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LINEヤフーとは

LINEヤフー株式会社(証券コード4689)は、日本を代表する総合インターネット企業であり、Yahoo! JAPAN と LINE を統合して誕生した巨大テックグループです。本社は東京都千代田区紀尾井町1-3東京ガーデンテラス紀尾井町にあり、資本金は約2,500億円、従業員数はグループ全体で2万人を超えます。
同社は2023年10月に「Zホールディングス株式会社」としての枠組みを再編し、ヤフー株式会社とLINE株式会社を完全統合して「LINEヤフー株式会社」に生まれ変わりました。これにより、日本国内でのインターネット広告、検索、ニュース、EC、金融、メッセンジャー、AI、クラウドなどのデジタルサービスを一体的に展開しています。
主な事業内容は以下の通りです。
まず、「メディア・広告事業」では、Yahoo! JAPAN のポータルサイトやLINEアプリを通じて、検索連動型広告、ディスプレイ広告、動画広告などを展開しています。日本国内のネット広告市場で圧倒的なシェアを持ち、企業や自治体のプロモーション支援にも強みを発揮しています。
「コマース事業」では、Yahoo!ショッピング、PayPayモール、LINEショッピング、ZOZOTOWN、ロハコなど複数のオンラインモールを運営し、個人・企業の販売活動を支援しています。また、ECと連動したPayPayポイント還元やLINEポイント連携など、グループ横断のポイント経済圏を形成しています。
「コミュニケーション・プラットフォーム事業」では、国内9,000万人以上が利用するLINEアプリを中核とし、トーク、スタンプ、ニュース、LINE Payなど多様な機能を展開しています。企業向けにはLINE公式アカウントや広告サービスも提供し、マーケティングやCRM(顧客関係管理)の基盤としても利用されています。
「金融・フィンテック事業」も積極的に拡大しており、PayPayをはじめとするキャッシュレス決済、LINE証券やLINE銀行、PayPayカードなど、スマートフォンを通じた総合的な金融サービスを提供しています。これらを通じて、個人から法人まで幅広いユーザー層に金融インフラを提供しています。
さらに、「テクノロジー・AI領域」では、生成AI・検索AI・チャットボット技術の開発に注力しており、広告配信やニュースレコメンドの高度化にもAI技術を活用しています。また、LINEヤフー独自の大規模言語モデル(LLM)の研究開発も進めており、日本語に特化した生成AIプラットフォームを構築中です。
同社の企業理念は「世界中の人と情報を結びつけ、便利で豊かな生活を創造する」こと。
国内最大級のインターネット利用者基盤とデータ資産を活かし、生活に密着したデジタルエコシステムを形成しています。今後は、ヤフーとLINEの統合データ基盤をもとにAI・クラウド・金融の三本柱でさらなる成長を目指しています。
要約すると、LINEヤフー株式会社は「日本のデジタル社会を支える中核企業」であり、通信・広告・EC・金融・AIなど多分野にまたがる総合インターネットグループです。ユーザーの日常生活に深く根ざした多彩なサービスを提供しながら、テクノロジーによる社会の効率化と生活の質の向上を追求しています。
LINEヤフー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 1,672,377 | 314,533 | 235,219 | 178,868 | 23.9 | 5.56 |
| 2024年3月期 | 1,814,663 | 208,191 | 181,621 | 113,199 | 15.1 | 5.56 |
| 2025年3月期 | 1,917,478 | 315,033 | 274,882 | 153,465 | 21.0 | 7.0 |
| 2026年3月期(予想) | 2,100,000 | 358,000 | 333,000 | 180,000 | 26.3 | 7.0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 93,051 | 319,786 | 105,791 |
| 2024年3月期 | 316,477 | -444,060 | -81,490 |
| 2025年3月期 | 519,590 | -505,633 | -416,797 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PBR | PER(高値平均/安値平均) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 18.8% | 6.1% | 2.0% | ― | ― |
| 2024年3月期 | 11.4% | 3.7% | 1.2% | ― | ― |
| 2025年3月期 | 16.4% | 5.1% | 1.6% | 1.00倍 | 27.5倍/17.5倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
LINEヤフー株式会社は、直近3年間の業績推移および各種指標を見る限り、中長期的な回復基調にあるが、まだ本格的な成長軌道に乗り切れていない「再構築段階の銘柄」といえます。
まず、業績面を見ると、売上高は2023年から2025年にかけて1兆6,700億円 → 1兆9,100億円 → 2兆1,000億円(予想)と堅調に増加しています。営業利益も3,145億円 → 3,150億円 → 3,580億円(予想)と回復傾向にあり、2024年に一時的に落ち込んだ利益水準が再び上向いています。これは、LINEとヤフーのシステム統合・広告プラットフォーム再構築に伴うコスト負担が一巡し、グループシナジーが徐々に顕在化してきていることが要因です。
営業利益率は2023年18.8%から2024年に11.4%まで低下しましたが、2025年には16.4%まで改善する見込みです。これは広告事業とEC事業の収益性が再び上向いていることを示しています。
ROEは2023年6.1% → 2024年3.7% → 2025年5.1%、ROAは2.0% → 1.2% → 1.6%と、依然として高い水準ではないものの、資本効率の改善傾向が見られます。
一方で、PBRは1.00倍と「ほぼ純資産並みの評価」、PERは高値平均で27.5倍・安値平均で17.5倍とやや割高気味ではあるものの、広告・EC・決済など複数事業を持つ国内有数のプラットフォーム企業としては妥当な評価水準といえます。
投資判断としては、短期で大きな値上がりを狙うより、中期的な成長を期待して保有するタイプの銘柄です。特に、広告事業(検索・ディスプレイ)、EC事業(Yahooショッピング・PayPayモール・ZOZOTOWN)、フィンテック事業(PayPay・LINE証券・LINEクレカ)などの領域が堅調に成長しており、今後のAI・データ統合戦略が成功すれば収益力はさらに向上する可能性があります。
一方で、課題もあります。LINEヤフーはLINEアプリのセキュリティ問題や広告市場での競争激化など、信頼回復と収益構造の安定化が今後の焦点となります。また、PayPay関連投資の負担や海外展開の成否によっては利益率が再び圧迫されるリスクもあります。
総合的に見て、現状のPER・PBR水準と収益推移を踏まえると、「割安ではないが安定成長を狙える中期保有向け銘柄」と判断できます。
AI・広告・EC・金融の統合戦略が順調に進めば、今後3〜5年でROE・営業利益率が上昇し、株価にも上昇余地が出てくるでしょう。
したがって、投資スタンスとしては「中長期での成長期待を前提に、押し目で買い、長期保有で利益を狙う」が適しています。
配当目的とかどうなの?
LINEヤフー株式会社は、配当目的の銘柄として見ると、現時点ではやや利回りが低く、高配当株とはいえません。2026年3月期と2027年3月期の予想配当利回りはいずれも1.71%で、東証プライム市場の平均(約2%前後)をやや下回る水準です。
同社はLINEとヤフーの経営統合を経て、システムや広告基盤の再構築を進めている段階にあり、利益の多くを成長投資やAI・フィンテック事業の拡大に充てています。したがって、現時点では「配当で利益を得る銘柄」というよりも、「成長を見据えた安定配当銘柄」として位置づけられます。
一方で、配当自体は安定しており、過去数年間も減配は行っていません。2023年・2024年の配当は5.56円、2025年には7円に増配予定で、着実な増配姿勢が見られます。業績回復に合わせて少しずつ還元を強化しており、長期的に見ればさらに増配の可能性もあります。
営業キャッシュフローも順調に伸びており、2023年の930億円から2025年には5,190億円に拡大しており、将来的な配当余力も十分にあります。事業基盤が整い、統合コストが落ち着けば、安定したキャッシュフローを背景に株主還元が強化される可能性が高いです。
総合的に見ると、LINEヤフーは短期的な配当収益を目的とする投資には向きませんが、長期的に見ると安定した配当と成長を両立する中長期保有向けの銘柄です。配当利回りは低いものの、今後の利益成長と増配に期待できるため、将来性と安定性のバランスを重視する投資家に向いているといえます。
今後の値動き予想!!(5年間)
LINEヤフー株式会社の現在の株価を425.2円とした場合、今後5年間の値動きは次のように予想されます。
まず、良い場合のシナリオでは、ヤフー、LINE、PayPayなどのサービス統合がうまく進み、広告・EC・決済などの複数事業で相乗効果が発揮されます。業績が順調に回復し、営業利益率が16%以上、ROEも5%台を安定的に維持できれば、市場の評価も高まり株価は上昇基調になるでしょう。この場合、5年後の株価は600円から650円程度まで上昇する可能性があります。
次に、中間の場合では、広告やEC、金融事業の成長は続くものの、新規投資や競争の激化で利益の伸びは緩やかになります。営業利益率は15%前後で安定し、配当も1.7%程度で維持されます。業績は堅調ながらも急成長とはいかず、株価は緩やかに上昇して5年後には480円から520円前後で推移する可能性があります。安定的な業績を背景に、長期保有で着実にリターンを得る展開となるでしょう。
一方、悪い場合のシナリオでは、広告市場の低迷や個人情報保護強化による規制負担、あるいはデータ管理上のトラブルなどが発生し、利益が圧迫されます。営業利益率やROEが低下し、キャッシュフローや配当余力が減少すれば、投資家の評価が下がり株価は下落傾向になります。この場合、5年後の株価は300円から350円程度まで落ち込むリスクもあります。
総合的に見ると、LINEヤフーは巨大なユーザー基盤と多様な収益源を持つ企業であり、統合効果が本格化すれば長期的な成長が期待できます。ただし、競争や規制、システム統合のリスクも抱えており、短期での値上がりを狙うより中長期の視点で成長と安定を見据えた投資が適しています。5年後の株価レンジは、おおよそ良い場合で600〜650円、中間の場合で480〜520円、悪い場合で300〜350円が目安となります。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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