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SHIFT(3697)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想


株価

SHIFTとは

株式会社SHIFT(シフト)は、日本を代表するソフトウェアテストおよび品質保証の専門企業であり、近年はITコンサルティングやシステム開発支援など、幅広いDX(デジタルトランスフォーメーション)分野へと事業を拡大している。2005年に代表取締役社長・丹下大氏が設立し、本社は東京都港区麻布台二丁目4番5号メソニック39MTビルに所在する。東証プライム市場に上場しております。

SHIFTは、企業が開発するシステムやソフトウェアの品質を第三者の立場から検証し、バグの発見や開発工程の最適化を行う「品質保証ビジネス」を中心に展開している。同社が提供するサービスは単なるテスト請負ではなく、上流工程から下流工程までを包括的に支援するトータルソリューションであり、顧客企業の開発コスト削減・開発スピードの向上・リスク管理強化を実現している。

主力の「ソフトウェアテスト・品質保証事業」では、金融・製造・通信・流通・エンタメ・行政など多様な業界の大手企業を顧客として抱えており、システム開発における不具合検出や仕様検証、UI/UXの改善提案を通じて、プロジェクト全体の品質を高めている。特に大規模な基幹システム開発やWebサービスのテスト領域では国内最大級の実績を持つ。

同社は、テスト工程を「単純労働」から「知的生産活動」へと変革するため、独自の品質保証プラットフォーム「CAT(Computer Aided Test)」を開発し、テスト設計・実行・分析を効率化している。また、グループ全体ではテスト自動化ツールの開発や、AIを活用した品質診断、プロジェクトマネジメント支援なども進めており、ソフトウェア開発における無駄の排除と生産性の向上を両立させている。

SHIFTグループは、M&A戦略にも積極的である。これまでにARアプリ開発やクラウドインフラ、ERP導入支援、Webデザイン、セキュリティなどの専門企業を次々と傘下に収め、品質保証を軸に多角的なソリューションを展開している。2024年時点でグループ会社は40社以上にのぼり、グループ連結従業員数は約1万人規模に拡大している。これにより、テスト領域だけでなく、要件定義や設計、開発、運用保守といったシステムライフサイクル全体を支援できる体制を構築した。

売上高は2014年の上場時から右肩上がりを続けており、2024年8月期には約950億円に到達。営業利益率も15%前後を維持しており、IT業界の中でも極めて高い利益率を誇る。SHIFTは「請負型からストック型」への事業転換を進めており、顧客企業との長期契約が増加している。これにより、景気変動に強い収益基盤を形成している。

経営理念は「無駄をなくし、社会の生産性を高める」。この理念のもと、同社は「ソフトウェア品質の向上を通じて社会全体の効率を高める」という明確な社会的使命を掲げている。単なるアウトソーシングではなく、企業のDX推進パートナーとして共に変革を支える存在を目指している。

また、SHIFTは人材戦略にも強みを持つ。独自の人材評価制度やスキル認定基準を設け、未経験からでもテストエンジニアとして成長できる教育プログラムを整備している。採用・育成の両面で高い再現性を確保し、技術者不足が深刻化する日本のIT業界において、安定的に人材供給を行える体制を築いている。

このようにSHIFTは、「ソフトウェア品質保証」というニッチな領域から出発し、今やIT業界全体の上流工程に踏み込む“システム品質コンサルティング企業”へと進化している。IT業界における存在感は年々高まっており、国内市場では独自のポジションを確立している。

SHIFT 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
2022年8月期 64,873 6,913 7,552 4,974 18.9 0
2023年8月期 88,030 11,565 12,000 6,245 23.6 0
2024年8月期 110,627 10,537 10,753 5,127 19.4 0
2025年8月期予想 132,000 15,500 15,000 8,300 31.5 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023年8月期 10,167 -3,721 -1,797
2024年8月期 9,088 -9,946 4,154
2025年8月期 15,652 -11,697 -1,192

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率 ROE ROA PER(高値平均) PER(安値平均) PBR
2023年8月期 13.1% 21.5% 12.6%
2024年8月期 9.5% 15.2% 8.1%
2025年8月期 12.0% 22.0% 11.6% 108.5倍 45.1倍 6.63倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

株式会社SHIFTは、ソフトウェアの品質保証・テスト事業を中心に成長を続けている企業である。システム開発における品質検証を請け負う“第三者検証”というビジネスモデルで大きなシェアを確立しており、企業のDX化が進む中で安定した需要を取り込んでいる。

業績面を見ると、売上は2023年の880億円から2025年予想では1,320億円へと拡大しており、年平均成長率(CAGR)は約22%と高い。営業利益も同期間で115億円から155億円へ伸びる見込みで、営業利益率は9〜13%台を推移している。利益率のブレはあるが、事業拡大のスピードを維持しながらも黒字を継続している点は評価できる。

ROEは2023年21.5%、2024年15.2%、2025年予想で22.0%と高水準を維持しており、自己資本を効率的に利益に結びつけていることを示している。ROAも約8〜12%と安定しており、資産効率も非常に良い。財務面では有利子負債の比率が低く、営業キャッシュフローも堅調で、財務体質は健全といえる。

一方で、株価指標面ではPERが2025年高値平均108倍、安値平均45倍、PBR6.63倍と非常に高い水準にある。これは、SHIFTが“成長企業として市場から高く評価されている”証でもあるが、割安株というよりは高成長を前提にプレミアムが付いている銘柄である。短期的な株価上昇を狙うにはリスクが大きいが、長期での成長性を信じる投資家には魅力的なポジションといえる。

営業利益率の推移を見ても、2024年に一時的に9.5%まで下がっているが、これは人件費や採用投資、グループ会社の統合費用などの成長投資による一過性のコスト増である。2025年には12%台へ回復が見込まれており、収益性は再び上向くと予想されている。

総合的に見ると、SHIFTは「短期的な株価変動よりも、長期的な事業拡大を重視する成長株」である。IT人材不足が続く中で、品質保証・開発支援・DX推進といった領域は今後も需要が高く、同社の強みであるプロジェクト管理力と技術者教育制度は競合優位性を保つ要因となる。したがって、投資判断としては、「短期では割高だが、長期的な成長を期待して保有する価値のある企業」と評価できる。中長期での業績拡大と株価上昇の両方が見込めるが、エントリーのタイミングは株価が調整局面に入ったときが理想的である。

配当目的とかどうなの?

株式会社SHIFTを配当目的で見ると、現時点ではまったく向いていない企業だと言える。2026年8月期の予想配当利回りは0.00%であり、つまり同社は株主への現金配当を一切行っていない。これは財務状況が悪いからではなく、明確な経営方針として「利益を事業拡大に再投資する」ことを選んでいるためである。

SHIFTは、ソフトウェアの品質保証やテスト事業を中心に急成長してきた会社で、毎年のように売上と従業員数を増やしている。成長スピードを維持するために、人材採用・教育・システム開発・M&Aなどに莫大な資金を投入しており、それが将来的な利益拡大につながっている。つまり、株主に直接お金を配るよりも、内部留保を使って企業規模を大きくすることで、株価そのものを上げて株主に報いるという戦略だ。

この経営姿勢は、配当を期待する投資家にとっては物足りないが、成長株を長期で保有したい投資家には魅力的でもある。実際に、SHIFTは上場以来、売上を10倍以上に伸ばし、利益率も改善を続けている。今後も業界全体でDX需要が高まる中、事業拡大の余地は大きいと考えられる。

ただし、当面は配当が出る見込みは低く、利益の大半は成長投資に回される見通しだ。そのため、安定した配当収入を求める投資家よりも、企業価値の上昇や株価の上昇によるキャピタルゲインを狙う投資家に向いている。

まとめると、SHIFTは配当金を目的に投資する銘柄ではなく、「無配だけれど、長期的に株価上昇を狙える成長株」という位置づけになる。短期的なリターンは期待できないが、長期で見れば企業価値の上昇によって報われる可能性のあるタイプの企業である。

今後の値動き予想!!(5年間)

株式会社SHIFTの現在値は1,023.5円である。ここから今後5年間の値動きを考えると、同社の成長力と利益率の回復が最大の焦点になる。SHIFTはITシステムの品質保証やソフトウェアテストを中心に事業を展開しており、デジタル化の波に乗って急成長を続けてきた。ただ近年は人件費やM&Aコストの増加で一時的に利益率が下がっており、今後の株価はその改善スピードに左右されるだろう。

まず良い場合のシナリオでは、国内外の企業によるDX(デジタルトランスフォーメーション)投資が引き続き拡大し、SHIFTの品質保証・開発支援サービスが再び高成長を遂げるケースだ。採用強化や教育投資が実を結び、営業利益率が13〜15%台に回復すれば、業績の信頼感が増して株式市場から再び高く評価される。PERも70〜100倍台に戻る可能性があり、株価は5年後に3,000円から3,800円程度まで上昇する展開が考えられる。特に海外展開や大手企業との長期契約が進めば、業績拡大の持続性はより高まる。

次に中間のシナリオでは、売上は着実に伸びるものの、採用コストやM&A費用の負担で利益率の改善が限定的なケースだ。この場合、営業利益率は10〜12%前後で横ばいとなり、PERも現状水準の40〜60倍程度で推移する可能性がある。株価は1,800円から2,200円前後で安定し、大きな上昇はないものの、底堅く推移する見通しとなる。

一方、悪い場合のシナリオでは、国内のIT投資が鈍化し、人材確保にかかるコスト上昇が業績を圧迫するケースだ。M&Aでのれんの償却や統合費用が重なれば、利益がさらに縮小し、ROEも低下する。市場の成長期待が剥落すればPERも30倍前後にまで低下し、株価は700円から850円程度まで下落する可能性がある。ただし、SHIFTは財務的には非常に健全で、キャッシュフローも安定しており、急激な経営悪化のリスクは低い。

まとめ
総合的に見ると、SHIFTは短期的な値上がりよりも、5年先を見据えて成長を待つタイプの銘柄である。現状の株価水準は一時的な調整局面とも考えられ、長期的な視点で見れば、今は仕込み期とも言える。将来的に利益率が改善し、再び高成長軌道に乗れば、株価は再評価される可能性が高い。良い場合は3,000円から3,800円、中間の場合は1,800円から2,200円、悪い場合は700円から850円が目安となる。SHIFTは配当狙いの銘柄ではないが、企業としての成長性と中長期の株価上昇余地は十分にある。

この記事の最終更新日:2025年11月7日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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