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住友ファーマ(4506)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

住友ファーマとは

住友ファーマ株式会社は、大阪府大阪市中央区道修町二丁目6番8号に本社を置く製薬会社です。東京にも拠点を持ち、東京都中央区日本橋二丁目7番1号に主要オフィスがあります。設立は1897年5月14日と歴史が長く、現在は東証プライム市場に上場しています。代表取締役社長は木村徹氏で、単元株数は100株です。

住友ファーマは、医療用医薬品の研究・開発・製造・販売を中心とした事業を展開しており、日本を代表する総合製薬会社の一つです。旧「大日本住友製薬株式会社」から2022年4月に社名を「住友ファーマ株式会社」へ変更し、グローバルブランドとしての統一を進めています。

事業の中心は、精神神経疾患、がん、糖尿病、感染症、再生医療・細胞医薬などの分野で、いずれも専門性の高いスペシャリティ医薬に注力しています。主な製品には、統合失調症やうつ病の治療薬、パーキンソン病治療薬、てんかん治療薬、過活動膀胱治療薬、糖尿病薬などがあり、国内外の病院や医療機関に幅広く提供されています。

また、米国・アジア・ヨーロッパなど海外市場への展開を積極的に進めており、特に米国では「Sumitomo Pharma America」を中心に臨床開発・販売活動を展開しています。米国市場での売上比率が高く、今後の成長ドライバーとして位置づけられています。

研究開発面では、従来の低分子医薬に加え、再生医療や細胞医薬、遺伝子治療などの次世代モダリティにも力を入れています。特に神経疾患やがん領域における創薬パイプラインを強化しており、臨床試験(治験)から承認、製造、販売までを一貫して行う体制を整備しています。

さらに、M&Aや共同研究などの外部連携も積極的に行い、海外のバイオベンチャーや大学とのパートナーシップを通じて技術力を高めています。今後は、グローバル規模での新薬開発力とデジタル技術の活用によって、より効率的な創薬体制を築くことを目指しています。

住友ファーマの企業理念は「常に最良の医薬を提供し、人々の健康で豊かな生活に貢献すること」であり、医療の未来を見据えた研究開発と、社会的責任を果たす企業経営を重視しています。ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みも進めており、持続可能な経営基盤の構築を目指しています。

総合的に見ると、住友ファーマは長年の経験と技術力を持つ老舗製薬企業でありながら、再生医療や細胞治療といった新しい分野にも積極的に挑戦する革新的な企業です。

住友ファーマ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
◇23.3 555,544 -76,979 -47,920 -74,512 -187.6 21
◇24.3 314,558 -354,859 -323,114 -314,969 -792.8 0
◇25.3 398,832 28,804 17,611 23,634 59.5 0
◇26.3予 385,000 64,000 50,000 50,000 125.9 0

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023.3 11,937 52,419 -146,817
2024.3 -241,893 33,036 77,851
2025.3 16,500 99,754 -108,836

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PBR PER(高値平均) PER(安値平均)
2023 -13.9% -18.4% -6.6%
2024 -112.9% -201.9% -34.8%
2025 7.2% 13.9% 3.1% 3.20倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

住友ファーマは、かつての大日本住友製薬から社名を変更し、新たな経営方針のもとで再建を進めている製薬会社です。かつては精神・神経領域や糖尿病薬を中心に安定した収益を上げていましたが、ここ数年は米国事業の減損や研究開発費の増加が重なり、業績が大きく悪化しました。

2023年と2024年の決算では連続して大幅な赤字を計上しており、営業利益率は2023年がマイナス13.9%、2024年がマイナス112.9%と極めて厳しい状況でした。経常利益・純利益も大幅なマイナスで、ROE(自己資本利益率)はマイナス18.4%からマイナス201.9%まで悪化、ROA(総資産利益率)もマイナス6.6%からマイナス34.8%と大きく低下しました。これは、米国子会社の事業再編に伴うのれんの減損処理、研究開発中止プロジェクトの整理、さらに為替影響などが重なったためです。とくに米国市場での販売不振と子会社整理が大きな損失要因となりました。

しかし、2025年3月期にはようやく業績が持ち直し、営業利益28億円、経常利益17億円、純利益23億円と黒字に転換しました。営業利益率も7.2%まで回復し、ROEは13.9%、ROAは3.1%と改善。2年間続いた赤字を脱して再生の初期段階に入ったといえます。経営陣によるコスト構造改革や、不採算事業の見直し、研究開発の集中投資が成果を上げ始めています。

財務面では、過去の赤字によって自己資本比率が一時的に低下しましたが、2025年度以降は利益の積み上げにより徐々に改善が見込まれています。営業キャッシュフローも黒字化し、資金繰りの安定化が確認されています。一方で、PBR(株価純資産倍率)は3.20倍と高く、現時点の株価には将来の業績回復への期待がすでに織り込まれていると見られます。PERは赤字年度が続いたため算出できませんが、仮に今後の純利益が安定的に増加すれば、割安水準へと近づく可能性もあります。

研究開発の面では、精神・神経疾患、がん、免疫、再生医療などに重点を置き、パイプライン(開発中の新薬候補)の再構築を進めています。特に再生医療と細胞医薬に関しては、住友化学グループの研究基盤を活かして、幹細胞や遺伝子治療に関する先端技術の応用を強化しています。米国や欧州での開発拠点も再編し、効率化と成果重視の体制に移行中です。

中長期的には、アジア地域での新薬展開や、提携・M&Aによる成長戦略も視野に入れています。国内市場の医薬品価格引き下げの影響を海外展開で補う構想を描いており、特にバイオ医薬や希少疾患領域での収益化がカギとなります。

投資判断としては、短期的には「様子見」、中長期では「回復期待によるやや強気」が妥当です。赤字期を経た企業の再建過程では株価の変動が大きくなりやすく、リスクはありますが、構造改革が定着すれば利益体質の強化が進む可能性があります。2025年度以降の業績が継続的に黒字化し、営業利益率が10%台へ改善できれば、株価の上昇余地は大きいでしょう。

総合的に見て、住友ファーマは「再生の途上にある製薬会社」です。過去の赤字で一度信用を失った部分はありますが、経営改革と新薬開発の進展によって再び成長軌道に戻る可能性を秘めています。リスクを取って中長期的にリターンを狙う投資家には注目に値する銘柄ですが、短期売買よりも時間をかけて見守るスタンスが適しています。

配当目的とかどうなの?

住友ファーマは、現時点では配当目的での投資には向いていません。2026年3月期と2027年3月期の予想配当利回りはいずれも0.00%で、現在は無配となっています。

これは、ここ数年の大幅な赤字を受けて、会社が株主還元よりも経営の立て直しと財務安定化を優先しているためです。特に2023年から2024年にかけては米国事業の構造改革や研究開発の減損などで巨額の損失を計上しており、配当を支払う余裕がない状態が続いています。そのため、内部留保を厚くして事業再建に集中する方針を取っています。

ただし、住友ファーマはもともと旧・大日本住友製薬の時代には長年にわたって安定した配当を行っていた実績があります。過去には年間20円から30円前後の配当を継続しており、経営が安定すれば再び配当を出す可能性は十分あります。2025年度に黒字転換を果たしており、この流れが続けば中期的に復配の検討が始まる可能性があります。

したがって、短期的に配当収入を得たい人には適していませんが、再建が進んで利益が安定すれば復配のチャンスもあります。現時点では「配当狙いの銘柄」ではなく、「将来的な復配を見込んで長期で保有するタイプの銘柄」と言えます。

要するに、今は配当がゼロで利回り面の魅力はありませんが、会社が立ち直れば再び配当を出せる体力を取り戻す可能性があるため、将来の復配を期待して長期的に見守る余地のある銘柄です。

今後の値動き予想!!(5年間)

現在の住友ファーマの株価は2,142円です。この株価をもとに、今後5年間の値動きを「良い場合」「中間の場合」「悪い場合」で予想します。

良い場合は、主力の精神・神経疾患領域やがん、再生医療、細胞医薬などの新事業で成果が出て、研究開発投資が実を結ぶケースです。営業利益率は10%前後まで改善し、ROEが10%を超えるような収益体質に戻れば、再建が本格的に軌道に乗ります。財務も安定し、復配や増配の可能性も高まります。この場合、株価は3,000円から3,300円程度まで上昇する見込みがあります。長期保有で業績回復と株価上昇の両方を期待できる展開です。

中間の場合は、事業再編は進むものの、研究開発費や構造改革コストが依然として利益を圧迫するケースです。営業利益率は5%前後、ROEは3~5%台で推移し、業績は黒字を維持するものの、急成長までは至らない状況です。株価は2,200円から2,600円程度で推移し、緩やかな上昇にとどまります。配当が再開されない可能性もありますが、将来的な復配を見込んで長期的に保有するには悪くない位置づけです。

悪い場合は、研究開発費や海外子会社の再編コストが想定以上に重く、黒字転換が続かないケースです。再び赤字に転落し、営業利益率がゼロまたはマイナスになる可能性もあります。ROEやROAも低迷し、市場の信頼が落ちると株価は1,500円から1,800円程度まで下落するリスクがあります。無配が続くようだと投資魅力は低下し、短期投資家の売りが増える展開になります。

総合的に見ると、住友ファーマは2025年に黒字化したことで再建の第一歩を踏み出しましたが、まだ完全に安定したわけではありません。中長期的に見れば、研究開発の成果が出て再生医療やがん領域でヒット薬が生まれれば、大きく株価が上向く可能性があります。良い場合は3,000円台、中間では2,000円台半ば、悪い場合でも1,500円台を下値とする見通しで、業績回復と復配が確認されるタイミングが次の上昇局面になると考えられます。

この記事の最終更新日:2025年11月9日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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