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クボタ(6326)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

クボタとは

クボタは、農業機械を中心に世界中で事業を展開する日本を代表する総合機械メーカーです。1890年に創業した歴史の長い企業で、元々は鋳物の製造からスタートしましたが、時代の変化とともに農業機械やエンジン、水環境インフラへと事業領域を広げてきました。「食料・水・環境」という人々の生活に欠かせない社会基盤の分野を中心として事業を展開しているため、景気変動に左右されにくい安定したビジネスモデルを持っているのが特徴です。

特に農業機械の分野では、トラクターやコンバイン、田植機などの製品が広く知られており、日本国内だけでなく、北米や欧州、アジアなど海外市場でも高いシェアを確立しています。クボタのトラクターは耐久性や取り回しの良さが評価され、アメリカ南部や欧州の中規模農家を中心に普及が進んでいます。海外売上比率は非常に高く、グローバル展開が進んでいる企業として知られています。

また、クボタは農業だけでなく水環境分野でも長い実績を持っています。上下水道に使われる鋳鉄管やポンプ、排水処理設備など、生活の基盤となるインフラ製品を提供しており、自治体向けの大型プロジェクトにも多数関わっています。日本の上下水道インフラは老朽化が課題となっていますが、クボタは更新需要を取り込む事で安定した売上を確保しています。さらに海外市場では新興国を中心に水処理設備の需要が増えており、クボタの技術が活躍する場は今後も広がっていきます。

近年ではデジタル技術の活用にも積極的で、スマート農業の分野で大きな存在感を放っています。自動運転トラクターや農地データを用いた精密農業システムなど、農業の生産性を高めるためのソリューション開発に力を入れています。農業従事者の高齢化や人手不足が深刻になっている中、クボタの技術は今後さらに重要性を増すと考えられています。

建設機械の分野でも小型ショベルやホイールローダーなどを生産しており、都市開発やインフラ整備の現場で幅広く使われています。特に北米や欧州では小型建機の需要が高く、農業機械と並ぶ重要な収益源となっています。さらに産業用エンジンの製造にも強みがあり、世界中の機械メーカーに供給しています。

クボタは “人が暮らすために必要な基盤を世界に届ける企業” としての性格が強く、生活・インフラ・農業という安定性の高い分野を支えているため、中長期的な需要が見込みやすい企業です。今後も食料問題や水環境改善への対策が世界規模で必要とされる中で、クボタの製品は確実に需要が続くと考えられます。

クボタ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

年度 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益(円) 一株配当(円)
22.12 2,678,772 218,942 233,927 156,182 130.8 44
23.12 3,020,711 328,829 342,289 238,455 201.7 48
24.12 3,016,281 315,636 335,297 230,437 197.6 50
25.12予 2,880,000 220,000 236,000 142,000 124.9 50

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2022 -7,680 -318,499 282,557
2023 -17,273 -173,441 178,404
2024 282,084 -208,879 -26,276

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率 ROE ROA PER PBR
2023 10.8% 10.9% 4.4%
2024 10.4% 9.3% 3.8% 15.1倍(高値平均)
10.4倍(安値平均)
0.96倍
2025 7.6% 5.7% 2.3% 17.05倍(予想)

出典元:四季報オンライン

投資判断

クボタの直近の業績を見ると、売上高は3兆円前後で推移しており、非常に安定した巨大企業らしい動きになっています。農業機械、建設機械、水環境インフラといった生活基盤を支える分野を中心にしているため、景気が悪い時でも需要が大きく崩れにくいという特徴があります。営業利益は2023年に約3,300億円まで伸び、その後の2024年も3,150億円前後を維持しており、本業の収益力は高い水準を保っています。ただし、2025年の業績予想ではやや減益が見込まれていて、営業利益率も 10.8% → 10.4% → 7.6% と下がっているため、短期的にはやや慎重姿勢が必要な状況です。

経常利益・純利益も同じように、2023〜2024年にかけては高い利益を確保していますが、2025年予想では純利益が 2384億円 → 2304億円 → 1420億円 と大きめに落ちる見通しで、ここは気になるポイントです。特に海外の農機需要の鈍化や資材価格の変動、為替影響などが影響していると考えられます。

資本効率の指標であるROEやROAを見ると、ROEは 10.9% → 9.3% → 5.7% と下がり、ROAも 4.4% → 3.8% → 2.3% と低下しています。これは2025年予想で利益が減ることを率直に反映しているため、短期的にはクボタに対して強気一本で行くという状況ではないといえます。

株価指標を見ると、2024年の実績PERは 高値15.1倍、安値10.4倍 と標準的な評価でしたが、2025年の予想PERは 17.05倍 と割高寄りの水準になっています。利益が減速している状況でPERが上がっているということは、株価が利益の伸びに対して割高になりつつあるサインともいえます。一方でPBRは 0.96倍 と1倍を切っており、純資産に対しては割安です。この「PERは割高気味・PBRは割安」というバランスは、低成長局面に入っている大型企業でよく見られる状態です。

キャッシュフローを見ると、2022〜2023年は営業CFがマイナスでしたが、2024年には 2,820億のプラス に転じているため、企業としての現金創出力は改善しています。ただし設備投資が大きいため投資CFは常に大幅なマイナスで、財務CFも2024年にはマイナスに転じていることから、配当や投資の持続性には一定のチェックが必要です。

総合的に見ると、クボタは「事業基盤はめちゃくちゃ安定しているが、2025年についてはやや減速している」という状況です。長期目線では農業・水環境インフラという需要が落ちにくい分野を持っているため大崩れしにくい企業ですが、短期では利益減と予想PERの高さから強気にはなりづらい局面です。今は「無理に買い向かうより、押し目を待ちたい時期」という判断になります。

ただし、PBRが1倍を下回っていること、配当も安定して増えていることから、長期保有目的では依然として魅力のある銘柄で、下値は限定的という見方ができます。

配当目的とかどうなの?

クボタの配当利回りは25.12期と26.12期どちらも 2.37% という見通しになっています。利回りだけを見ると、いわゆる高配当株と呼ばれるような水準ではないものの、日本株全体の平均がだいたい2%前後であることを考えると、決して低いわけではなく、比較的“標準より少し良い”ぐらいの位置づけです。大型株でこの水準を維持できているという点は、ある意味で堅実さの表れとも言えます。

クボタはもともと景気によって大きく業績がブレるタイプの企業ではなく、農業機械・水環境インフラ・エンジンといった生活や社会基盤に深く関わる製品を扱っているので、需要が急激に落ち込むリスクがそこまで大きくありません。そのため、配当に関しても大きな乱高下が少なく、長期的にはじわじわと増配してきました。実際この数年だけ見ても 44円 → 48円 → 50円 と、安定的に配当が増えており、株主還元に対する姿勢は良い企業です。

ただ、2025年以降の業績予想では純利益が落ち込む見通しになっており、増配ではなく据え置きとなっているため、しばらくは積極的な増配期待は持ちにくい状況です。またクボタは設備投資が非常に多い企業で、投資キャッシュフローが毎年大幅なマイナスになっています。世界中で生産体制や供給網を整えている企業なので当然ではあるのですが、フリーキャッシュフローが大きく残るタイプではないため、どうしても配当には「無理のない範囲」での還元が続くという特徴があります。

このため、クボタを配当目的で買うのであれば、高利回りを求める投資というより、安定して長く持ちたい人向け になります。利回りは2%台後半と控えめですが、事業基盤の強さや需要の安定性を考えると、減配リスクはそれほど高くない銘柄です。景気が悪くなっても農業や水環境関連の需要は消えないため、長期でみれば安心感のある企業です。

一方で、利回り4〜5%以上の銘柄と比べるとインパクトは弱いので、高配当でガッツリ稼ぎたい人には正直物足りないと思います。どちらかというと、“低リスクで安定的なキャッシュフローを受け取る” というスタイルに向いている銘柄です。

総合して見ると、クボタは 大きく増配するわけではないが、安定配当を長く受け取りたい人には向いている堅実な企業 という評価になります。景気の波を大きく受けない分、安心して長期保有しやすいタイプの配当銘柄だと言えます。

今後の値動き予想!!(5年間)

クボタの現在の株価は2,104.5円ですが、ここから5年間でどのように動いていくかを考えると、まず前提としてクボタの事業は農業機械や建設機械、水環境インフラといった“生活に直結する領域”が中心なので、他の景気敏感株に比べると需要が大きく落ち込むリスクは少ない方です。ただ、最近の業績を見ると利益がやや減速気味で、営業利益率やROEが下がってきているため、今は過度な強気になりにくい局面でもあります。世界の景気や農機需要、資源価格、そして為替の動向が株価に与える影響はかなり大きく、シナリオによって結果が大きく分かれやすいタイプの銘柄です。

まず良い場合のシナリオですが、世界的に農業の自動化や省人化の需要が加速し、さらに水環境インフラの更新や新興国の設備投資が強まり、クボタの主要事業が追い風を受けるパターンです。北米や欧州の農機需要が持ち直し、円安が続けば海外利益も伸びやすくなります。こうした環境が整えばクボタは再び利益成長を取り戻し、PERも過去の平均以上に評価され、株価は3,500〜4,500円くらいまで上昇する可能性があります。現在の2,100円前後から見ると、1.6倍から2倍近い上昇なので、かなり良い展開です。

次に中間のシナリオですが、これはクボタにとって最も現実的なラインです。農機・インフラ需要は緩やかに続くものの、景気の波や為替のぶれがあり、劇的な成長はないけれど堅実に推移していくパターンです。利益も横ばいから微増、PERも10〜13倍程度に落ち着き、株価は2,500〜3,000円くらいに収まるイメージです。現在値より少し上昇する程度ですが、クボタは配当も安定しているため「値上がり + 配当」を狙う投資としては十分に成立するパターンです。

そして悪い場合のシナリオでは、中国や北米の農機需要が大きく落ち込んだり、資源価格の低迷や円高が続いて利益が伸び悩むことも考えられます。特に2025年の業績予想で利益が減速している点を見ると、今後さらに悪化した時には株価が1,500〜2,000円くらいまで下がる可能性も十分あります。事業基盤は強いとはいえ、短期的に景気後退と重なると一時的に押し込まれるシナリオです。

総合的に見ると、クボタは高成長株ではありませんが、事業の安定感が強く、大きく崩れにくい性質があります。配当もしっかりしているため、長期目線では“コツコツ積み上げるタイプの銘柄”としては悪くない位置づけです。ただし今は成長モメンタムが弱まっている時期なので、すぐに大きく株価が跳ねるというよりは、中期的にじわじわ評価が戻っていく展開になる可能性の方が高いと思います。良い場合には4,000円台まで狙える余地がある一方で、悪い場合の下値も意識しながらバランスよく付き合っていく銘柄ではないでしょうか。

この記事の最終更新日:2025年11月13日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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