世界有数のシリコンウエーハメーカーであり、AI・電気自動車・データセンターなどの需要拡大が本格化するかどうかが今後のカギになります。

まず良い場合のシナリオです。2025年の赤字が底となり、2026年以降に半導体市況が急回復し、営業利益率が再び10%台に戻るパターンです。AIサーバーやEV向けの高性能ウエーハの需要が増え、受注が拡大すれば、業績は急速に黒字転換します。PBRも1倍を超え、PERは15〜20倍程度まで上昇する見通しです。この場合、株価は5年後に3,000円〜3,500円前後まで上昇する可能性があります。好業績期には高配当への回帰も期待でき、長期保有による含み益と配当の両取りが狙えます。

次に中間のシナリオです。半導体需要がゆるやかに回復するが、供給過剰感が一部残る場合です。売上は増加しても利益率が低く抑えられ、営業利益率が6〜8%程度で推移するパターンです。この場合、株価はじりじりと回復基調に入り、5年後は2,000円〜2,400円程度が現実的な水準と考えられます。短期での大きな値上がりは望みにくいものの、着実に業績が底固めされ、配当も少しずつ回復する展開が見込まれます。

最後に悪い場合のシナリオです。半導体の市況回復が遅れ、メモリ価格や設備投資が長期低迷するケースです。SUMCOは固定費が高く、稼働率が下がると損益が一気に悪化しやすい構造を持っています。この場合、営業赤字が長引き、ROEやROAの回復が遅れます。PBRは0.7倍を下回り、投資家心理が冷え込む可能性もあります。こうした場合、株価は1,000円〜1,200円前後まで下落するリスクがあります。

ただし、SUMCOの技術力と財務基盤を考えると、倒産リスクは低く、長期的に業界需要が戻れば再浮上できる体質です。したがって、株価が1,200円を割るような局面は、むしろ長期投資家にとっての仕込み時になる可能性が高いといえます。

総合的に見ると、SUMCOの株価は短期的には不安定ながらも、半導体サイクルが回復する中期以降に再評価される余地が大きいです。5年スパンでは、悪くても底堅く、中長期では2倍程度の上昇余地がある銘柄として注目できます。つまりSUMCOは、今は調整局面にあるものの、「半導体サイクルの底で拾う素材株」として、将来の上昇余地を十分に秘めているといえる。

この記事の最終更新日:2025年11月7日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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