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SMC(6273)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

SMCとは

SMC株式会社は、東京都中央区京橋に本社を置く世界最大級の空気圧制御機器メーカーです。1959年に「焼結金属工業株式会社」として設立され、1986年に現在の社名「SMC株式会社」に変更しました。資本金は610億円、代表取締役社長は高田芳樹氏です。東京証券取引所プライム市場に上場しております。

同社は、製造業の自動化を支える「ファクトリー・オートメーション(FA)」分野における空気圧制御機器(エア機器)の開発・製造・販売を主力としています。空気圧制御とは、工場内で機械を動かすために圧縮空気を利用して制御する技術であり、SMCはこの分野で世界トップシェア(約40%)を誇ります。日本国内では約60%のシェアを持ち、まさに「空気圧機器の王者」といえる存在です。

主な製品には、シリンダー(駆動機器)電磁弁(方向制御機器)空気圧補助機器(エアドライヤー、フィルター、レギュレーターなど)温度制御装置センサー機器などがあり、工場内の組立ライン・工作機械・ロボットなどに不可欠な部品を供給しています。さらに、医療機器、食品製造装置、半導体製造装置など、幅広い産業分野にも製品を展開しており、特に近年は環境対応製品や省エネ型機器の需要拡大に合わせて、エネルギー効率を高める制御システムの開発にも注力しています。

また、SMCは「グローバル化」においても日本企業の中で際立った存在です。現在、世界80カ国以上に現地法人や販売拠点を設け、海外売上比率は約70%に達しています。アジア・欧州・北米など世界各地に生産拠点を持ち、特に中国、シンガポール、ドイツ、米国などで現地生産・販売体制を整えています。グローバル展開の中でも、品質と技術サポートを重視する方針を貫いており、どの国でも日本と同等の製品・サービスを提供できる体制を築いています。

技術開発力の高さもSMCの大きな強みです。空気圧の制御における微細技術や高速応答技術を活かし、製品の小型化・軽量化・高精度化を実現。年間の研究開発費は500億円規模に上り、業界の技術革新を牽引しています。製品点数は実に70万種類以上に及び、顧客のニーズに合わせたカスタム対応も可能です。こうした開発力と柔軟な供給体制により、自動車、半導体、医療、食品、電子部品など多様な業界で高い信頼を得ています。

財務面でも非常に健全で、自己資本比率は80%を超え、無借金経営に近い形で安定した利益を確保しています。営業利益率も20%台後半という高水準を長年維持しており、日本の製造業の中でもトップクラスの収益力を誇ります。ROE(自己資本利益率)も10%前後と高く、安定的な株主還元も継続しています。

総合的に見て、SMCは「世界中の工場を支える空気圧制御のリーダー企業」であり、安定的な収益とグローバルな事業基盤を持つ超優良企業です。製造業の自動化・省エネ化が進む中で、その技術は今後も必要不可欠であり、長期的な成長が期待できる日本を代表するFA関連銘柄の一つといえます。

SMC 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
連23.3 824,772 258,200 305,980 224,609 3,445 900
連24.3 776,873 196,226 251,008 178,321 2,767 950
連25.3 792,108 190,244 209,921 156,344 2,445 1,000
連26.3予 850,000 215,000 232,000 167,000 2,630 1,000

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023年3月期 101,617 -87,086 -113,299
2024年3月期 98,207 -131,900 -87,928
2025年3月期 196,656 35,234 -100,202

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER(倍) PBR(倍)
2023年3月期 31.3% 13.2% 11.6%
2024年3月期 25.2% 9.4% 8.5%
2025年3月期 24.0% 8.1% 7.4% 高値平均30.4倍/安値平均20.4倍 1.78倍

出典元:四季報オンライン

投資判断

SMCは、世界最大手の空気圧制御機器メーカーとして、製造業の自動化(FA)や省エネ化を支える中核企業です。業績と各指標を総合的に見ると、非常に高い収益力と安定性を兼ね備えたグローバル優良株と判断できます。

まず、直近3年間の営業利益・経常利益・純利益の推移を見ると、
2023年3月期は営業利益2,582億円、経常利益3,059億円、純利益2,246億円、
2024年3月期は営業利益1,962億円、経常利益2,510億円、純利益1,783億円、
2025年3月期は営業利益1,902億円、経常利益2,099億円、純利益1,563億円となっています。
売上は横ばいながらも営業利益率は24〜31%と極めて高く、製造業ではトップクラスの利益率を誇ります。世界的な半導体市況の調整や為替影響があっても、これほどの水準を維持している点は、技術力と価格競争力の強さを示しています。

ROE(自己資本利益率)は2023年13.2%→2025年8.1%とやや低下していますが、それでも製造業平均を大きく上回る水準です。ROA(総資産利益率)も7%台を維持しており、総資産を効率的に使って利益を出していることが分かります。これは、景気変動時でも安定したキャッシュフローを生み出せる「高収益・高効率体質」の証です。

PERは2025年の高値平均で30.4倍、安値平均で20.4倍と、全体的にやや高めの水準にあります。これは単なる過熱ではなく、市場がSMCの安定した成長性とブランド力を評価してプレミアムを付与している結果といえます。PBR(株価純資産倍率)も1.78倍で、企業価値に対する市場評価が高いことがうかがえます。つまり、投資家は短期的な利益ではなく、長期的な技術優位性と成長ポテンシャルに注目しているのです。

SMCの特徴は、売上の約7割が海外であり、グローバルに分散した事業ポートフォリオを持つ点です。特にアジアや欧州の自動化需要の増加が追い風となっており、半導体設備・電子部品・医療・食品など幅広い分野に製品を供給しています。世界の製造ラインの「空気の流れを支配する企業」として、長期的に堅実な成長が見込めます。

総合的に見ると、SMCは景気循環に左右されにくい安定高収益企業であり、ROE・ROAの高さ、潤沢なキャッシュフロー、強固な財務体質を考えると、中長期で保有する価値が非常に高い銘柄です。PERがやや高めでも、業界トップシェアと高利益率が続く限りは正当化される水準といえます。

結論として、SMCは短期で大きな値上がりを狙う銘柄ではなく、「安定した成長と堅実な株主還元を狙う中長期投資向けの優良株」です。景気調整期に押し目があれば、積極的に買い増す価値のある企業と判断できます。

配当目的とかどうなの?

SMCは、配当目的での投資としては「安定性は極めて高いが、利回り面ではやや控えめ」な銘柄です。

現在の予想配当利回りは、2026年3月期・2027年3月期ともに1.85%と、日本株全体の平均(約2%台前半)よりやや低めです。しかし、SMCの配当方針や財務体質を考慮すると、「少ないようで実は非常に安定した高品質な配当銘柄」であることが分かります。

まず、同社は長年にわたり連続増配を続けており、減配したことがほとんどない堅実な企業です。2023年3月期に900円、2024年950円、2025年1,000円、そして2026年以降も1,000円配当を維持予定と、着実に株主還元を強化しています。SMCは設備投資や研究開発に多額の資金を投じながらも、利益の一定割合を確実に配当に回す「安定配当方針」をとっています。

また、自己資本比率が80%を超え、ほぼ無借金経営に近い強固な財務基盤を持っているため、景気変動があっても減配リスクが非常に低い点が魅力です。これは“株主に優しい安定経営”を貫く日本製造業の代表格といえます。

ただし、他の高配当株(配当利回り3〜5%クラス)と比較すると、SMCは利回りで劣るため、「配当によるリターンを重視する投資家」よりは、「安定配当+長期的な株価上昇を狙う投資家」に適した銘柄といえます。実際、SMCは利益率・ROEが高いため、将来的な増益に伴い配当も段階的に引き上げられる余地があります。

また、配当だけでなく自社株買いにも積極的で、総還元性向(配当+自社株買い)は40〜50%に達する年もあります。つまり、「見た目の配当利回りは1.8%でも、実質的な株主還元はかなり厚い」構造です。

総合的に言えば、SMCは守りながら増やす配当株です。配当利回りは低めでも、減配リスクが小さく、業績の安定性と株主還元の持続力を重視する長期保有者にとっては非常に安心感のある銘柄です。短期的に高配当を求めるより、10年単位でじっくり配当と株価成長を享受するタイプの投資に向いています。

今後の値動き予想!!(5年間)

SMCの現在の株価は53,780円です。ここから今後5年間の値動きを予想すると、世界経済の動向や製造業の投資サイクル、半導体需要などの影響によって大きく3つのシナリオが考えられます。

まず、良い場合のシナリオでは、世界的な自動化・省人化の流れがさらに加速し、SMCの空気圧制御機器の需要が継続的に拡大するケースです。特に中国やインドなど新興国での工場自動化需要、半導体設備やEV関連の投資が再び活発になれば、営業利益率は30%近い高水準を維持し、ROEも10%を超える水準まで改善する可能性があります。こうした環境では投資家からの評価も高まり、PERが再び30倍前後まで上昇。株価は80,000円〜100,000円台に到達することも十分にあり得ます。長期的に見れば、世界的な製造業の構造変化を追い風に成長が続く強気シナリオです。

次に、中間の場合のシナリオでは、グローバルな製造業の投資が安定的に続く一方で、特段の大ブームが起きないケースです。SMCの営業利益率は20〜25%程度を維持し、ROEも8〜10%前後と堅調。為替の影響や部材コストの上昇を吸収しつつ、効率的な経営を続ける展開です。この場合、株価は60,000円〜70,000円前後で推移する可能性が高く、大きな値上がりはなくとも安定成長と安定配当が期待できます。短期的な売買ではなく、長期保有による資産防衛型の投資先として評価される展開です。

最後に、悪い場合のシナリオでは、世界的な製造投資の減速や景気後退が起こり、企業の設備投資意欲が落ち込むケースです。半導体関連や自動車分野での需要が減少すれば、SMCの業績も鈍化。営業利益率は20%を割り込み、ROEも5〜8%程度に低下する可能性があります。市場からの評価も下がり、PERが20倍を下回る水準に落ち込むことで、株価は40,000円台前半〜50,000円程度まで下がるリスクがあります。ただし、SMCは自己資本比率80%超の無借金経営に近く、潤沢なキャッシュフローを持つため、業績が落ち込んでも経営基盤が揺らぐ心配はほとんどありません。

総合的に見ると、SMCは景気敏感株の一面を持ちながらも、長期的には安定した収益と強固な財務基盤を備えた「堅実な成長株」です。短期で大きな上昇を狙うタイプではありませんが、世界の製造業の自動化ニーズが続く限り、業績の底堅さは維持されるでしょう。したがって、長期で保有しながら配当を受け取りつつ、じっくりと株価の上昇を待つスタンスが最も適しています。

この記事の最終更新日:2025年11月12日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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