株価
横浜ゴムとは

横浜ゴム株式会社は、1917年に創業した日本を代表するゴム・タイヤメーカーで、100年以上の歴史を持つ老舗企業です。本社は神奈川県平塚市にあり、資本金は約389億円。東京証券取引所プライム市場に上場しており、グループ全体の従業員数は3万人を超えます。国内外に製造・販売・研究開発拠点を持ち、世界的なゴム・タイヤメーカーとして高い知名度を誇ります。
主力事業はタイヤ事業で、乗用車用タイヤをはじめ、トラック・バス用、建設機械用、農業機械用、産業車両用など、幅広い用途に対応する製品を展開しています。特に、過酷な環境下でも性能を発揮する「スペシャリティタイヤ」に強みを持っており、世界各国で高い評価を得ています。自動車メーカーへの純正供給(OEM)も多く、国内外の自動車産業を支える存在です。
また、タイヤ以外の分野でも事業を展開しており、「MB事業」と呼ばれる産業用ゴム製品の製造・販売を行っています。ここではホース、コンベヤベルト、防舷材、建設・海洋・航空向けのゴム部品などを手がけており、工業・インフラ分野でも重要な役割を担っています。さらに、航空機用ゴム部品や自動車向けの樹脂・ゴムパーツなども製造しており、ゴムの素材技術を応用した幅広い製品群を展開しています。
横浜ゴムはスポーツ・レジャー分野にも進出しており、「PRGR(プロギア)」ブランドでゴルフクラブやゴルフ用品を展開。タイヤメーカーでありながら、日常生活やスポーツの場にも製品を提供しています。
近年では環境意識の高まりを背景に、「低燃費タイヤ」や「EV(電気自動車)向けタイヤ」など環境対応製品の開発を加速させています。中期経営計画「Yokohama Transformation 2026(YX2026)」では、環境技術の強化や再生素材の活用、製造プロセスの効率化など、持続可能な企業への転換を掲げています。
グローバル展開も積極的で、アジア、欧州、北米など世界各地に生産拠点と販売網を持っています。タイ、インドネシア、中国、ロシア、アメリカなどに大型工場を構え、現地の需要に応じたタイヤを生産しています。こうした国際ネットワークにより、横浜ゴムは世界規模で安定的に製品を供給できる体制を確立しています。
創業から100年以上、横浜ゴムが貫いてきたのは「技術と品質にこだわるものづくり」です。タイヤメーカーという枠を超えて、産業を支え、人の生活を支える総合ゴムメーカーとして成長を続けています。今後も環境技術と素材革新を軸に、次の100年に向けた企業変革を進めていく姿勢が特徴的な企業です。
横浜ゴム 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 860,477 | 68,851 | 71,622 | 45,918 | 286.4 | 66 |
| 2023年12月期 | 985,333 | 100,351 | 105,975 | 67,234 | 419.3 | 84 |
| 2024年12月期 | 1,094,746 | 119,157 | 115,359 | 74,919 | 467.8 | 98 |
| 2025年12月期(予想) | 1,235,000 | 140,500 | 135,000 | 88,000 | 558.0 | 112 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 39,231 | -46,357 | 35,172 |
| 2023年12月期 | 159,741 | -344,015 | 205,760 |
| 2024年12月期 | 94,496 | -1,392 | -63,213 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 8.0% | 7.4% | 3.9% | ― | ― |
| 2023年12月期 | 10.1% | 9.0% | 4.2% | ― | ― |
| 2024年12月期 | 10.8% | 8.3% | 4.3% | 高値平均:8.6倍 安値平均:5.0倍 |
1.02倍 |
| 2025年12月期(予想) | 11.3% | 9.8% | 5.0% | 10.65倍 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
横浜ゴムは、ここ数年で着実に業績を拡大しており、投資対象として安定性と成長性の両面を兼ね備えた銘柄です。
まず、営業利益は2022年の68,851百万円から2024年には119,157百万円へと約1.7倍に増加しています。経常利益も71,622百万円から115,359百万円へと順調に拡大し、最終純利益も45,918百万円から74,919百万円に増えています。利益水準が安定して伸びており、タイヤ事業を中心に収益構造が改善していることが分かります。
営業利益率も2022年の8.0%から2025年には11.3%まで上昇する見通しで、採算性が向上しています。原材料価格の上昇が一時的な重荷となった時期もありましたが、値上げや高付加価値タイヤの販売比率の上昇が功を奏しており、利益体質が強化されています。
ROE(自己資本利益率)は7.4%→9.8%へ、ROA(総資産利益率)は3.9%→5.0%へと改善傾向にあります。これは、効率的な資産運用と収益性の向上が同時に進んでいることを示しています。特にROEが9%を超える水準にあるのは、製造業としてはかなり健全で、株主資本を有効に活用している企業といえます。
PERは2025年予想で10.65倍、PBRは1.02倍前後。どちらも製造業平均より低めで、株価の割安感が残っています。業績が右肩上がりであるにもかかわらず、株価指標が高くない点は、長期的な投資妙味があると判断できます。
財務面でも、キャッシュフローは営業CFが安定して黒字であり、投資CF・財務CFのバランスも取れていることから、資金繰りのリスクは非常に小さいです。
総合的に見ると、横浜ゴムは堅実な業績成長と財務の健全性を兼ね備えた「安定成長株」といえます。特に、海外事業の拡大と環境対応タイヤなど新分野の伸びが期待され、今後も着実な増益基調が続くとみられます。
したがって、短期の値上がりを狙うよりも、中長期的に保有して配当と安定成長を享受するタイプの投資に向いた銘柄です。PBR1倍前後・PER10倍台前半という水準は、まだ「買われすぎ」ではなく、業績が続く限り、株価の上昇余地は十分あると判断できます。
配当目的とかどうなの?
横浜ゴムは、配当目的での保有にも一定の魅力がある銘柄です。現在の予想配当利回りは2025年12月期・2026年12月期ともに1.98%と、東証プライム市場の平均(約2%前後)とほぼ同水準です。利回り面では“高配当株”とは言い難いものの、安定して増配傾向を維持している点が大きな強みです。
実際に、同社は2022年12月期に66円、2023年12月期に84円、2024年12月期に98円、そして2025年12月期には112円を予定しており、3年連続の増配を続けています。利益拡大に合わせて株主還元を強化しており、「増配による還元姿勢の明確化」が評価できます。
また、横浜ゴムは配当性向(純利益に占める配当の割合)をおおむね20%台後半〜30%前後に維持しており、利益の成長に合わせて配当も自然に増やしていくスタイルです。極端な高配当を出す企業ではありませんが、業績悪化時にも減配をほとんど行わない安定配当企業として知られています。
特に2022年以降は営業利益率・ROE・ROAが着実に改善しており、キャッシュフローも安定的に黒字を確保。営業CFが毎期プラスで推移していることから、配当の原資に不安はなく、今後も安定配当が期待できます。
一方で、利回りを重視する投資家から見ると、2%未満という数字はやや物足りなく映るかもしれません。しかし、業績の拡大やROEの上昇が続けば、今後さらに増配余地があります。実際に2024年時点でのEPS(1株益)は467.8円、2025年予想では558円と伸びており、利益の成長に対して配当はまだ抑え気味です。
したがって、横浜ゴムは「現時点では高配当株ではないが、着実に増配していく成長型配当株」と評価できます。安定した事業基盤と堅実な財務体質から、長期的に保有しながら増配を待つタイプの投資には適しています。安定収益と株主還元の両立を重視する中長期投資家にとって、バランスの良い“安心感のある銘柄”といえるでしょう。
今後の値動き予想!!(5年間)
横浜ゴムの株価は現在5,634円です。この会社の今後5年間の動きを考えると、業績や世界情勢によって大きく3つのパターンが考えられます。
まず、良い場合です。
世界的に電気自動車や高性能タイヤの需要が増え、横浜ゴムの販売も伸びていきます。海外事業の利益率も改善し、営業利益率が12%近くまで上がる可能性があります。円安が続けば輸出利益も増え、ROEも10%を超える水準に向かうでしょう。投資家の評価も高まり、PERが13〜15倍程度まで上昇することが考えられます。このシナリオでは株価は7,500円から8,000円あたりまで上がる見込みです。配当も増えていくため、長期保有でのリターンが期待できます。
次に、悪い場合です。
原材料の値上がりや世界経済の停滞、円高などが重なった場合、業績は悪化します。トラックや建設機械向けのタイヤ需要が減少すると、営業利益率は10%を下回り、ROEも6%程度まで低下するかもしれません。PERも下がって8倍を割り込み、株価は4,200円から4,500円付近まで落ち込む可能性があります。配当は維持できても、株価の戻りは鈍くなる展開です。
最後に、中間の場合です。
世界経済がある程度安定し、同社が着実に生産効率を上げていけば、営業利益率は10〜11%、ROEは9%前後を維持できるでしょう。この場合、株価は緩やかに上昇して6,500円から7,000円前後で推移する可能性があります。大きな上昇はなくても、安定した業績と配当をもらいながら安心して保有できる展開です。
まとめると、
良い場合は7,500〜8,000円、中間の場合は6,500〜7,000円、悪い場合は4,200〜4,500円くらいの範囲が予想されます。横浜ゴムは急成長するタイプではありませんが、着実に利益を積み重ねていく堅実な企業です。安定した業績と増配傾向を考えると、長期的に保有してじっくりリターンを得たい人に向いた銘柄といえるでしょう。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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