株価
楽天グループとは

楽天グループ株式会社は、日本を代表する総合インターネット企業であり、Eコマース、フィンテック、通信、デジタルコンテンツなど幅広い分野で事業を展開している。1997年に三木谷浩史氏によって設立され、本社は東京都世田谷区玉川1丁目14番1号(楽天クリムゾンハウス)に置かれている。資本金は約4,526億円、連結従業員数は約2万9千人にのぼる。2000年に上場し、現在は東京証券取引所プライム市場に上場している。
楽天グループは大きく分けて「インターネットサービス」「フィンテック(金融)」「モバイル(通信)」の3つを柱としている。
まず、インターネットサービスでは、日本最大級のオンラインショッピングモール「楽天市場」を中心に、電子書籍サービス「楽天Kobo」、旅行予約サイト「楽天トラベル」、フリマアプリ「ラクマ」、動画配信サービスなどを展開している。また、データを活用した広告やマーケティング支援、スポーツ・エンタメ関連事業(プロ野球チーム・楽天イーグルスやサッカークラブ・ヴィッセル神戸など)も手がけている。
次に、フィンテック分野では「楽天カード」「楽天銀行」「楽天証券」「楽天生命」「楽天損保」などを展開しており、クレジットカード、銀行業務、証券取引、保険、決済などの幅広い金融サービスを提供している。楽天カードの発行枚数は国内トップクラスであり、決済サービス「楽天ペイ」や電子マネー「楽天Edy」、共通ポイント制度「楽天ポイント」などを通じて利用者の生活に密着している。
モバイル分野では、携帯キャリア事業「楽天モバイル」を展開し、自社の通信インフラを活用したMNO(自社回線)とMVNO(仮想移動体通信事業)を提供している。さらに、光回線サービス「楽天ひかり」や電力サービス「楽天でんき」なども行い、通信・エネルギー領域への拡大を進めている。
楽天の特徴は、グループ全体で「楽天会員ID」と「楽天ポイント」を共通基盤とし、各サービスを連携させている点である。ユーザーは1つのアカウントで複数のサービスを利用でき、ポイントを貯めたり使ったりすることで、グループ内のサービス利用が促進されている。この「楽天経済圏」と呼ばれる仕組みにより、買い物、旅行、金融、通信など生活のあらゆる場面で楽天のサービスがつながっている。
また、楽天は社内の公用語を英語とし、100か国以上から人材を採用するなどグローバルな企業文化を持つ。海外でもアジア、欧米を中心にEC・広告・通信などの事業を展開しており、グローバルでの競争力強化を進めている。
グループ全体では約70以上のサービスを運営し、利用者は世界で延べ19億人を超える。総流通総額は約44兆円(2024年度)に達しており、日本国内だけでなく海外でも有数のインターネット企業となっている。
このように楽天グループは、「イノベーションを通じて人々と社会をエンパワーメントする」という理念のもと、インターネットとテクノロジーを活用し、生活・金融・通信のインフラを包括的に提供している企業である。
楽天グループ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 1,927,878 | -363,892 | -407,894 | -372,884 | -235.0 | 4.5 |
| 2023年12月期 | 2,071,315 | -212,857 | -217,741 | -339,473 | -177.3 | 0 |
| 2024年12月期 | 2,279,233 | 52,975 | 16,277 | -162,442 | -75.6 | 0 |
| 2025年12月期(予想) | 2,460,000 | 65,000 | -25,000 | -100,000 | -46.2 | 0〜2 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | -257,947 | -952,408 | 1,486,684 |
| 2023年12月期 | 724,192 | -597,416 | 291,956 |
| 2024年12月期 | 1,190,882 | -921,724 | 757,469 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | PER(倍) | PBR(倍) | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | ― | ― | -18.9 | -45.9 | -1.9 |
| 2023年12月期 | ― | ― | -10.3 | -40.6 | -1.6 |
| 2024年12月期 | ― | 2.74 | 2.3 | -17.6 | -0.7 |
| 2025年12月期(予想) | ―(赤字のため算出不可) | – | 2.6 | -10.8 | -0.4 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
楽天グループ株式会社は、ここ数年で大きな転換期を迎えており、業績はまだ安定していません。提示された数値を見ると、2022年と2023年は営業利益・経常利益・純利益のすべてが赤字で、営業利益率もマイナスとなっています。特に2022年は営業損失が約3,600億円、純損失が約3,700億円とかなり厳しい決算でした。モバイル事業への巨額な投資や基地局整備などが利益を圧迫しており、その影響が続いています。
2024年になると営業利益が約530億円の黒字に転じ、営業利益率も2.3%まで改善しました。事業としては回復傾向に入りつつありますが、最終的な純利益はまだ約1,600億円の赤字であり、本格的な黒字化まではもう少し時間がかかりそうです。ROEも-17.6%、ROAも-0.7%と低水準で、資本効率の面ではまだ課題があります。
2025年の予想では営業利益が650億円、営業利益率2.6%と改善が続く見通しです。ただし経常利益や純利益は再び赤字予想で、モバイル関連のコスト負担が重い状況は変わっていません。PERは赤字のため算出不可、PBRは2.74倍とやや割高感があります。
このように見ると、楽天は現時点では「利益を出せる体質にはまだ戻っていない」会社です。短期的には株価の上下が大きくなるリスクが高く、安定配当を狙う投資には向いていません。ただし、営業利益が黒字化した点やモバイル事業の改善傾向を考えると、数年先に黒字転換が進めば大きく評価が見直される可能性があります。
つまり今の楽天は、短期ではリスクの高い「様子見銘柄」ですが、長期的には「再成長を狙える投資先」といえます。モバイル事業が安定して、ROEや営業利益率が上がってくれば、株価上昇の余地は十分にあります。現時点では焦らず、決算内容と赤字縮小の流れを確認しながら中長期で見ていくのが良いタイミングです。
配当目的とかどうなの?
楽天グループは、現時点では配当目的の投資には全く向いていません。
2025年と2026年の予想配当利回りはいずれも0.00%となっており、事実上の無配状態です。以前はわずかに配当を出していましたが、モバイル事業への多額の投資や設備費の負担が重く、利益を株主に還元する余裕がないのが現状です。
楽天は成長投資型の企業で、配当よりも事業拡大や技術開発に資金を回す方針を取っています。特に楽天モバイルの基地局整備や通信品質向上のための投資が続いており、これが黒字化するまでは配当復活は難しいと見られています。
もし今後、営業利益や純利益が安定して黒字化し、財務体質が改善すれば、将来的に復配の可能性はあります。ただ、それは早くても数年先、2027年以降になると考えられます。
したがって、楽天株を買う場合は「配当をもらうため」ではなく、「長期的に業績回復や株価上昇を狙うため」に保有するのが現実的です。今の段階では、安定した配当を求める投資家には不向きで、あくまで成長期待型の銘柄です。
今後の値動き予想!!(5年間)
楽天グループの現在の株価は1,021円です。ここから今後5年間の値動きを、良い場合・中間・悪い場合の3つのパターンで予想します。
良い場合は、楽天モバイル事業が黒字化し、通信インフラの投資負担が減少して利益体質が安定していくケースです。営業利益率が上がり、純利益も黒字転換してROEやROAも改善します。フィンテック事業やEC事業の伸びも加わり、投資家の評価が戻ってくることで株価は上昇基調になります。この場合、5年後には株価が2倍から3倍程度、2,000円から3,000円台に達する可能性があります。
中間のケースでは、業績は改善傾向にあるものの、投資負担や競争環境の厳しさから利益回復がゆっくり進むシナリオです。黒字化しても利益率はまだ低く、市場評価も限定的です。それでも安定感が出てくることで株価は緩やかに上がり、5年後には1,200円から1,500円程度までの上昇が期待できます。
悪い場合は、モバイル事業の採算が取れず、赤字が長引くパターンです。通信網の整備コストや人件費が重くのしかかり、財務負担が続くことで純利益が回復しない状況です。市場からの期待も低下し、株価は下落方向に進むおそれがあります。この場合、5年後の株価は700円から900円程度まで下がる可能性があります。
つまり、今の楽天は「事業再建の途中段階」であり、短期的には値動きが不安定でも、モバイル事業が黒字化すれば株価が一気に見直される余地があります。現状ではリスクもありますが、長期で見れば成長の可能性も残されている銘柄です。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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