株価
野村総合研究所とは

株式会社野村総合研究所は、東京都千代田区大手町一丁目9番2号に本社を置く日本を代表する総合シンクタンク兼システムインテグレーターです。略称はNRIで、東証プライム市場に上場しています。設立は1966年1月5日で、野村證券のシステム部門を母体として発足しました。資本金は約256億円、連結従業員数は約1万6,600人、単体従業員数は約7,600人です。2025年3月期の連結売上高は約7,648億円に達し、国内IT業界でもトップクラスの規模を誇ります。
野村総合研究所の事業は大きく分けて「コンサルティング」と「ITソリューション」の2本柱から構成されています。
まずコンサルティング事業では、企業や政府、地方自治体に対して経営戦略、業務改革、政策立案などの提言・実行支援を行っています。特に金融、流通、製造、公共政策などの分野で強みを持ち、マクロ経済や社会システムに関する研究・提言でも高い評価を受けています。また、行政機関向けの政策支援や社会課題の分析、カーボンニュートラルやデジタル社会に関する提言なども積極的に行っています。
ITソリューション事業では、金融機関、製造業、流通業など幅広い業種に向けた情報システムの開発・運用を行っています。特に金融IT分野では、証券・銀行・保険・決済などの基幹システムを構築・運用しており、国内金融インフラの中核的な存在です。例えば、証券取引システム「STAR」や決済ネットワーク関連のソリューションなど、野村総研が関わるシステムは日本の金融システムの中核を支えています。
また、産業ITソリューション事業では、製造・物流・流通などの企業に対して、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援、業務効率化、データ分析基盤の構築、スマートファクトリー化などの提案を行っています。特に最近はAIやクラウド、IoTを活用した業務改革プロジェクトが増加しており、顧客企業の経営改革を技術面から支えています。
さらに、IT基盤サービス事業も重要な柱となっており、クラウド基盤、データセンター運用、セキュリティ管理、システム運用・保守など、企業のITインフラを支える総合的なサービスを提供しています。自社データセンターを複数保有し、24時間365日体制での安定運用を実現しています。
野村総合研究所の企業理念は「未来創発」であり、単なるIT企業にとどまらず、社会・産業の未来を創造することを使命としています。コンサルティングとITの両面から企業の成長や社会変革を支援することを強みとしており、官民双方から高い信頼を得ています。近年は生成AI、データサイエンス、サステナビリティ経営支援などの新領域にも力を入れており、今後も日本のデジタル社会の中核を担う存在としての成長が期待されています。
野村総合研究所 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 692,165 | 111,832 | 108,499 | 76,307 | 128.9 | 45 |
| 2024年3月期 | 736,556 | 120,411 | 117,224 | 79,643 | 136.9 | 53 |
| 2025年3月期 | 764,813 | 134,907 | 134,161 | 93,762 | 163.6 | 63 |
| 2026年3月期(予想) | 810,000 | 150,000 | 151,000 | 104,000 | 181.6 | 74 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 118,899 | -61,190 | -44,921 |
| 2024年3月期 | 142,277 | -53,422 | -47,575 |
| 2025年3月期 | 130,196 | -47,590 | -87,314 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PBR(実績) | PER(高値平均) | PER(安値平均) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 16.1% | 19.1% | 9.1% | ― | ― | ― |
| 2024年3月期 | 16.3% | 19.9% | 8.6% | ― | ― | ― |
| 2025年3月期 | 17.6% | 21.6% | 10.0% | 7.20倍 | 33.5倍 | 22.5倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
野村総合研究所は、国内トップクラスのシステムインテグレーター兼コンサルティング企業として、非常に安定した成長と高い収益力を維持しています。ここ数年の業績を見ると、営業利益・経常利益・純利益のいずれも着実に伸びており、利益率・資本効率ともに極めて優秀な水準にあります。
2023年3月期から2025年3月期にかけての推移を見ると、営業利益は111,832百万円 → 120,411百万円 → 134,907百万円と右肩上がりで増加しています。経常利益も108,499百万円 → 117,224百万円 → 134,161百万円、純利益も76,307百万円 → 79,643百万円 → 93,762百万円と着実に増益傾向です。営業利益率は16.1% → 16.3% → 17.6%と向上しており、業界平均を大きく上回る高収益体質を維持しています。
ROEは19.1% → 19.9% → 21.6%、ROAも9.1% → 8.6% → 10.0%と推移しており、資本効率が非常に高い水準です。特にROEが20%を超える水準は、成熟企業としては非常に優秀であり、自己資本を効率的に活用して高い利益を生み出していることを示しています。
株価指標を見ても、2025年時点での実績PBRが7.20倍、PERが高値平均33.5倍・安値平均22.5倍と、一般的な製造業やIT企業に比べてかなり高い評価を受けています。これは、同社の安定した収益構造、顧客基盤の強さ(特に金融・官公庁・大手企業)、そして継続的な成長期待が市場に織り込まれている結果といえます。高PER・高PBRで推移していることは、一見割高に見えるかもしれませんが、利益の質が非常に高く、長期的に安定したキャッシュフローを生み出している点を考慮すると妥当な評価水準といえます。
また、キャッシュフローも堅調で、営業CFは3期連続で1000億円超の水準を維持しており、自己資金での積極的な投資と株主還元が可能な体制を確立しています。配当も年々増配を続けており、2023年の45円から2025年には63円まで上昇、さらに2026年3月期は74円の予想となっています。
総合的に判断すると、野村総合研究所は「高収益・高ROE・高成長」の三拍子が揃った優良企業であり、長期投資に向いた銘柄です。短期的にはPERやPBRが高めのため割安感は薄いものの、業績の安定成長と増配傾向を考慮すれば、中長期でのリターンは十分に期待できます。配当目的の投資にも適しており、安定成長株としてポートフォリオの中核に置く価値のある企業です。
配当目的とかどうなの?
野村総合研究所は、配当利回り(2026年)だけを見ると1.23%と決して高くはありませんが、安定的に増配を続けている「成長型配当銘柄」としての魅力があります。
同社は毎期増益を重ねており、その成長に合わせて配当も段階的に引き上げています。実際に、2023年3月期の1株配当は45円、2024年は53円、2025年は63円、そして2026年3月期の予想では74円と、3年間でおよそ1.6倍の増配を見込んでいます。利益の拡大に応じて着実に株主還元を強化しており、減配の心配が非常に少ない点が特徴です。
一方で、株価が高く評価されているため、表面的な配当利回りは低めに見えます。2025年のPERが22~33倍、PBRが7倍超と割高圏にあるため、現時点では高配当目的の投資にはあまり向きません。しかし、利益成長率と配当成長率を踏まえると、「配当の伸びでリターンを取るタイプの銘柄」と考えることができます。
また、同社のキャッシュフローは極めて安定しており、営業CFは毎期1,000億円超を維持しています。事業基盤が強く、ITコンサル・システム運用という安定した収益源を持っているため、将来的にも増配を続ける余力は十分にあります。配当性向は現状で30〜40%程度と健全な範囲にあり、利益が伸びればさらなる増配の可能性も高いです。
つまり、野村総合研究所は「高利回り狙いの配当株」ではなく、「業績とともに配当を伸ばしていく安定成長株」として保有するのが最も適しています。株価が高止まりしている間は利回りが低く見えますが、業績が年々拡大しているため、長期で見れば実質的な利回り(取得価格ベース)は上昇していくタイプの銘柄です。
総合的に見ると、配当目的の投資としては「短期での高配当狙いには不向き」ですが、「長期で安定した増配と成長を享受するタイプ」としては非常に優れています。安定的な業績と高いROEを背景に、配当収入を中長期で積み上げたい投資家に向いた堅実な企業です。
今後の値動き予想!!(5年間)
野村総合研究所の現在値は6,003円です。ここから今後5年間の株価の動きを想定すると、良い場合・中間の場合・悪い場合の3つのシナリオが考えられます。
良い場合は、企業のDX需要がさらに拡大し、金融や製造業、官公庁向けのシステム開発が順調に伸びるパターンです。特にAI、クラウド、データ分析分野への投資が収益を押し上げ、営業利益率が18%台、ROEが23%を超える水準にまで上昇する可能性があります。この場合、PERは35倍前後で推移し、株価は8,000円から9,500円程度まで上昇する見通しです。高い技術力と顧客基盤を背景に、日本のDX関連株の中でもトップクラスの成長銘柄として再評価される展開が考えられます。
中間の場合は、現在の事業ペースを維持し、利益成長が年率5〜7%程度で推移するシナリオです。営業利益率は17%前後、ROEは20%前後を維持し、PERは25〜30倍で安定する見込みです。この場合、株価は6,000円から7,000円前後のレンジで推移し、安定成長を続けるものの大幅な値上がりは期待しにくい展開です。増配が継続されることで、配当込みのトータルリターンは年4〜6%程度になると見られます。
悪い場合は、国内のIT投資が鈍化し、金融・官公庁案件の伸びが一時的に止まるケースです。海外展開や新規事業への投資負担が利益を圧迫し、営業利益率が15%台に低下、ROEも17%程度まで落ち込む可能性があります。この場合、PERは20倍を割り込み、株価は4,500円から5,000円程度まで下落するリスクがあります。業績の悪化までは至らなくとも、成長期待の剥落によって株価が調整する局面が考えられます。
総合的に見ると、野村総合研究所は長期的に安定成長を続ける企業であり、下値は限定的です。利益率とキャッシュフローが非常に安定しているため、大きく崩れる展開は想定しづらく、むしろ配当や業績の着実な伸びが中長期的に株価を押し上げる可能性が高いです。5年後には、保守的に見ても6,000円台後半〜7,000円前後、好調であれば9,000円近辺を目指す展開が期待できます。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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