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ブリヂストンとは

ブリヂストン株式会社は、日本を代表する世界最大級のタイヤメーカーです。1931年に石橋正二郎氏によって福岡県久留米市で創業されました。社名の「ブリヂストン」は、創業者の姓「石橋(ストーンブリッジ)」を英語に置き換えて逆にしたものです。日本から世界へ橋を架けるという意味が込められています。
本社は東京都中央区京橋三丁目1番1号にあり、資本金は約1,263億円、グループ全体の従業員数は13万人を超えます。ブリヂストングループは世界180社以上で構成されており、販売ネットワークは150か国以上に広がっています。東京証券取引所プライム市場に上場しており、日本を代表するグローバル企業のひとつです。
主力事業はタイヤの製造と販売で、乗用車、トラック、バス、建設機械、航空機、そして二輪車用まであらゆる分野に対応する製品を展開しています。「REGNO(レグノ)」「POTENZA(ポテンザ)」「ALENZA(アレンザ)」「ECOPIA(エコピア)」といったブランドが有名で、それぞれ快適性、スポーツ性能、環境性能など特長が異なります。ブリヂストンのタイヤは世界中の自動車メーカーに純正装着(OEM)されており、品質と信頼性の高さが評価されています。
また、モータースポーツにも積極的に参入しており、F1やスーパーGTなどの国際レースで培った技術が市販タイヤにも活かされています。さらに、近年では電気自動車(EV)や自動運転車に対応した次世代タイヤの開発も進めています。低燃費性能や静粛性を追求した環境対応型タイヤの研究も進み、リサイクル素材の活用など、環境負荷を減らす取り組みを強化しています。
ブリヂストンはタイヤ以外にも事業を展開しており、「ダイバーシファイド事業」と呼ばれる多角化事業を行っています。ここでは、工業用ゴム製品、防振ゴム、ホース、コンベヤベルト、海洋用ゴム製品、建設資材、そしてゴルフ用品「TOUR B」などのスポーツ用品を手がけています。特に建設・鉱山・鉄道・航空などの重工業分野では、ゴム技術を応用した製品が高く評価されています。
世界26か国に180を超える生産・開発・販売拠点を持ち、海外売上比率はおよそ80%に達します。アメリカでは「Firestone(ファイアストン)」ブランドを傘下に持ち、北米市場で強固な地位を確立しています。欧州やアジアでも高いブランド力を持ち、グローバル企業としての基盤をしっかり築いています。
近年の経営戦略として、ブリヂストンは「タイヤを売る会社」から「モビリティソリューション企業」への変革を進めています。IoTやAIを活用し、タイヤの走行データを解析して交換時期や整備時期を予測するシステムを開発。物流や建設現場での安全性向上やコスト削減につなげる新しいビジネスモデルを展開しています。
創業以来の企業理念は「最高の品質で社会に貢献する(Serving Society with Superior Quality)」であり、品質と技術を通じて社会に貢献する姿勢を貫いています。近年では「Bridgestone E8 Commitment(E8コミットメント)」を発表し、Energy、Ecology、Efficiency、Extensionなど8つの価値を柱に、持続可能な社会の実現に向けた企業活動を行っています。
また、環境への取り組みも積極的で、2030年までに自社のCO₂排出量を50%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目標に掲げています。再生素材の利用や廃タイヤのリサイクルにも力を入れ、資源循環型の製造体制を構築しています。
このようにブリヂストンは、単なるタイヤメーカーにとどまらず、環境技術とデジタル技術を融合させた総合モビリティ企業へと進化しています。世界の交通インフラと産業を支える存在として、これからもグローバル市場で確固たる地位を保ち続ける企業です。
ブリヂストン 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当たり配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 4,110,070 | 441,298 | 423,458 | 300,367 | 432.3 | 175 |
| 2023年12月期 | 4,313,800 | 481,775 | 444,154 | 331,305 | 484.0 | 200 |
| 2024年12月期 | 4,430,096 | 443,319 | 421,437 | 284,989 | 416.2 | 210 |
| 2025年12月期(予想) | 4,330,000 | 405,000 | 385,000 | 253,000 | 382.4 | 230 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー(百万円) | 投資キャッシュフロー(百万円) | 財務キャッシュフロー(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 268,483 | -338,004 | -364,109 |
| 2023年12月期 | 661,433 | -297,719 | -183,657 |
| 2024年12月期 | 548,844 | -255,061 | -343,258 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年12月期 | 10.7% | 10.1% | 6.0% | ― | ― |
| 2023年12月期 | 11.1% | 9.8% | 6.1% | ― | ― |
| 2024年12月期 | 10.0% | 7.6% | 4.9% | 高値平均:14.2倍 安値平均:10.2倍 |
1.31倍 |
| 2025年12月期(予想) | 9.3% | 6.7% | 4.4% | 19.35倍 | ― |
出典元:四季報オンライン
投資判断
ブリヂストンは、世界最大級のタイヤメーカーとして高い技術力とブランド力を誇る企業ですが、直近の数値を見る限り、業績はややピークアウト傾向にあり、今後は「成長よりも安定」を重視した投資先として捉えるのが現実的です。
まず、営業利益は2023年12月期の481,775百万円から2024年12月期には443,319百万円へ減少、2025年も405,000百万円と緩やかに下がる見通しです。経常利益も444,154百万円→421,437百万円→385,000百万円と同様の推移で、収益はやや縮小傾向にあります。純利益も2023年の331,305百万円から2024年は284,989百万円、2025年は253,000百万円へと減少が続く見込みです。
営業利益率は2022年の10.7%から2025年には9.3%まで低下。ROEも10.1%から6.7%へ下がるなど、収益性の面での勢いがやや鈍っています。ROAも6.0%から4.4%に低下しており、総資産に対する利益効率も落ち着いてきています。これは、原材料費の高止まりや為替変動の影響、北米や欧州での販売競争激化が要因と考えられます。
一方で、財務体質は非常に健全であり、自己資本比率も高く、キャッシュフローも安定しています。営業キャッシュフローは毎期5000億円前後を維持しており、内部資金での設備投資や株主還元が十分に可能な水準です。PBR(株価純資産倍率)は1.31倍とほぼ適正圏内にあり、過熱感は感じられません。
PER(株価収益率)は2025年予想で19.35倍と、過去数年(10〜14倍程度)に比べるとやや割高です。これは市場が業績横ばいでも一定の安定性とブランド力を評価していることの表れですが、成長株としての魅力は限定的といえます。
総合的に見ると、ブリヂストンは急成長を期待する銘柄ではなく、**安定配当と強固な財務基盤を評価して中長期で保有するタイプの「安定株」**です。
今後の焦点は、EV・自動運転などの次世代モビリティ市場でどこまで利益を拡大できるかにあります。現状の利益率低下傾向を反転できれば株価の再評価余地がありますが、しばらくは緩やかな横ばい推移が続く可能性が高いでしょう。
結論として、短期的な値上がりを狙うよりも、配当を受け取りながら安定した収益を求める中長期投資に向いた銘柄です。業績の底打ちとEV関連タイヤの成長が見え始めれば、再び上値を狙える展開になると考えられます。
配当目的とかどうなの?
ブリヂストンは、配当目的の投資先として非常に魅力的な銘柄のひとつです。
予想配当利回りは2025年12月期、2026年12月期ともに3.35%と高水準で、東証プライム上場企業の平均(約2%前後)を大きく上回っています。
同社は「安定した利益還元」を経営方針の柱に掲げており、利益水準に応じて着実に増配してきました。実際、配当は2022年に175円、2023年に200円、2024年に210円、そして2025年予想では230円と、3年連続の増配を予定しています。減配を行ったケースは非常に少なく、財務体質の強さを背景に、安定配当を続けている点は長期投資家にとって安心材料です。
営業キャッシュフローも安定しており、毎期5,000億円〜6,000億円規模の資金を稼いでいます。自己資本比率も高く、有利子負債依存度が低いため、配当の原資に不安はありません。加えて、業績悪化時にも一定水準の配当を維持する「配当政策の一貫性」があり、いわゆる“配当が途切れにくい企業”として信頼度が高いです。
ただし、成長率の面ではやや落ち着いており、株価の大幅な上昇を狙うタイプではありません。ブリヂストンは「株価の値上がり益よりも、毎年安定した配当を受け取る」ことを重視する投資家に向いています。配当性向(利益に占める配当の割合)はおおむね40%前後と適正水準で、業績が堅調に推移すればさらなる増配も十分に可能です。
まとめると、ブリヂストンは安定した事業基盤とキャッシュフローに支えられた長期保有型の高配当・安定配当株です。景気変動に強く、減配リスクも低いため、配当目的で安心して持ち続けられる優良銘柄といえるでしょう。
今後の値動き予想!!(5年間)
ブリヂストンの現在値は6,863円です。この会社の今後5年間の株価の動きを考えると、世界経済や自動車市場の動きによって3つの展開が想定されます。
まず、良い場合です。
世界的に電気自動車や自動運転車の普及が進み、高性能で耐久性のあるプレミアムタイヤの需要が拡大します。ブリヂストンはその分野で技術力を発揮し、欧米やアジアでの販売がさらに伸びていきます。営業利益率は再び11%前後に回復し、ROEも9%を超える水準に戻るでしょう。投資家の期待も高まり、株価収益率(PER)が14〜16倍程度まで上がれば、株価は8,000円から8,800円付近まで上昇する可能性があります。業績に合わせて増配も続き、配当利回り3.5〜4%前後の高水準を維持できる展開です。
次に、悪い場合です。
世界的な景気の減速や原材料価格の高騰、為替の円高傾向が重なり、コストが増えて利益が圧迫される展開です。北米や欧州市場での競争が激しくなり、値上げが進まないと営業利益率は9%を下回る可能性があります。ROEも6%台まで落ち込み、投資家の評価が下がるとPERも10倍前後に低下します。この場合、株価は5,200円から5,500円程度まで下がる可能性があります。ただし、ブリヂストンは財務基盤が強く、減配のリスクは低いため、安定配当は維持されると考えられます。
そして、中間の場合です。
世界経済は落ち着いて推移し、ブリヂストンも堅実な成長を続けます。営業利益率は10%前後で安定し、ROEも7〜8%程度を維持します。成長スピードは大きくないものの、安定した業績と堅実な経営で株価は7,200円から7,500円前後の範囲で推移する可能性があります。配当も増配傾向を保ち、長期的に安定した収益を得たい投資家にとっては理想的な展開です。
まとめると、良い場合は株価が8,000円から8,800円、中間の場合は7,200円から7,500円、悪い場合は5,200円から5,500円の範囲が想定されます。ブリヂストンは急激な成長を狙う株ではありませんが、世界トップレベルのブランド力と財務の安定性を持つ企業です。株価の上下はあっても、長期的に見れば配当を受け取りながら安心して保有できる、安定感のある銘柄といえます。
この記事の最終更新日:2025年11月9日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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